一体どこへ行った!? Jリーグを退団した外国人選手10人の去就。2023シーズン限りで日本を去った助っ人たち

【写真:Getty Images】

●FW:レアンドロ・ダミアン(ブラジル)

今月末に迫った2024明治安田Jリーグの開幕に備え、各クラブはオフの期間中に人員整理を進めてきた。助っ人外国人選手も例外ではなく、昨季終了をもって多くの選手が所属クラブを退団している。その中には既に新天地で活躍している選手もいれば、未だ無所属の選手もいる。そこで今回は、2023シーズンをもってJリーグを去った助っ人外国人選手10人の去就を紹介する。

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生年月日:1989年7月22日(34歳)
前所属クラブ:川崎フロンターレ
2023リーグ戦成績:12試合3ゴール1アシスト
現所属クラブ:無所属

 長らく川崎フロンターレの攻撃を牽引し続けてきた功労者は、いまだ次なる活躍の場が決まっていない。

 ブラジル代表の一員としてロンドンオリンピック出場経験もあるレアンドロ・ダミアンは、2018年12月にサントスFCから川崎Fへ完全移籍を果たした。そこから昨季まで5シーズンにわたって川崎Fでプレーを続け、公式戦通算178試合71ゴール27アシストという成績を収めている。2021シーズンにはリーグ戦23ゴールという圧巻のパフォーマンスで最優秀選手賞(MVP)、ベストイレブン、J1得点王に輝くとともに、チームを2季連続のJ1リーグ優勝へ導いている。

 そんなクラブ史に残る活躍を残してきたダミアンだが、昨季は苦しい期間が長く続いた。シーズン開幕前に右足関節の手術に踏み切り、戦列復帰を果たしたのは4月。復帰後も手術の影響もあってかコンディションが上がらず、夏には左足関節のねんざで再び離脱を強いられた。最終的にリーグ戦12試合3ゴール1アシストと不本意な結果に終わっている。そして昨年12月に、2023シーズン終了のタイミングでダミアンが川崎Fを退団することが発表された。

 現在同選手は無所属となっているが、インテルナシオナウ(ブラジル)の専門誌『Revista Colorada』に同選手の代理人が語ったところでは、今オフにブラジルの2クラブ(詳細は明かされていない)が同選手の獲得に動いたとのこと。今後の動向を注視したい。

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●FW:アレックス・シャルク(オランダ)

生年月日:1992年6月7日(31歳)
前所属クラブ:浦和レッズ
2023リーグ戦成績:7試合1ゴール2アシスト
現所属クラブ:ADOデン・ハーグ(オランダ)

 数こそ多くは無かったが、アレックス・シャルクのゴールは鮮烈でダイナミックなものが多い印象だ。

 2022年3月に浦和レッズに加入したシャルクは、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2022の山東泰山戦で移籍後初ゴールを決めた。後半からピッチに立つと、53分に味方からの絶妙なグラウンダークロスを流し込み、76分には直接フリーキックを沈めて、一気に2ゴールを奪っている。

 昨季は、第6節柏レイソル戦で72分から途中出場すると、その約3分後に相手ディフェンダーの背後を取って豪快なフィニッシュ。その直前のプレー(GK西川周作から丁寧にボールを繋いで前進していった過程)を無駄にせず、しっかりとフィニッシャーとしての役割を果たした。浦和では最終的に公式戦33試合に出場して9ゴールを記録するのにとどまったが、与えられた出場機会を無駄にせず、持ち前の高いシュート技術でゴールネットを揺らしてきた。しかし、契約満了をもって今オフに同クラブを離れ、ADOデン・ハーグ(オランダ)へ移籍している。

 すでに新天地ではリーグ戦第32節エメン戦でアシストを記録。今のところ後半途中からの起用がメインであり、スーパーサブとしての役割を担っている。昨季12位でシーズンを終えたチームは現在好調を維持しており、第24節終了時点でその順位は2位。3シーズンぶりの1部昇格に、シャルクがここぞという場面で見せる決定力は不可欠だ。

●FW:ブレッシング・エレケ(ナイジェリア)

生年月日:1996年3月5日(27歳)
前所属クラブ:鹿島アントラーズ
2023リーグ戦成績:2試合0ゴール0アシスト
現所属クラブ:無所属

 鹿島アントラーズでクラブ史上初めてのアフリカ国籍選手となったブレッシング・エレケだが、フォワードの選手として満足のいくパフォーマンスを見せることはできなかった。

 エレケは、2022年のサマートランスファーでKベールスホットVA(ベルギー)から鹿島へ移籍。同選手には、退団したFW上田綺世の穴を埋める点取り屋としての活躍が期待されていた。しかし蓋を開けてみれば2022シーズンのリーグ戦出場は4試合。昨季は同わずか2試合の出場に終わり、シーズン終了後に契約満了で退団することがクラブから発表された。最終的に鹿島では2シーズン在籍して公式戦通算6試合1ゴール1アシストという結果となっている。

 しかし、エレケにも同情の余地はある。鹿島加入が決まった当時の監督はルツェルン在籍時にも指導を受けたレネ・ヴァイラー監督であり、お互いによく知る関係だったのだが、その後まもなくして恩師ヴァイラー監督が解任。エレケにとってあまりにも不運な日本でのキャリアスタートだった。

 一方でポストプレーやヘディングシュートといった身長188cmの大きな身体を活かしたプレーは少なく、エレケ自身の強み・持ち味を与えられた機会で発揮できなかったことも事実。鹿島を離れた後は無所属となっているが、次なるクラブではその特徴を前面に出したダイナミックなプレーを見せてくれることに期待したい。その新天地候補はいまのところ有力な情報はなく、ナイジェリア人ストライカーの今後の動きに注目だ。

●MF:ジョアン・シミッチ(ブラジル)

生年月日:1993年5月19日(30歳)
前所属クラブ:川崎フロンターレ
2023リーグ戦成績:30試合1ゴール1アシスト
現所属クラブ:サントス(ブラジル)

 名古屋グランパス、そして川崎フロンターレで活躍したジョアン・シミッチは、この冬に母国ブラジルのクラブでプレーすることが決まった。

 アンカーやダブルボランチの一角を主戦場とする同選手は、2019年2月にアタランタ(イタリア)から名古屋へ完全移籍で加入した。名古屋では公式戦通算62試合に出場し、2021年1月に川崎Fへ移籍。同クラブでは公式戦通算109試合に出場し、J1リーグ優勝(2021シーズン)と天皇杯優勝(2023シーズン)の2つのタイトルを獲得している。

 川崎Fは昨季終了後の12月10日にシミッチが契約満了に伴い、チームを退団することを発表。貴重な戦力としてチームを支え続けたブラジル人は名門サントスへ移籍することを決断した。

 そのサントスは昨季クラブ史上初めて2部に降格。今季は勝ち点を積み重ねて、是が非でも1部昇格を果たさなければならない。左足から放たれる正確無比なパスが今季のJリーグで見られないことは残念だが、名門クラブ再興を目指すシミッチの挑戦を見守りたい。

●MF:フアン・マタ(スペイン)

生年月日:1988年4月28日(35歳)
前所属クラブ:ヴィッセル神戸
2023リーグ戦成績:1試合0ゴール0アシスト
現所属クラブ:無所属

 チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドとイングランドを代表するクラブで活躍してきたフアン・マタがヴィッセル神戸に入団する。そのニュースを見て驚いた人も多かっただろう。

 2022年6月に赤い悪魔を退団したマタは、夏の移籍マーケットでトルコの強豪ガラタサライへ、契約オプション付きの1年契約で移籍した。この時のガラタサライは大型移籍を敢行。マタと同じタイミングで、元アルゼンチン代表FWマウロ・イカルディなど欧州で活躍した実力者が続々と加入している。

 トルコではリーグ戦16試合に出場して、3ゴール1アシストを記録。そのうち先発は3試合で、後半終盤にピッチに立つ試合がほとんどだった。このためクラブは契約延長オプションを行使せず、マタはわずか1年でトルコを去っている。

 そして、次のプレーの場に選んだのが神戸だ。しかし蓋を開けてみれば、最終的に出場したのは、リーグ第27節サンフレッチェ広島戦)の10分のみ。アンドレス・イニエスタ、セルジ・サンペールが退団した神戸は強度の高いカウンターサッカーへ転換を果たしており、年齢による持久力低下とプレス強度に不安があったマタは出場機会が与えられなかった。神戸は悲願のJリーグ優勝を果たしたが、同選手がそれに貢献したとは言い難いだろう。結局、昨季終了をもって神戸を退団している。その後は無所属の状態が続いており、今のところ新天地の有力な噂はない。ワールドクラスのチャンスメーカーの次の行き先は果たして…。

●DF:クォン・ギョンウォン(韓国)

生年月日:1992年1月31日(32歳)
前所属クラブ:ガンバ大阪
2023リーグ戦成績:20試合1ゴール0アシスト
現所属クラブ:水原FC(韓国)

 FIFAワールドカップ2022・カタール大会の韓国代表メンバーにも選ばれた実力者は、この冬の移籍市場でJリーグを離れている。

 クォン・ギョンウォンは、2022年1月に城南FC(韓国)からガンバ大阪へ完全移籍を果たした。4月に行われた第9節湘南ベルマーレ戦で、3バックの一角として先発出場を果たしJ1リーグデビュー。5月の第12節ヴィッセル神戸戦でコーナーキックから移籍後初ゴールを奪っている。最終的にこのシーズンは16試合に出場。1試合あたりの空中戦勝率は82%と、エアバトルで無類の強さを発揮した(データサイト『Sofa Score』参照)。

 2年目となる昨季は副キャプテンに就任。より一層の活躍が期待されたが、コンディション不良に悩まされたシーズンに。ベンチ外の期間が数回あり、リーグ戦の先発出場は18試合に留まった。最終節ヴィッセル神戸戦前に今シーズンをもって退団することが発表され、その神戸戦では先発出場。しかし、ガンバ大阪でのラストマッチは前半終盤に負傷退場という残念な幕切れに終わった。

 先日母国Kリーグ2部の水原FCへ完全移籍することが発表された。同クラブは昨季リーグ10位とギリギリの残留を果たしており、今季は上位躍進を狙った順風満帆なシーズンを歩みたい。残留争いに巻き込まれた昨季はリーグワーストとなる65失点を喫しており、新加入のクォン・ギョンウォンには守備の立て直しが求められるだろう。

●MF:ディエゴ・ピトゥカ(ブラジル)

生年月日:1992年8月15日(31歳)
前所属クラブ:鹿島アントラーズ
2023リーグ戦成績:31試合3ゴール1アシスト
現所属クラブ:サントスFC(ブラジル)

 鹿島アントラーズの中心選手だったディエゴ・ピトゥカは、この冬にJリーグを離れた選手の1人だ。

 ピトゥカは2021年にブラジルの名門サントスから鹿島へ完全移籍で加入。鹿島には昨季まで3シーズンにわたって在籍し、公式戦通算109試合8ゴール11アシストという素晴らしい記録を残した。シーズン途中である昨年7月にサントスが事前契約締結を発表し、この冬、その契約通りフリー移籍で古巣クラブに帰還している。

 サントスでは1月21日に行われたボタフォゴ戦で先発して移籍後初出場を果たした。この試合では同じくJリーグで活躍したジョアン・シミッチ(この冬に川崎フロンターレから加入)と共に中盤を形成し、勝利に貢献している。その後も現在まで、公式戦5試合連続で先発に名を連ねている。

 サントスは昨季の最終節で敗れたことにより、クラブ史上初の2部降格が決定。サポーターが暴徒化し、地元警察が出動する事態となった。屈辱的な状況から早く脱するために、今季は1部昇格が至上命題。ピトゥカにはベテランとして若手に経験を伝えると共に、熱い闘争心でチームを引っ張ってもらいたい。

●DF:マテイ・ヨニッチ(クロアチア)

生年月日:1991年1月29日(33歳)
前所属クラブ:セレッソ大阪
2023リーグ戦成績:22試合0ゴール0アシスト
現所属クラブ:仁川ユナイテッド(韓国)

 セレッソ大阪の助っ人外国人としてお馴染みのマテイ・ヨニッチは、再び仁川ユナイテッド(韓国)へ戻ることを決断した。

 現在33歳のクロアチア人ディフェンダーは、これまで数多くのクラブを渡り歩き、行く先々で高い評価を得てきた。C大阪もそのクラブの1つだ。2016年の冬に加入すると、出足の鋭いタックルと闘争心あふれるブロックで相手のチャンスを幾度となく潰し、ゴールを死守。2017シーズンはクラブにYBCルヴァンカップと天皇杯優勝をもたらし、2019シーズンにはクラブ史上最小失点記録樹立に大きく貢献している。個人では、2019シーズン、2020シーズンの2年連続で優秀選手賞に選ばれた。

 そして2021年1月に上海申花へ完全移籍をすることになったが、昨季約2年ぶりにC大阪へ復帰している。しかしながら、負傷離脱の影響もあって、先発出場は前回所属時と比べて大きく減少した18試合に。その影響もあってか、契約満了をもって、この冬にC大阪を離れた。

 移籍先として選んだのが、2016年に日本に来る前に所属していた仁川ユナイテッド。昨夏までヴィッセル神戸に所属していたFWステファン・ムゴシャと同僚になっている。まだシーズンは開幕していないが、ヨニッチは韓国の地で再び壁となるだろうか。

●FW:アルトゥール・カイキ(ブラジル)

生年月日:1992年6月15日(31歳)
前所属クラブ:鹿島アントラーズ
2023リーグ戦成績:13試合1ゴール0アシスト
現所属クラブ:スポルチ・レシフェ(ブラジル)

 約3年間を鹿島アントラーズで過ごしたアルトゥール・カイキは、今冬に母国ブラジルのクラブへ移籍を果たしている。

 このブラジル人選手のプレースタイルを「サイドアタッカー」と括るのは難しい。初期配置では左サイドに陣取っているが、試合中は中央でボールを受けることも多い。流動的にポジションを移しながら味方選手が空けたスペースに入っていくのが特徴的だ。最大の魅力が、ヘディングの上手さ。身長174cmと大柄な選手ではないものの、落下地点の正確な読みと抜群ジャンプ力を生かして強烈なヘディングシュートを放つことが可能だ。2022シーズンは頭で6度ゴールネットを揺らしている(リーグ戦の記録)。

 鹿島ではこれまで多くの試合で先発し、その得点力の高さを示してきたが、3年目となる昨季は出場時間が急激に減少。途中出場での起用が続き、リーグ戦平均出場時間はわずか21分だった。これにより今冬、さらなる飛躍を求めてブラジル2部スポルチ・レシフェへ移籍している。

 スポルチでは1月18日に行われたレトロ戦でリーグ戦デビューを果たすと、20分に移籍後初ゴールを記録した。すでに出場5試合で2ゴールと好調なスタートを切っており、現在リーグ1位のチームを支えている。このまま順調に得点数を伸ばし、リーグ優勝と1部昇格の立役者となるだろうか。

●GK:ヤクブ・スウォビィク(ポーランド)

生年月日:1991年8月31日(32歳)
前所属クラブ:FC東京
2023リーグ戦成績:24試合37失点(クリーンシート7回)
現所属クラブ:コンヤスポル(トルコ)

 ベガルタ仙台、FC東京とJリーグのクラブを渡り歩いたヤクブ・スウォビィクは、新天地にトルコリーグを選んだ。

「クバ神」の愛称を持つ32歳の元ポーランド代表は、2021年12月にFC東京へ完全移籍。東京では公式戦61試合に出場し、21回のクリーンシートを達成している。抜群の反射神経と長い手足を使ってビックセーブを連発し、これまで幾度となくチームの危機を救ってきた。

 その一方で足元の技術には不安が残り、同選手はショットストップで試合の流れを変えるタイプ。アルベル・プッチ・オルトネダ、ピーター・クラモフスキーと後方からしっかりとボールを繋いでいく「ポゼッションサッカー」を志向する監督が指揮する東京のプレーモデルとはやや相性が悪かった。昨季は途中からアカデミー出身の野澤大志ブランドンにポジションを奪われ、夏以降は控えGKに。そしてクラブから2023シーズン終了をもって、約2年間在籍した首都クラブを離れることが発表された。

 現在はトルコ1部コンヤスポルに所属しており、先日に行われたスュペル・リグ第24節チャイクル・リゼスポル戦で新天地デビューを果たしている。この試合では4セーブの活躍でクリーンシートに貢献し、データサイト『Sofa Score』上ではチーム2位タイとなる評価点「7.9」を獲得している。同クラブは現在リーグ19位に沈んでいる上に、冬の移籍市場で正GKが退団。スウォビィク以外のGKは10代という経験値不足な状況であるため、ベテランとして守備に安定感をもたらしたい。残留を掴み取れるかはスウォビィクのセーブに懸かっていると言っても過言ではない。

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