タイトリストの「フィッティングキャンプ」に潜入! ツアープロへの手厚すぎるサポートとは?

国内男子ツアーがオープンウイークとなる7月の後半から8月の前半までの期間に、タイトリストがツアープロ向けのフィッティングキャンプを開催しているとの情報をキャッチ。特別に許可を得て、フィッティングの様子を取材することができました。ツアープロはどのようにクラブを選び、どんな調整をしているのでしょうか。

夏場のオープンウイークに開催

 タイトリストを展開するアクシネットジャパンインクは、7月の後半から8月の前半にかけての3週間、千葉県にあるゴルフコースの練習場を貸し切りにして、同社のクラブを使用する選手を対象にした「フィッティングキャンプ」を開催しました。

 国内男子ツアーが「長嶋茂雄INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント」を最後に3週間のオープンウイークに入るタイミングに合わせたもので、ツアー後半戦に向け、選手たちが使用するクラブの細かな調整を行うことが大きな目的となっています。

タイトリストのフィッティングキャンプで用意された「GT」シリーズ

タイトリストのフィッティングキャンプで用意された「GT」シリーズ

 取材日に選手のフィッティングを統括していたプロ担当の小林大三氏に話を聞くと、タイトリストのサポート体制の手厚さがうかがえました。

「より選手に寄り添ったサポートをしたいと考え、今回のようなフィッティングイベントを夏とオフシーズンの年2回開催する予定です。タイトリストと総合契約を結ぶ選手だけでなく、契約外のツアープロやジュニアの選手にも参加していただき、クラブの細かな調整を行いました」(小林氏)

 このイベントにはタイトリストのクラブを使っていない選手も参加できるそうで、3週間で40人ほどのプロが来場。新製品の「GT」シリーズを中心にテストしたとのことです。

「この練習場では芝の上からボールを打つことができますし、『トラックマン』や『GCクワッド』といった弾道計測器も完備しています。もちろんボールは本球で、タイトリストの『V1』シリーズでテストを行います。一人一人細かな打ち合わせをしながらクラブを調整していきますので、これだけの期間があっても対応できる人数に限界がありますが、少しでも良いクラブを使って、ツアーで活躍してほしいと考えています」(小林氏)

「新しいクラブをテストする場として申し分ない」

 取材に入った8月1日は、3人のツアープロがフィッティングに訪れました。

 最初に来場したのは遠藤健太(えんどう・けんた)です。学生時代に「四国アマ」や「朝日杯日本学生」のタイトルを取り、2018年にプロ転向。現在は、ABEMAツアーを中心に出場しています。

遠藤健太は「GT2 ドライバー」を中心にクラブをテスト

遠藤健太は「GT2 ドライバー」を中心にクラブをテスト

「シーズン途中にこういった場を設けてもらえるのは、選手としてすごくありがたいですし、新しいクラブをテストする場として申し分ないです。タイトリストには中学生の頃からサポートしていただいています。その流れでプロになってからもサポートを受けていますが、小林さんとは気心が知れていますし、スイングのクセやクラブの好みも熟知してもらっているので、安心してクラブ調整をお任せできます」(遠藤)

 続けて「GT」シリーズの印象について次のように語ります。

「『GT』シリーズはタイトリストらしい構えやすい顔で、違和感なくスイッチできそうです。ボール初速が出ていて、前作よりも飛距離が出る印象でした。自分はフェードヒッターなので、ボールを左に打ち出して右に逃がしたいので、少しクローズな顔のものを選びました。今回は11度のヘッドも試しましたが、10度のヘッドでロフトを寝かせる調整をしたものが好感触でしたね」(遠藤)

尾崎慶輔は「GT」シリーズのフェアウェイウッドをテスト

 2番目にフィッティングを受けたのは尾崎慶輔(おざき・けいすけ)です。ヘッドスピード50メートル/秒を優に超える飛ばし屋で、2023年の「ゴルフパートナープロアマ」初日の9ホールでスコア28のツアータイ記録を出した爆発力が持ち味の選手です。今年からタイトリストからのサポートを受けています。

 ドライバーはすでに試す機会があったそうで、「GT3」を選択。「前作よりもボール初速が1メートル/秒くらい上がりましたし、打感の良さがありながら、ボールが少し前に伸びてくれる印象でした」と高く評価していました。

事前に「GT」シリーズのドライバーをテストしていた尾崎慶輔は、フェアウェイウッドを中心にテスト

事前に「GT」シリーズのドライバーをテストしていた尾崎慶輔は、フェアウェイウッドを中心にテスト

「夏の体がしっかり動く時期に、こういう充実した環境でクラブをテストできるのはすごくうれしいです。ツアーバスも来ていて、その場で細かなチューニングをしてくれるなんて本当にぜいたくですよ。ここまで心強いサポートをしてくれるメーカーは他にないです」と語る尾崎。この日は「GT」シリーズのフェアウェイウッドをテストしたそうです。

「タイトリストらしい一貫した良い顔に仕上がっているので、安心して(前作から)替えられました。狙い通りの球が打てますし、打感にも統一感があるのがいいですね。私はコースによって3番と5番のセットと、4番を1本だけのセッティングとして使い分けているので、3本作ってもらいました」(尾崎)

PGAツアーでの高い使用率の背景は

 最後にフィッティングを受けたのは、今年3月に大阪学院大学を卒業し、タイトリスト総合契約プロとしてツアーに参戦している下家秀琉(しもけ・すぐる)です。180センチの長身を生かしたダイナミックなスイングを武器に、今季はレギュラーツアーの「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」で5位タイに入るなどの活躍を見せています。

下家秀琉のフィッティングの様子

下家秀琉のフィッティングの様子

「新しいクラブをこういう環境でテストさせてもらうのは初めてのことで、いろいろなヘッドを出してもらって試せるのはすごくいいです。クラブの顔にはすごくこだわっていて、構えた時の見え方と打った後の感触が一致することを大事にしています」という下家。

 ドローヒッターで、構えたときにアップライト(トウが浮く)に見えるものが好きだそうで、フェースアングルがストレートで、少しロフトが付いて見えるヘッドを選んだとのことです。

「今季ここまで使っているドライバーがすごく好調で、曲がらなくて気に入っているのですが、『GT2』もデータを取ったら同じくらいバラツキが少ない上に、スピンが少し減って飛距離が伸びていました。打感も柔らかくなっていて、顔もすごく好みのものが見つかったので、試合のコースで使ってみて、感触が良ければ実戦投入したいですね」(下家)

 タイトリストは、PGAツアーで高い使用率を誇るメーカーです。クラブの性能もさることながら、今回のフィッティングキャンプのような選手に寄り添い、手厚くサポートできる体制を築いていることが、選手のクラブ使用率の高さにつながっているのかもしれません。フィッティングキャンプで仕上げたクラブを手に、選手たちがツアーでどんな活躍を見せてくれるのか、非常に楽しみです。

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