マンガ『源氏物語』10話【若紫】「恐ろしや」思いを遂げた源氏だが、そのために帝の妻・藤壺の宮は妊娠。執着し続けた幼い藤壺の姪もその手におさめて…
大石静さんの脚本で紫式部(演:吉高由里子さん)の生涯を描く大河ドラマ『光る君へ』。紫式部といえば『源氏物語』の作者としてあまりにも有名です。空蝉、六条御息所、夕顔、藤壺、末摘花、朧月夜、若紫――。たぐいまれなる美貌と才能で人々を魅了し、女性と逢瀬を重ねる光源氏の物語を漫画家・長谷川法世さんは『源氏物語―マンガ日本の古典』にて描きました。今回はそこから「若紫」をご紹介。伝統描法を大胆に取り入れた平成版源氏物語絵巻をここに!
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いよいよ藤壺と…
今夜のことは夢だったのか現だったのか
なんとおいたわしい
ああ…
気分がすぐれない藤壺
おめでたいことです
恐ろしや
帝に呼ばれて
なんと清らかな音であろう
恐ろしや恐ろしや
舞いの練習をしていると
あの尼君はお亡くなりに
幼い人はどんなに不安がっておいでだろう
姫君は父宮に引き取られることに
なぜ私にお任せにならないのです
どうぞこちらへ
このように幼い方なのです
眠いと訴える姫君を抱き…
私が宿直を務めよう
お二人で御帳に入られるとは…
まるで男女の逢瀬のよう
再び妻・葵の上の元へ
お逢いしとうない
源氏の君はいずこかへ
お迎えですよ
なんとされます
父宮にはなんと申し開きをすればよいのでしょう
姫君はもう私がいただいた
※本稿は、『源氏物語(上)―マンガ日本の古典 (3)』(著:長谷川法世/中公文庫)の一部を再編集したものです。
05/09 12:30
婦人公論.jp