「ドローが飛ぶ」「フェードは安定する」って本当!? 飛んで曲がらない弾道が身につく「フック打ち」練習とは?

一般的にドローボールの方が「飛ぶ」、フェードボールの方が「曲がらず安定する」と考えられています。アマチュアが飛距離やスコアの向上を目指すうえで、ドローとフェードのどちらを身につけるべきか? それぞれのメリット&デメリットを含め「本当の話」を聞きました。

「ドローだから飛ぶ」ワケじゃない!? 飛ぶ球筋に必要な条件がある

 一般的に「ドローの方が飛ぶ」や「フェードの方が安定する」といわれ、まるで球筋だけで飛距離や方向性に有利不利があるかのように語られています。

 結論からいってしまうと、ドローであれフェードであれ「ヘッドスピード」「入射角」「フェースtoパス」の数字が同じならデータ上の飛距離は同じになります。

ドローやフェードといった「球筋」が飛ぶ理由ではなく、高いミート率やボールスピードを生む「入射角」「ロフト」「フェース向き&軌道」が重要

ドローやフェードといった「球筋」が飛ぶ理由ではなく、高いミート率やボールスピードを生む「入射角」「ロフト」「フェース向き&軌道」が重要

 右打ちのドローボールは飛びそうに感じるかも知れませんが、左打ちのフェードボールでも弾道の中身(ヘッドスピード、入射角、ダイナミックロフト、フェース向き&軌道)が同じなら結果は「ドロー」でも「フェード」でも同じです。

 なぜ「ドローは飛ぶ」「フェードは安定」といわれるのでしょうか。今回は、ロボットではなく人間がスイングする「経験則」でドローとフェードのメリット&デメリットを紹介したいと思います。

アマチュアのフェードが飛ばないのは「スライス打ち」だから

 プロや上級者には、曲がり幅の大小に関わらず「ドロー」「フェード」どちらの球筋にも「飛ばし屋」が存在します。

 またコースや状況に合わせて球筋を打ち分けながら、「ドロー」「フェード」どちらでも同じくらい飛ばす名手も存在します。

多くのアマチュアが悩む「左ヒジの引け」「左手首のフリップ」に起因するスライスは、ヘッドスピードが出づらく「入射角」や「フェース向き」「ロフト」が安定せずミート率も低い

多くのアマチュアが悩む「左ヒジの引け」「左手首のフリップ」に起因するスライスは、ヘッドスピードが出づらく「入射角」や「フェース向き」「ロフト」が安定せずミート率も低い

 飛距離や方向性に悩むアマチュアは、不安定な「入射角」やミート率が低くなる「インパクト時のロフト」、当たり負けしやすい「フェース向き」といった「スライス打ち」になっていることが多いようです。

 球筋だけ「ドロー」を意識しても、フェースを大きく返しただけの「引っかけフック」を誘発してしまい、左右の曲がりが増えて飛距離も安定感も損なってしまう可能性があります。

「ドロー」「フェード」といった球筋に関係なく、飛距離が出るスピードと曲がりを抑えるミート率を身につけるには「ドローやフックが出るプロセス」を一度実際に経験することが近道です。

 多くのアマチュアとって「意図的フック打ち」に感じるようなスイングを練習するのです。

大きく&浅いインサイドイン軌道で意図的にフックを打つのが重要

「スライス打ち」から脱却するためには、過剰に上から叩きつけるようなアウトサイドイン軌道から、思い切って大きくて浅いインサイドイン軌道を習得する必要があります。

 最初はダフったりフェースが開いてプッシュアウトになってしまうこともありますが、地面スレスレの低い位置からボールを打つことで入射角が浅くなり、インサイドインにインパクトすることでドライバーのテンプラは軽減するはずです。

「スライス」を後天的に「ドロー」「フック」にするには、大きく&浅い「インサイドイン軌道」でヒジが胸の前から引けずに左右の腕を入れ替える動きが必要

「スライス」を後天的に「ドロー」「フック」にするには、大きく&浅い「インサイドイン軌道」でヒジが胸の前から引けずに左右の腕を入れ替える動きが必要

 また「左ヒジの引け」や「左手首のフリップ」といった、ボールが前に飛ばず上がり過ぎてしまうインパクトも、胸の前で両ヒジが伸びて積極的にフェースや腕を返せるようになるはずです。

 意図的に引っかけやフックを連発できるようになったら、十分にボールをつかまえる上半身の動きができている証拠なので、「インパクトシール」などでフェースの芯に当たっているかをチェックしましょう。

 最新クラブは高い慣性モーメントを誇るので。「フェースの芯に当てるインパクト」をしていれば、多少フェースターンが大きかったりインサイドアウト軌道が強くても、OBになるほど大きく曲がることはないはずです。

 また「手打ちスイング」の傾向が強ければ、体の回転や体重移動を加えることで全体のバランスを整えることもできます。

 この段階まで来れば、球筋や曲がり幅の大きさに関わらず高い「ミート率」を獲得できるようになりますし、必要以上にフォームを意識しなくても「ハンドファースト」や「シャローイング」といった飛ばせるスイングに近づいているはずです。

 ちなみに上級者に多い「フック」のミスは、このプロセスの途中で起きているのです。

 ビギナーの90%以上が「スライス打ち」からスタートしますが、少しずつ練習を行なっていけば誰でも「ドロー」や「フェード」で安定的に飛ばすことが可能です。周りにいるキレイな「ドロー」や「フェード」で飛ばす人は、ごく一部の天才を除き「意図的に」ミート率を高める練習を行なった人たちなのです。

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