サッカー日本代表からは? アジアカップ・グループリーグのベストイレブン。ここまで最高の選手は?【アジアカップ2023】

【写真:Getty Images】

 AFCアジアカップカタール2023(アジア杯)・グループリーグの全日程が終了し、ベスト16が出そろった。今回は、グループリーグで特に活躍が目立った選手をピックアップし、ベストイレブン形式で紹介する。※各データはAFC公式サイトを参照、[4-4-2]で選出。
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●GK

GK:サラノン・アヌイン(タイ代表)
所属クラブ:チェンライ・ユナイテッド(タイ)
生年月日:1994年3月24日
アジアカップ2023成績:1試合0失点

 タイ代表のサラノン・アヌインは、タイのチェンライ・ユナイテッドに所属する29歳のGKで、国際舞台ではほぼ無名と言える選手だが、第3戦のサウジアラビア代表戦で名を上げた。

 石井正忠監督率いるタイ代表は、第1戦と第2戦でパンワット・カマイがゴールを守った。安定感のあるセービングで2試合連続のクリーンシートを達成していたが、第3戦でゴールを任されたのはアヌインだった。

 アヌインは立ち上がりの8分に鋭い飛び出しで相手の決定機を阻止すると、12分にはPKを足で止めて完全に勢いに乗る。72分にもサウジアラビア代表の決定機を右手一本で止めて、格上にゴールを許さなかった。

 アヌインは2018年からタイ代表に呼ばれているものの、これがA代表デビュー戦だった。その記念すべき試合でいきなりマン・オブ・ザ・マッチに選出されている。サウジアラビア代表が決勝トーナメントに向けてメンバーを落としていたことを考慮しても、大仕事を成し遂げたと言えるはずだ。

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●CB

CB:冨安健洋(日本代表)
所属クラブ:アーセナル(イングランド)
生年月日:1998年11月5日
アジアカップ2023成績:2試合0得点0アシスト

 日本代表における冨安健洋の重要さは、目新しい発見ではない。それでも、冨安が出るか出ないかでチームが大きく違うのは確かだった。

 負傷明け間もない状態で大会に入った冨安は、初戦のベトナム代表戦はベンチ外で、2戦目から出場している。イラク代表との試合は前半に押し込まれる時間が続いたが、後半のスタートから投入された冨安がラインを押し上げて、日本代表の守備を修正した。

 グループリーグ最終戦のインドネシア代表戦は先発でプレーし、日本代表の守備に安定感をもたらした。日ごろプレミアリーグでワールドクラスのFWと戦っているだけあって、対人守備に全く不安がない。また、攻撃の起点としても優秀で、簡単に蹴り出してもいいようなボールでもしっかりとコントロールして味方につないだ。

 攻守ともにレベルが高い冨安の不安要素といえば、負傷離脱が多いことくらいだろう。万全の状態であれば、日本代表で最も安心してみていられる選手の1人だ。

CB:アリ・アル・ブライヒ(サウジアラビア代表)
所属クラブ:アル・ヒラル(サウジアラビア)
生年月日:1989年11月21日
アジアカップ2023成績:3試合1得点0アシスト

 アリ・アル・ブライヒは、2018年に28歳でサウジアラビアA代表デビューを飾った比較的遅咲きの選手だ。それでも、ワールドカップ2大会でプレーするなど経験を重ね、今大会でも中心選手として奮闘している。

 サウジアラビア代表は、グループリーグ3試合で1失点という強固な守備を誇っている。初戦のオマーン代表戦の失点もPKによるものだった。そのディフェンスの要を担っているのがアル・ブライヒだ。オマーン代表戦では守備だけでなく、1-1で迎えた後半アディショナルタイムにゴールを決めるなど攻撃でも活躍。サウジアラビア代表を勝利に導いた。

 サウジ・プロリーグは近年、世界のトップレベルを獲得して話題になっているが、アル・ブライヒはそういった環境で自信をつかんでいるのかもしれない。昨年12月にはアル・ナスルと対戦した際には、FWクリスティアーノ・ロナウドをシャットアウトし、3−0の勝利をもぎ取っている。試合中にはC・ロナウドに顔を近づけて激しく抗議をするシーンもあった。C・ロナウドが呆れた表情で耳に手を当てて、「聞こえないよ」というジェスチャーをしたシーンも話題になっている。

●SB

SB:アリ・マダン(バーレーン代表)
所属クラブ:アジュマーン・クラブ(UAE)
生年月日:1995年11月30日
アジアカップ2023成績:3試合1得点1アシスト

 アリ・マダンは、2016年にバーレーン代表デビューを飾った28歳だ。今大会はウイングで起用されているが、過去には右サイドバックでもプレーしている。

 身長167cmと小柄なマダンは、左利きのテクニシャンで、前を向いてボールを持ったときに相手の脅威となる。プレーのアイディアが豊富で、ドリブルを仕掛けるタイミングも絶妙だ。また、相手が足を出したくなる間合いにボールを置いてファウルを誘うプレーも得意としている。

 今大会では、第2戦マレーシア代表戦の後半アディショナルタイムに、絶妙なトラップから左足のアウトにかけたテクニカルなシュートを決め、バーレーン代表を勝利に導いた。初戦の韓国代表戦でも得点に関与し、第3戦のヨルダン代表戦では決勝点のアシストを記録しており、勢いに乗っている様子だ。

 バーレーン代表は決勝トーナメント1回戦で日本代表と対戦する。マダンにフリーでボールを持たせることは避けたいだろう。

SB:マフムード・アル・マルディ(ヨルダン代表)
所属クラブ:アル・フセイン(ヨルダン)
生年月日:1993年9月29日
アジアカップ2023成績:3試合2得点0アシスト

 マフムード・アル・マルディは、ヨルダン代表のグループリーグ突破に大きく貢献した選手だ。

 アル・マルディは攻撃的な左サイドの選手で、ヨルダン代表では3-4-3の左MFに入っている。初戦のマレーシア代表戦で開始12分に左サイドから右足で見事なシュートを決めて先制点を記録すると、32分にもカウンターからゴールを奪い、いきなり2得点を記録した。

 第2戦の韓国代表戦は守備の時間も長かったが、3バックの脇のスペースをカバーし、勝ち点1の獲得に貢献している。

 2015年にヨルダン代表デビューを飾ったアル・マルディは現在30歳。世界的な選手とは言えないが、代表キャップ数25を数える経験豊富な選手で、対戦相手は警戒の必要がありそうだ。

●MF

MF:アボスベク・ファイズラエフ(ウズベキスタン代表)
所属クラブ:CSKAモスクワ(ロシア)
生年月日:2003年10月3日
アジアカップ2023成績:3試合1得点1アシスト

 ウズベキスタン代表のアボスベク・ファイズラエフは、今大会で注目されている20歳の若手だ。

 ファイズラエフは、昨年6月に19歳でウズベキスタン代表デビューを飾ると、同年8月に自国のパフタコール・タシュケントからロシアのCSKAモスクワに移籍した。ロシア1部リーグではすぐに結果を残しており、リーグ戦13試合に出場して2得点6アシストを記録している。

 身長167cm・体重59kgと、このレベルの選手としてはかなり線が細い印象だが、ボールの受け方がうまく、大柄な相手に寄せられても鋭いターンで一気に前を向くことができる。高い技術力と俊敏性が武器で、切れ味の鋭いドリブルで密集を切り裂ける選手だ。

 第2戦のインド代表戦ではヘディングで先制点を決め、ウズベキスタン代表のグループリーグ突破に貢献した。ファイズラエフは、今大会でさらに評価を高める可能性もある逸材だ。

MF:遠藤航(日本代表)
所属クラブ:リバプール(イングランド)
生年月日:1993年2月9日
アジアカップ2023成績:3試合1得点1アシスト

 日本代表の主将である遠藤航は、グループリーグでも存在感を見せつけた。3試合全てにフル出場してチームをけん引している。

 球際で抜群の強さを発揮する遠藤は今大会、得点にも関与している。第1戦のベトナム代表戦では南野拓実のゴールをアシストし、第2戦のイラク代表戦では自ら得点を決め、グループリーグで苦戦したチームで奮闘している。

 守備面の貢献度は相変わらず高く、常に周囲への警戒を怠らない。第3戦のインドネシア代表戦で受けた警告は不要だったようにもみえるが、2-0でリードしている状況であっても気を抜いていない証ととることもできるファウルだった。

 遠藤は、プレー面でも精神面でも日本代表の要と言える。決勝トーナメントでもチームを引き締めてもらいたいところだ。

MF:イ・ガンイン(韓国代表)
所属クラブ:パリ・サンジェルマン(フランス)
生年月日:2001年2月19日
アジアカップ2023成績:3試合3得点1アシスト

 日本代表と同じようにグループリーグで苦戦した韓国代表を救った選手が、22歳のイ・ガンインだ。

 バレンシアの下部組織で育ったイ・ガンインは、幼い頃から注目を浴びていた逸材だが、なかなかスペインでブレイクできなかった。それでも2022/23シーズンにマジョルカで結果を残すと、昨年夏にパリ・サンジェルマン(PSG)へ移籍し、スター軍団の仲間入りを果たしている。

 クラブで活躍して韓国代表でも存在感を増してきたイ・ガンインは、第1戦のバーレーン代表戦で2得点を挙げて白星発進の原動力になると、第3戦のマレーシア代表戦では21分にCKで先制点をアシストし、83分には見事な直接FKを決めた。

 韓国代表が3-3で引き分けたマレーシア代表は、FIFAランキング130位の格下だった。そのため、韓国では不甲斐ない戦いに非難の声が上がっているが、イ・ガンインへの期待は高まる一方だろう。

MF:アクラム・アフィーフ(カタール代表)
所属クラブ:アル・サッド(カタール)
生年月日:1996年11月18日
アジアカップ2023成績:3試合3得点1アシスト

 アクラム・アフィーフは、自国開催のアジアカップで大活躍中だ。グループリーグ3試合で3得点1アシストを記録している。

 アフィーフは初戦のレバノン代表戦から勢いに乗っており、2得点を挙げてカタール代表の白星スタートに貢献した。第2戦のタジキスタン戦では見事な抜け出しから決勝点を決めて、グループリーグ突破の原動力になっている。

 アフィーフは、アル・サッドの下部組織で育った。その後、2012年にスペインへ渡り、セビージャの下部組織に入り、ベルギーのオイペンでプロデビューを果たしたあと、2017年にアル・サッドへ戻っている。

 18歳でA代表デビューをしたアフィーフは、2019年のアジアカップでも活躍した。日本代表との決勝戦で1得点2アシストを記録した選手であり、10アシストという大会記録を打ち立てている。

 アフィーフは今季のカタール1部リーグでここまで12試合に出場し、13得点8アシストと驚異的な数字を残しており、今大会でも最高のスタートを切った。カタール国民はアフィーフの大会になることを期待しているだろう。

●FW

FW:アイメン・フセイン(イラク代表)
所属クラブ:アル・クウワ(イラク)
生年月日:1996年3月22日
アジアカップ2023成績:3試合5得点0アシスト

 イラク代表のアイメン・フセインは、第2戦で日本代表から2得点を挙げた選手だが、ほかの2試合でもゴールを決めており、ここまで5得点で大会得点ランキングトップに立っている。

 フセインは、2015年に19歳でイラク代表デビューを飾った。主力としてチームに定着するまで時間は掛かったが、2020年以降はセンターフォワードのレギュラーとして扱われている。

 フセインの最大の特長は、身長189cm・体重84kgの恵まれた体格を活かした空中戦だ。前線でフセインが競り勝つ前提でイラク代表の攻撃が始まっており、得点力だけでなく、戦術的にも要となっている。

 ここまでフル出場はなく、3試合合計のプレー時間は120分。フセインは出場24分あたり1得点を挙げている計算になる。日本代表を苦しめたフィジカルは、決勝トーナメントでも発揮されるだろうか。

FW:上田綺世(日本代表)
所属クラブ:フェイエノールト(オランダ)
生年月日:1998年8月25日
アジアカップ2023成績:3試合3得点0アシスト

 日本代表は、グループリーグで上田綺世の決定力に救われた。上田の3得点がなければ、日本代表はいまごろもっと厳しい状況になっていたかもしれない。

 日本代表は初戦のベトナム代表戦で細谷真大を先発起用したがうまく機能せず、後半から上田が投入された。チャンスそのものは多くなかったが、数少ない好機を活かして1得点を記録し、白星スタートに貢献している。

 第2戦のイラク代表戦では浅野拓磨が先発だったが、こちらも機能したとは言いがたく、試合を1-2で落としている。そして第3節のインドネシア代表戦では上田が今大会初先発となり、開始直後にPKを獲得して先制点を決めると、後半にもゴールを奪った。試合終盤には記録上相手のオウンゴールとなっているものの、上田のシュートからゴールが決まっており、ほぼハットトリックと言える活躍を見せた。

 上田はグループリーグで示した抜群の決定力だけでなく、前線でボールを収めるプレーも得意としており、攻撃の活性化が期待できる。森保一監督が、決勝トーナメントで上田をFWの軸として考えていても不思議ではないだろう。

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