定番の52、58度はもう古い!? ピンのウェッジフィッティングで出た答えは意外な3本の組み合わせだった!

人気メーカー、ピンの直営店「PING FITTING STUDIO みなとみらい」でアイアンのフィッティングを受けたe!GolfスタッフのTさん。続けて、ウェッジのフィッティングを受けてみると、ロフトの組み合わせやソールグラインドの選び方など、目からうろこの体験ができたようです。

フルショットで100ヤード打てるウェッジを探す

 14本のクラブセッティングを考える中で、近年選び方が多様化しているのが「ウェッジ」です。1990年代までウェッジはアイアンとセットで販売されるのが主流でしたが、2000年代に入ってウェッジを単品で売り出すメーカーがどんどん増えました。さまざまなロフトやソールグラインドのモデルがラインアップされるようになり、プレースタイルに合わせて自由に組み合わせて購入できます。

今はプレースタイルに合わせてウェッジの本数やロフトを自由に選べる時代(写真はピンの「s159ウェッジ」)

今はプレースタイルに合わせてウェッジの本数やロフトを自由に選べる時代(写真はピンの「s159ウェッジ」)

 一方で、ウェッジの種類が複雑になり過ぎて、どう選べばいいのかわからない人も増えています。そんな時に活用したいのがウェッジのフィッティングです。フィッティングと聞くとドライバーやアイアンをイメージする人が多いかもしれませんが、一部のメーカーではウェッジにも力を入れていて、ピンもそのメーカーの一つです。

 今回はピンの直営店「PING FITTING STUDIO みなとみらい」(横浜市西区)でe!GolfスタッフのTさんがウェッジのフィッティングを体験してきました。以前の記事ではアイアンのフィッティングを受けて、最適なセットを見つけることができましたが、それに合うウェッジの組み合わせとはどんなものなのでしょうか。以前の記事に引き続き「PING FITTING STUDIO みなとみらい」に在籍する永野隼斗さんがフィッティングを担当してくれました。
 
【Tさん】※以下、【T】
 今までは43度のPWの下に52度と58度の2本のウェッジを入れていました。PWと52度の距離差が大き過ぎること、52度で100ヤードにギリギリ届かないことが悩みでした。フルショットで100ヤードピッタリを狙えるウェッジが欲しいことと、バランスによって本数を増やすことを考えています。

【永野さん】※以下、【永】
 Tさんはアイアンのフィッティングで、「ブループリントS」でスペック調整をしていますので、その下にどんなウェッジを入れるべきか一緒に考えていきましょう。まず前提として考えるべきなのがPWのロフトで、「ブループリントS」の場合は45度になります。7番の結果から推測すると120ヤード前後の飛距離になるはずです。今回はピンの「s159ウェッジ(以下、「s159」)」で調整をしていきますので、このモデルの50度を試打して、100ヤード付近になるかみていきましょう。

ピンの「s159ウェッジ」を実際に打ってみた

 それでは早速、ウェッジを試打してもらいます。

【永】現在お使いのウェッジよりも、「s159」の方が飛距離が出やすいようですね。50度でキャリーが106ヤード出ていますので、100ヤードピッタリ飛ばしたいなら52度の方が近くなるかもしれません。続けて52度のウェッジをテストしてみましょう。

ピンの「s159ウェッジ」を試打するe!GolfスタッフのTさん

ピンの「s159ウェッジ」を試打するe!GolfスタッフのTさん

【T】ピンのウェッジだと52度で100ヤード前後飛んでくれますね。求めている距離にすごく近いです。

【永】ウェッジで狙いより飛び過ぎるのは良くありませんので、100以上飛ばしたくないなら52度が良さそうですね。

ウェッジを3本にする選択肢が増える

 次は普段も使っているという58度を試打します。ソールグラインドはベーシックな「S」です。

「s159」の58度を試打した弾道データ。飛距離は80ヤード前後

「s159」の58度を試打した弾道データ。飛距離は80ヤード前後

【永】58度で80ヤード前後の飛距離ですが、普段お使いのウェッジと比較してどうでしょうか?

【T】マイクラブだと85ヤードくらい飛ぶイメージですので、少し飛んでいないですね。100ヤード以内で飛距離を打ち分けるのが苦手で、基本的にはフルショットしかしませんので、ウェッジ間の飛距離差をあまりつけたくないです。

【永】それなら58度ではなく、56度を入れてみても良いかもしれません。確実に85ヤードに届くはずです。そうなると52度よりも50度が良いかもしれませんし、48度の投入も選択肢に入ってきます。56度の下に1本追加するのも良いでしょう。いずれにしても現在の2本から3本にウェッジを増やすことは検討する価値があると思います。

【T】グリーン周りのアプローチは最近、うまくいっている気がしていて、バンカー超えなども問題なく打てています。やっぱり悩みは100ヤード以内の距離の打ち分けですね。

【永】56度はアプローチでも使えますので、Tさんの場合は下を充実させるよりもPWの下に当たる80~110ヤードの間を充実させるのが良さそうです。ピンのウェッジはロフトバリエーションが豊富で46度からラインアップされています。加えて±2度のロフト調整も可能です。Tさんの場合50度が飛んでいたので、ロフトを1度立てて追加するのもアリですし、48度を追加しても良いでしょう。念のため、48度の弾道データも取ってみましょう。

【永】48度でやや110ヤードに届きませんでした。ロフトを1度調整すると2〜3ヤードほど違いが出ますので、48度を1度立てるとちょうど良くなりそうです。

【T】いろいろ試打させてもらいましたが、やはり100ヤード近くの距離が出る52度は入れたいです。結果だけを見ると上が50度でも問題なさそうですが、52度と差をつけたいので48度の方が良さそうです。ロフトを1度立てる方向でお願いしたいです。56度はアプローチも打たせてもらいましたが、良さそうでしたので、48度、52度、56度の3本にします!

さまざまな種類があるソールグラインド

 ロフト別に試打を重ね、PWの下に48度(ロフト-1度に調整)、52度、56度の3本を入れることに決めたTさん。次に永野さんが提案してくれたのは56度のソールグラインド選びです。

ピン s159ウェッジのソールバリエーション

ピン s159ウェッジのソールバリエーション

【永】48度と52度は「Sグラインド」で決まりですが、56度にはスタンダードな「Sグラインド」の他に、ワイドソールでミスに強い「Wグラインド」や傾斜やライに対応して技が使える「Hグラインド」、バンカーがやさしくなる「Eグラインド」を選ぶことができます。「Sグラインド」は万能ソールで、さまざまな使い方ができますが、ミスの傾向や要望に合わせて違ったソールグラインドを選ぶのもおすすめです。Tさんはアプローチでどんなミスが多いですか?

【T】トップが多いです。

【永】承知しました。あとは打ち方として、フェースを開いたりすることは多いですか?

【T】バンカーでは開きますし、状況に応じてグリーン周りでもそういう使い方をしたいです。

【永】「Sグラインド」でも少しフェースを開いて使うことができますが、ソール幅が狭めでバンスが多めにある「Hグラインド」も試してみてください。

【T】今までウェッジはスタンダードなソール形状しか打ったことがありませんでしたが、「Hグラインド」は抜けが良くて、すごく感触がいいです。

【永】フェースを開いてもリーディングエッジ(フェースの最下部。「刃」とも呼ばれる)が高くなり過ぎないので、トップも出にくいはずですよ。

【T】「Sグラインド」もミスに強そうで良いですが、今回は「Hグラインド」にしてみます。

【永】承知しました。あとはライ角を決めたいですが、基本的にはアイアンと同じに調整することを推奨しています。Tさんはピンの「カラーコードチャート」で「レッド」、つまり1度フラットにアイアンを調整していますので、ウェッジも同じで良いと思いますが、念のため、ソールの当たり方をチェックしておきましょう。

 ソールにシールを貼って、地面との当たり方をチェックします。

【永】ウェッジのライ角も1度フラットで問題なさそうですね。

グリップ選びで、ウェッジ専用のグリップを試す

 ソールグライド、ライ角までが決まったTさん。最後にグリップを決めていきます。

写真左がPINGのウェッジ専用グリップ

写真左がPINGのウェッジ専用グリップ

【永】基本的にグリップは、上から下にかけてだんだん細くなる「テーパー構造」が取られています。一方で、ウェッジ専用グリップはどこで握ってもグリップの太さに差が出ないように設計されています。ウェッジは状況によってグリップを極端に短く握ることがありますから、長くて太さが変わらないグリップの方が握りを変えた時の違和感が少なくなるのです。白いガイドラインは握る位置を変える際の基準にできますので、アプローチで球を打ち分ける際に役立ちます。

【T】すごい便利なグリップですね。太めで握りやすいですし、ガイドラインがあるから握り方も一定になりそうです。

事前にWebで自分に合うソールタイプを診断しておくのがオススメ

 ウェッジフィッティングを終えたTさんは、他のクラブとは違った独特な選び方が勉強になったと話します。

フィッティングを担当してくれた永野さんは「フィッティングを受ける前にWebで自分に合うソールタイプをチェックしておくのがオススメ」と話す

フィッティングを担当してくれた永野さんは「フィッティングを受ける前にWebで自分に合うソールタイプをチェックしておくのがオススメ」と話す

「今までウェッジはとりあえず52度と58度を選んでいましたし、他のロフトやソールグラインドに変えることでどんな変化が起きるのかも知りませんでした。今回ウェッジフィッティングを受けて、ロフト選びの重要性が改めて分かりましたし、1度単位で細かく調整することで、100ヤード以内のプレーがすごく楽になると感じました。どんなウェッジの組み合わせが合うかはゴルファー次第だと思いますので、ウェッジこそフィッティングを受けるべきですね」

 フィッティングを担当してくれた永野さんは、受ける前にWebで自分に合うソールタイプをチェックしておくのがオススメと話します。

「ピンでは公式サイトでWebフィッティングのコンテンツを配信しています。アベレージスコアやPWの飛距離、普段プレーするコースの状態などを入力することで、最適なソールグラインドを知ることができます。いくつかの候補が表示される場合もありますので、実際のフィッティングで打ち比べてみるのも面白いですし、長さやライ角を調整することで違った答えが出てくるかもしれません。ウェッジはスコアメークにつながる大切なクラブですから、ぜひフィッティングを受けて、最高の組み合わせを見つけていただきたいです」

 ピンでは「PING FITTING STUDIO みなとみらい」の他にも4つの直営店で同様のフィッティングを受けることができます。しかも、フィッティングは全て無料で受けられます。会員登録をすれば、ピン公式サイトから気軽に予約を取ることができますので、気になった人はぜひチェックしてみてください。

取材協力・PING FITTING STUDIO みなとみらい
横浜市西区みなとみらい2-2-1 横浜ランドマークタワー内ランドマークプラザ2階

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