84日あった「雨予報」も実際に降ったのは28日だけだった!? ゴルフ場を悩ます雨予報キャンセルの今

昔のゴルファーは「雪と雷以外はプレーする」というのが当たり前でした。しかし、最近は天気予報の精度も上がったことから、雨予報になるとゴルフ場にキャンセルが殺到するそうです。

雨予報による直前&当日キャンセルが急増中

 先日ラウンドしたゴルフ場はクラブハウスとロッカールームに次のような掲示物が貼ってありました。

「ちょっと待って! そのキャンセル 本当に雨なの?」という印象的な見出しがついた掲示物は、「最近、当倶楽部ではプレー日直前(当日含む)のキャンセルが大変増加しております」という文章から始まっていました。

雨予報であっても当日は降らないことがゴルフ場では結構ある 写真:PIXTA

雨予報であっても当日は降らないことがゴルフ場では結構ある 写真:PIXTA

「キャンセル理由には、夏季の異常な暑さや体調不良等止むを得ない事情があるかと思いますが、雨予報によるキャンセルをお考えの際は、当倶楽部ホームページの天気予報を是非ともご覧になってください。最新の天気予報システムを使用した正確な情報を提供しております」と伝えています。

 このゴルフ場の集計によると、一般的な天気予報では昨年1年間に84日の雨予報が発表されましたが、実際には28日しか雨が降らなかったそうです。雨が降ったのは予報の約3割とのことでした。

「安易なプレーキャンセルは、皆様の楽しみにとってもゴルフ場運営にとっても得策ではございません」と締めくくっていました。

 ゴルフ場がこのようなメッセージを発信したくなる気持ちはよく分かります。筆者もプレー日の前日にメールが届き、「明日は雨予報なのでキャンセルします」ということがよくあります。

「承知しました。またよろしくお願いします」と返事をするものの、翌日に雨が降らなかったりすると「普通にラウンドできたのではないか」と思うことがあります。

 また、「明日、雨予報だけど、どうする?」とメールが来ることもあります。「ボクは雨でも大丈夫です」と返信しますが、その後「他の2人がキャンセルしたいといっているので中止にします」というパターンもあります。

高齢者に雨の中でのプレーを強いるのもリスクがある

 雨予報キャンセルは今、全国のゴルフ場で多発しています。ゴルフ場関係者はこの問題にどう対処するか頭を悩ませています。

 筆者がゴルフを始めた2000年当時は、ラウンドするメンバーの最年長者が「ゴルフは雨でもやるもの」という考えでしたから、雨予報でキャンセルするという発想がありませんでした。朝起きて、自宅周辺が土砂降りでも、ゴルフ場は自宅から100キロ前後離れているので、取りあえずゴルフ場に向かいます。ゴルフ場に着いても土砂降りの場合は、マスター室にある雨雲レーダーを見ながらスタート時間を検討します。

 予定のスタート時間よりも遅らせれば雨がやみそうということであれば、マスター室のスタッフと相談してスタート時間を遅らせてもらい、クラブハウスでしばらく待機してからスタートしていました。ラウンド中に雨が降り出したときも、グリーンの表面に水が浮いてパッティングに支障が出るまではプレーを続行していました。

 残りホールが少ない場合は、グリーンの表面に水が浮いてもパッティングに支障がない場所にボールを動かすという特別ルールを設定し、ビショビショになりながら18ホールを完走していました。

 でも今は、「ゴルフは雨でもやるもの」といっていた人たちが60~70代になりました。みなさん今でも元気にゴルフをされているのですが、雨の日にプレーしようとすると「こんな日くらいゴルフはお休みしなさい」と周りから止められたりします。ご自身でも「昔は雨でもへっちゃらだったけど、最近は少ししんどいな」と感じているようです。

 結局のところ、ラウンドの予定をキャンセルするかどうか決定権を持っている年長者が高齢化しているというのが雨予報キャンセルの根本原因なのです。

 ゴルフ場も40~50代のゴルファーには「君たち、雨でもプレーしなさい」と強くいえますが、70代のゴルファーにも「雨でもプレーしなさい」といえるかどうか微妙です。

「プレーしてもいいけど、体が冷えて途中で死んじゃうかもしれないよ」といわれたら、返す言葉がありません。

 雨予報キャンセルは「雨予報でも降らない日があるんだから、まずはゴルフ場に来ようよ」ということとは別に、「じゃあ実際に雨が降ったらどうするの?」という問題もあるのが非常に悩ましいところです。

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