「ドライバーの飛距離は9番アイアンの2倍」って本当? 多くのゴルファーが“目安”に到達しない理由

ドライバーが安定しない人は自分の最大飛距離がどのくらいなのか把握していない場合も多いかもしれません。昔からいわれている一つの目安として、「9番アイアンの2倍の飛距離がドライバーの飛距離」というものがありますが、信じて良いのでしょうか。

現在はピッチングウェッジの2倍と考えるのが妥当

 ゴルフを始めたばかりのビギナーは、ウェッジや9番アイアンなど比較的打つのが簡単なクラブから練習していくのが一般的です。ドライバーやフェアウェイウッドなど、長いクラブは難易度が高いので、初心者のうちは「平均飛距離でいったら7番アイアンのほうがドライバーより飛ぶ」といったことも間々あります。

自分の持てる飛距離のポテンシャルを最大限発揮したいものです 写真:PIXTA

自分の持てる飛距離のポテンシャルを最大限発揮したいものです 写真:PIXTA

 しかし、段々とドライバーがまともに当たるようになると、自分はどのくらい飛ばせるのか知りたいと思うようになるでしょう。昔からいわれている一つの目安として、「9番アイアンの2倍の飛距離がドライバーの飛距離」というものがあります。

 9番アイアンで110ヤード飛ぶアマチュアは、だいたい220ヤード飛ぶことになりますが、この理屈は正しいのでしょうか? ツアープロ兼レッスンプロの綿貫直基プロは、以下のように話します。

「過去にメーカーなどが実証実験をしていて、『ドライバー飛距離はロフト角が41~43度のアイアンクラブのほぼ2倍に等しい』という結果が出ているので、9番アイアンの2倍がドライバー飛距離という目安が定着してきました」

「しかし、最近のアイアンはパワーロフト(ストロングロフト)といって、ロフト角が立っているものが主流となり、ピッチングウェッジでも41~43度しかないものが多くなってきています。そのため、最近では9番アイアンではなく『ピッチングウェッジ』の2倍程度と表現するほうが適切な気がします。もちろんモデルによってロフト角が違うので、ロフトが寝ているトラディショナルなアイアンを使用している場合は、9番アイアンの2倍と考えていいでしょう」

 9番アイアンが120ヤードなら、従来の“公式”に当てはめると240ヤード飛ぶはずですが、大半のゴルファーがストロングロフトのアイアンを使っている現在、なかなかそこまで到達しないのはある意味で当然なのです。現在は番手というよりも、ロフト角41~43度のクラブを基準にするのが良さそうです。

目安を知ることで自分の最大飛距離を目指すようになる

 ここで疑問ですが、昨今では距離測定器や弾道測定器などが充実してきているので、自身のドライバー飛距離を知ろうと思えば、簡単に確認することができます。

 それにもかかわらず、わざわざピッチングや9番アイアンの2倍がドライバーの飛距離という目安を知っておくメリットはあるのでしょうか。綿貫プロは「ドライバー飛距離の明確な目標を持つことができる」と話します

「ある程度のゴルフ経験があれば、自分のドライバーの飛距離は把握できています。しかし、ビギナーはアイアンショットがそれなりに打てるようになっても、ドライバーでナイスショットできることは少ないので、実は最大飛距離がどのくらいなのか分からない人が多いのです」

「実際、ビギナーにレッスンをしていると『ドライバーってどのくらい飛ぶんですか?』という質問を頻繁に受けます。そこで『だいたいピッチングウェッジの2倍の距離がドライバーの飛距離ですよ』と回答すると、『そんなに飛ぶの?』と最初は半信半疑な人が多いです。しかし、目標が明確になることで、自分の持つポテンシャルの最大限飛ばせるように練習を頑張るようになります」

「また、アベレージゴルファーでも、ピッチングウェッジで100ヤードほど飛ぶのにドライバーが170~180ヤードしか飛ばない人もいます。ビギナーと同様の説明をすると、『どうすれば2倍まで飛ばせるようになるのか』を考えてくれるので、練習の質を上げる工夫をするようになります」

 ドライバーの飛距離がピッチングウェッジか9番アイアンの2倍に達していないゴルファーは飛ばせるポテンシャルを生かしきっていないと考えられるので、練習方法を改善してみるのが良いかもしれません。

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