大災害時に1週間乗り切るための、停電対策&断水への備えリスト。電池式の充電器に乾電池は最低10本、ビニール2枚と新聞紙で簡易トイレに

(写真:stock.adobe.com)
『婦人公論』8月号(7月15日発売)では、「豪雨、地震、台風……今すぐ見直すわが家の防災」という特集を組み、自然災害への備えについて特集しました。そのなかから、選りすぐりの記事を配信します。
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災害に見舞われた時、各自治体は、倒壊や浸水などの危険がなく、安全が確保できる場合は、自宅で過ごす「在宅避難」を推奨しています。防災士が伝授する、1週間に必要な備蓄品を確認し、準備しておきましょう(構成=村瀬素子 イラスト=草野かおる

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【停電対策をイラストで解説】

電気が復旧するまで1週間はかかる

大災害が発生した時、在宅避難を想定して政府が提言しているのは、各家庭で1週間分の食料や生活用品を備蓄することです。というのも、ライフラインが復旧したり、支援が届くまでには早くても数日かかるため。

たとえば能登半島地震では、国が食料や水などの救援物資を届けるプッシュ型支援(被災都道府県からの要請を待たずに行う緊急輸送)を行いましたが、到着までに3日かかりました。炊き出しが始まるのも、災害が起きて4日目以降が多いのです。

またライフラインのうち、最も復旧が早いといわれる電気ですら1週間ほどはかかってしまう。ガスや水道に関しては、個々の家や地域の工事状況により、能登の被災地では、未だに水道が復旧していないところも。

こうした現実を踏まえ、せめて電気が復旧するまでの間は自力で生活ができるように、最低1週間分の備蓄が必要なのです。

ここからは、具体的に何を用意しておくべきか、想定される状況別に、備蓄品と活用方法について紹介していきましょう。

停電対策

□ ヘッドライト…1人1つ
□ ランタン型の懐中電灯…1~2つ
□ 蓄光シール
□ ロウソク…1ダース
□ 乾電池(必要な形)…最低10本
□ モバイルバッテリー…1つ
□ 電池式充電器…1つ
□ 携帯ラジオ…1つ

能登半島地震では、最大約4万戸が停電しました。電気が来なくなると、冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、テレビ、給湯器など多くのものが使えなくなります。

なかでも一番困るのが、明かりです。暗闇では何もできず、つまずいてケガをする危険も。そのため、懐中電灯などの照明の準備は必要不可欠です。

おすすめはヘッドライト。首にかけておけば、両手が塞がらずに足元を照らすことができるので、家族の人数分を用意しておきましょう。また、テーブルの上を照らすには、自立するランタン型の懐中電灯が重宝します。

いずれも、100円ショップなどで売っている安価なもので十分。なければ、懐中電灯と水入りペットボトルで簡易なランタンを作るのも手です。ソーラーライトは補助灯として使ってもよいでしょう。

また、普段から階段やドアノブなどに蓄光シールを貼っておくと、暗闇のなかで光って目印になります。ロウソクは、お守り代わりに1箱(12本)ほど備えておくといいですね。

忘れてはいけないのが、モバイルバッテリーなど充電機器。連絡や情報収集に欠かせないスマホやラジオの充電ができなくなっては困りますから、予備として電池式の充電器もあると安心です。

乾電池は、最低でも10本ほど常備しておきましょう。照明や充電機器の備蓄は多いにこしたことはありません。

災害時、トイレの吸収剤アレコレ

断水への備え

□ ペットボトルの水…1人1日3L×7日分
□ ビニール袋(45L)…1人50枚
□ ラップ(50m)…1人1本
□ カート…1台
□ 段ボール箱…5個くらい
□ 携帯トイレ…1人1日5回×7日分

〈携帯トイレの代用アイテム〉
□ 新聞紙
□ ペット用シーツ
□ 介護用おむつ
□ ネコ砂

地震で地中の水道管が壊れたり、豪雨で浄水場が機能しなくなったりすると、断水が発生します。水の備蓄の目安としては、1人あたり1日3L。食事や飲料用に2L、歯磨きや手洗いなどの衛生・生活用に1Lという計算です。7日分で1人21L。夫婦2人では42Lになります。

必要な量のペットボトルの水を用意し、日常生活で消費したら買い足す〈ローリングストック〉で一定量を確保しておくことが備蓄の基本的な考え方。加えて、水を確保するために浴槽の活用もおすすめです。

通常、災害発生から断水までは少し時間がかかるため、水道水が出るうちに浴槽に溜めておく。水道水は塩素が入っているので、5日間くらいは安心して使えます。

ただし、地震が起きた際に排水管が破損している場合もあるので、確認がとれるまではトイレや浴室、洗面所などで水を流さないよう注意が必要です。

また水については、避難所でペットボトルが配給されたり、給水車が回ってきたりするので、災害時の給水場所を事前に確認しておきましょう。

ただし、給水場所から家まで運ぶのは重労働。ポリタンクに水を入れたものの、重すぎて運べなかったという声をよく聞きます。そんな時のために、カートを用意しておくと便利です。

ほかには、二重にしたビニール袋に水を入れてショッピングカートで運んだり、段ボール箱にビニール袋を二重にかぶせ、そこに水を入れて袋の口を縛って運ぶ方法も。マンションのエレベーターが使えない時は、水を入れたビニール袋をリュックで背負うとラクですよ。

災害時に最も困るのは、トイレ問題。断水や排水管の損傷によって流せなくなる可能性があるため、携帯トイレの準備は必須です。

携帯トイレは、ビニールの汚物袋と、排泄物を固める凝固剤が入っていて、1セット100円ほど。便器に汚物袋を取り付けて使います。トイレの使用回数は少なくても1人1日5回、1週間で35回と言われており、家族3人なら105個が必要に。家族が多いほど高額になってしまうので、代用品を使うのも手です。

まず、下地袋となるビニール袋を便器にかけ、養生テープでずり落ちないように固定。その上からもう1枚ビニール袋をかぶせ、用便の水分を吸わせるために新聞紙などを敷いておく。

排泄後は上のビニール袋だけ取り外して口を縛り、ゴミとして処理します。防臭袋に入れるのが理想ですが、ゴミ袋の上からラップを巻くと臭いを遮断できますよ。

ラップは使い勝手がよく、食事を盛り付ける前にお皿の上に敷き、食べ終わった後に捨てれば洗い物を減らせます。使い道の多い厚手のビニール袋(45L)とラップは、たくさん常備しておきましょう。

感染予防・衛生管理、食料は?<2>につづく

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