「雨予報だからキャンセルしよ…」は気軽にできなくなる!? キャンセル料金を強気で徴収するゴルフ場が増加の気配

ゴルフ場の予約をキャンセルするゴルファーに対して、厳格にキャンセル料金を徴収しようとする動きが活発になっているようです。

クレカの事前登録やデポジットが一般化?

 昨今お店を予約をしていたにもかかわらず、ドタキャンや無断キャンセルをする行為がしばしば問題となっています。たとえば、飲食店であれば予約人数に合わせて事前に席を確保したり、料理の仕込みをしたりするので、客が来なければ大きな損失となります。

雨中のゴルフは避けたいのが人情ですが… 写真:AC

雨中のゴルフは避けたいのが人情ですが… 写真:AC

 店側の対策としては、あらかじめキャンセルポリシーを明示してキャンセル料金を徴収するのがベストですが、クレジットカードを登録させるなど回収できるシステム整備を行う必要があったり、「客が不快に思って、二度来てくれなくなるかもしれない」という不安要素があったりするので、結局、店側が損失をかぶらざるを得ないケースも多いようです。

 一般社団法人 日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事は、ゴルフ場でも同様の問題が深刻化していると話します。

「ゴルフ場に関しても、ひと昔前に比べて予約を直前でキャンセルするゴルファーが増加しています。1組4人で予約していたのであれば、4人分のプレー料金や食事代などが支払われないことになるのでゴルフ場側にとっては損失となります。長らく続いたデフレ経済において、どうしても利用してくれるお客様のほうが立場的には強くなっていたので、ゴルフ場側も強気でキャンセル料金を取りにいけないのが実情でした」

 20年ほど前までは、どんなに雨が降っていたとしてもゴルフ場がクローズしない限りはプレーするのが常識となっていましたが、その後は買い手市場が当たり前になったことにより、予約をキャンセルすることに罪悪感を持たない人が増えたようです。しかし、ここに来てコースは多くのプレーヤーで賑わい、ゴルフ場側の売り手市場となっています。

 大石氏はキャンセル料金をきちんと徴収する仕組みをつくるべきだという議論が水面下で行われ始めていると話します。

「時代の流れが変化してきていることもあり、予約キャンセル問題に対して、なにかしらの対処をしなければならないという意見は多くのゴルフ場から出ています。事前にクレジットカードを登録させたり、デポジットを取ったりするのが現実的な対策です」

キャンセル料を避けるために無理をする人が心配

 ただ、大石氏は厳格にキャンセル料金を取ることが最善策だとは思わないといいます。

「消費が発生していないことに料金を支払うのはどうかと思いますし、事前にキャンセルの連絡をしてくれたりすれば問題ないと思います。実際、キャンセル料金が5000円発生したとしても、次回のラウンド時にプレー料金から5000円を差し引くといったサービスをしているゴルフ場もあります」

「また、厳格なキャンセルポリシーが一般的になると、『キャンセルするとお金を取られるから……』と、暑さが厳しい日に高齢のゴルファーが無理やりラウンドして熱中症で倒れてしまうなど、他の問題が発生してしまう可能性もあります」

「本当にやむを得ずキャンセルしなければならない場合、モラルを守ってきちんと連絡すれば、救済措置をほどこしてくれるゴルフ場は少なくないでしょう。キャンセル料金を厳格に徴収しなければならない状況になる前に、ゴルファーひとりひとりの考え方を改めてもらうことが双方にとってメリットがあると思います」

これから雨の日が多くなることが予想されますが、安易に直前キャンセルすることは避けるべき行為といえます。現段階でキャンセル料金を徴収していないゴルフ場も、損害が大きくなれば導入せざるを得なくなります。一人の身勝手な行為がゴルファー全体の不利益として返ってくることを肝に銘じましょう。

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