「最初は7番アイアン」や「頭は残したまま」という練習が上達を邪魔している!? スイング練習の勘違いを修正する

ビギナーが練習するうえで陥りやすい、代表的なスイングの「勘違い」をインドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチがピックアップ、その修正法を教えてくれました。

7番アイアンで真っすぐ打ててもコースデビューはまだ早い

 ビギナーが練習で最初に使う7番アイアンなどの短いクラブは、ロフトが大きく短いため初歩的なグリップやアドレスができていれば比較的に早い段階で「真っすぐ当たる」感覚は習得できます。

ビギナーが陥りやすい代表的なスイングの「勘違い」をピックアップ、改善方法をレクチャーしてもらいました

ビギナーが陥りやすい代表的なスイングの「勘違い」をピックアップ、改善方法をレクチャーしてもらいました

 しかし、コースで1打目や2打目に使うドライバーやフェアウェイウッド&ユーティリティーは、ボールめがけてヘッドをぶつけるような「当てるだけ」のスイングではナイスショットにはなりません。

 ロフトが少なく長いクラブになるほど、ヘッドスピードや正しい打点が必要なのはもちろん、軌道や入射角、フェース向きによってボールの飛び方や曲がり方がシビアに変わってしまいます。

「7番アイアンで打った方がマシ」程度の確率でしか長いクラブが打てないのであれば、距離の長いホールはなかなかグリーンに乗せることができません。

ロフトが大きく短い7番アイアンなら真っすぐ飛んでも、ユーティリティー以上の長い番手ではフィニッシュまで振り抜くスイングが必要になる

ロフトが大きく短い7番アイアンなら真っすぐ飛んでも、ユーティリティー以上の長い番手ではフィニッシュまで振り抜くスイングが必要になる

 コースデビューするだけならビギナーがウッドを打てる必要はないかも知れませんが、近い将来「100切り」を目標にするのなら、早めにウッド練習に取り組み「当てて終わり」なスイングから「フィニッシュまで振り切る」スイングのへ変えていく必要があります。

 肩の高さで急ブレーキをかけて止まってしまうスイングではなく、インパクトのスピードを利用して左足に体重が乗ったフィニッシュを取れるスイングの練習もしておきましょう。

 そうすれば、コースではドライバーが練習どおりに打てなくても、フェアウェイウッドやユーティリティーなら何とか当たるようになっていくはずです。

「頭を残す」という意識だけではヘッドアップは直らない

 昔から「絶対ヘッドアップしない!」と心に決めていても、いざコースでの本番では全く別人のように顔が上がってしまうのが「ビギナースイング」の典型的パターン。

 自分のスイングやボールに対する意識が強い練習場では実践できても、ボールの行方を意識するコースではヘッドアップが全く直らない人は多くいます。

「頭を残す」のはインパクトでボールを打つまで。インパクトした後は飛んでいくボールを追う習慣をつけるとコースでも練習どおりにスイングしやすくなる

「頭を残す」のはインパクトでボールを打つまで。インパクトした後は飛んでいくボールを追う習慣をつけるとコースでも練習どおりにスイングしやすくなる

「頭を残して打つ」だけのことですが、意識だけでは実践するのが難しいのが現実。そこで普段の練習から、インパクトまでは顔の向きが変わらないように気をつけながら、フィニッシュではボールを追うという「メリハリ」ある動きを習慣づけておくことが重要。

 特に長いクラブほど「ボールを見て打つ」と「飛んでいくボールを追う」という動きをしっかりセパレートしておかないと、中途半端なスイングと結果になってしまいます。

両ヒジが体の側面より後ろに行かないようにする

 連続写真や動画の見え方で、正しいスイングを「勘違い」してしまうことが多いビギナー。特に多いのが左右ヒジのポジションです。

 体の可動域が大きい一部の女子プロやドラコン選手といった例外はありますが、基本的にバックスイングからトップにかけての右ヒジも、インパクトからフィニッシュにかけての左ヒジも体の側面より背中側に回り込むような動きはありません。

両ヒジはバックスイングもフィニッシュにかけても体の側面より背中側に回り込まないようにする

両ヒジはバックスイングもフィニッシュにかけても体の側面より背中側に回り込まないようにする

「頭を残す」や「当てて終わり」といったスイングばかり行なっていると、上半身を捻転せずヒジの折りたたみだけでスイングしてしまう「悪い手打ち」になりがちです。

 7番アイアンぐらいまでの短い番手なら真っすぐ飛ぶことはあっても、長い番手ではうまく当たらないうえに飛距離も出ません。見た目がカッコ悪いのですが、「ヒジ引け」「左手首のフリップ」「チキンウイング」はケガのリスクもつきまといます。

 ワキの締めを意識し過ぎていたり、リキんでいることも原因かも知れませんが、練習だけでもトップやフィニッシュで体の側面よりヒジが後ろに行かないようにチェック&習慣作りをしておくと、「100切り」以降も順調にレベルアップが期待できる「ウッドが打てるスイング」に少しずつ近づいていくはずです。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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