サッカー日本代表からは? アジア杯ベストイレブン。アジア最高峰の選手たち【アジアカップ2023】

【写真:Getty Images】

 サッカー日本代表がベスト8で敗退したAFCアジアカップカタール2023(アジア杯)は、カタール代表の優勝で幕を閉じた。今大会で特に活躍が目立った選手をピックアップし、ベストイレブン形式で紹介する。※各データはAFC公式サイトを参照
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●GK

GK:マシャアル・バルシャム(カタール代表)
所属クラブ:アル・サッド(カタール)
生年月日:1998年2月14日
アジアカップ2023成績:7試合3失点

 アジアカップを制したカタール代表は、簡単な試合ばかりではなかった。マシャアル・バルシャムは、多くのピンチをしのいだ頼れる守護神だ。

 特に準々決勝・ウズベキスタン代表戦は、バルシャムの活躍が不可欠だった一戦だ。延長戦でも決着がつかず、試合はPK戦に突入した。3人目まで終えてカタール代表は2人が失敗し、絶望的な状況となっている。それでも、すでに1本を止めていたバルシャムは、4人目と5人目を見事に止めて、チームを救った。

 バルシャムは身長が180cmで、GKとしてはかなり小柄だ。それでもこのポジションが務まるのは、ずば抜けた身体能力があるからだろう。兄のムタズ・エサ・バルシャムは2020年東京五輪の走り高跳び金メダリストで、バルシャムの驚異的な動きにも説明がつきそうだ。

 決勝のヨルダン代表戦でも至近距離からのシュートを止めるなど活躍したバルシャムはまだ25歳。これから長くカタール代表のゴールを守ることが期待されるGKだ。

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●DF

DF:ルーカス・メンデス(カタール代表)
所属クラブ:アル・ワクラ(カタール)
生年月日:1990年7月3日
アジアカップ2023成績:6試合0得点0アシスト

 優勝したカタール代表は、守備の安定も見事だった。その最終ラインを統率したのが、ルーカス・メンデスである。

 メンデスはブラジル出身のセンターバックで、コリチーバでプロデビューしたあと、フランスのマルセイユへ移籍した。2013年9月にはアーセナルと対戦し、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場も経験している。

 その後、2014年にアル・ジャイシュに加入してカタールでのキャリアをスタートさせたメンデスは、国内で4クラブを渡り歩いてカタールに帰化し、昨年11月にカタール代表デビューを果たした。

 対人守備の強さはもちろんのこと、ブラジル出身のセンターバックらしく、攻撃参加も得意としている。大会を通じて得点はなかったが、ヨルダン代表と対戦した決勝戦では、CKから惜しいヘディングシュートを放っていた。

DF:冨安健洋(日本代表)
所属クラブ:アーセナル(イングランド)
生年月日:1998年11月5日
アジアカップ2023成績:4試合0得点0アシスト

 史上最強とうたわれたサッカー日本代表は、準々決勝敗退という悲惨な結果に終わったが、冨安健洋の存在は未来に向けてポジティブな要素だった。冨安の重要性はいまに分かったことではないとしても、改めてその価値を証明したと言える。

 コンディションが万全ではない状態で大会開幕を迎えた冨安は、第1戦のベトナム代表戦でベンチ外となったが、第2戦・イラク代表戦の後半からピッチに登場した。すぐに最終ラインを引き上げて、苦戦を強いられていた日本代表の守備を立て直している。

 それ以降は、日本代表の最終ラインに堂々と君臨し続けた。対人守備の強さやラインコントロールといった守りの部分で完璧な働きを見せると、攻撃時には高い技術でボールをさばき、左右どちらの足でも正確なフィードを繰り出して起点にもなっている。

 ベテランのような落ち着きをみせる冨安だが、まだ25歳と若く、伸びしろも十分にある。日本代表の大きな武器であることは間違いない。

DF:エサン・ハダド(ヨルダン代表)
所属クラブ:アル・ファイサリー(ヨルダン)
生年月日:1994年2月5日
アジアカップ2023成績:6試合0得点1アシスト

 エサン・ハダドは、準優勝したヨルダン代表の主将を務めた選手だ。今大会はグループリーグ第3戦のバーレーン代表戦を除く全試合に出場している。

 ハダドは21歳だった2015年にヨルダン代表デビューを飾ったベテランで、大会期間中に誕生日を迎えた。30歳になって初めての試合となった準決勝・韓国代表戦では、パンチ力のあるミドルシュートで相手ゴールを脅かすと、右サイドを激しくアップダウンして攻守に奮闘している。前半終了間際にはハイボールに食らいついた際にファン・ヒチャンの頭を足で捉えるようなシーンがあったが、警告のみで大事には至らず。後半に2得点を決めたヨルダン代表は決勝に進んだ。

 決勝ではカタール代表の堅い守備の前にヨルダン代表は苦戦を強いられたが、ハダドは59分に惜しいシュートを放ち、67分には正確なクロスでヤザン・アル・ナイマトのゴールをアシストしている。

DF:モハンメド・ワード(カタール代表)
所属クラブ:アル・サッド(カタール)
生年月日:1999年9月18日
アジアカップ2023成績:6試合0得点1アシスト

 モハンメド・ワードは、カタール代表の左サイドを務めた選手だ。グループリーグ第3戦の中国代表戦を除く6試合でプレーし、優勝に貢献した。

 所属するカタールのアル・サッドでセントラルMFを担当しているワードだが、今大会は守備での貢献が目立った。PK戦の末に勝ち上がった準々決勝・ウズベキスタン代表戦では、36分に大ピンチがあったものの、間一髪のところでワードのブロックが間に合った。ヨルダン代表との決勝戦でも、前半終了間際にムサ・アル・ターマリのシュートをブロックしてチームを救っている。

 カタール代表は左サイドのアクラム・アフィーフが攻撃の要となったが、チームのストロングポイントを存分に活かせたのは、一列後ろに頼れるワードがいたことも大きかっただろう。

●MF

MF:ムサ・アル・ターマリ(ヨルダン代表)
所属クラブ:モンペリエ(フランス)
生年月日:1997年6月10日
アジアカップ2023成績:6試合3得点1アシスト

 アジアカップの過去最高成績がベスト8だったヨルダン代表の躍進に貢献した1人が、右サイドのムサ・アル・ターマリだった。

 アル・ターマリはフランスのモンペリエに所属するウインガーで、ヨルダン代表で唯一の欧州組だ。グループリーグ初戦のマレーシア代表戦で2得点を決めて好スタートを切ると、特に準決勝・韓国代表戦で印象深い働きをしている。53分に敵陣でのインターセプトに成功してアシストを記録すると、66分には右サイドからドリブルで2人をかわして左足のミドルシュートを決め、韓国代表の気持ちをへし折った。

 その姿は「ヨルダンのメッシ」とも称され、観る者を魅了した。決勝のカタール代表戦では得点を決めることができなかったものの、随所に存在感を発揮しており、攻撃の要だったことは確かだ。アル・ターマリがいなければ、ヨルダン代表の準優勝はなかったかもしれない。

MF:イ・ガンイン(韓国代表)
所属クラブ:パリ・サンジェルマン(フランス)
生年月日:2001年2月19日
アジアカップ2023成績:6試合3得点1アシスト

 ベスト4で敗退した韓国代表にとって大きな収穫は、“至宝”イ・ガンインがチームの中心になったことだろう。

 バレンシアの下部組織で育ったイ・ガンインは、日本における久保建英のように、幼少期から注目を集めてきた。飛躍に時間が掛かったものの、2022/23シーズンにマジョルカで活躍して昨年夏にパリ・サンジェルマン(PSG)へ移籍し、ワールドクラスの選手の仲間入りを果たしている。

 韓国代表としては、2022年のカタールワールドカップは4試合中3試合がベンチスタートだったものの、その後主力に定着した。代表レギュラーとして初めて臨んだメジャートーナメントである今大会では、初戦のバーレーン代表戦で2得点を記録するなど躍動している。データサイト『Opta』によると、チャンスクリエイト数は「11」で、大会トップタイの数字だった。

 準決勝・ヨルダン代表戦でのボールロストが多かった点が指摘されているが、それだけチームの勝敗を左右するキーマンとして期待が集まっている証明と言えるかもしれない。

MF:アクラム・アフィーフ(カタール代表)
所属クラブ:アル・サッド(カタール)
生年月日:1996年11月18日
アジアカップ2023成績:7試合8得点3アシスト

 2019年アジアカップ決勝のサッカー日本代表戦で1得点2アシストを記録したカタール代表のアクラム・アフィーフは、今大会の主役だった。7試合で8得点3アシストを記録している。

 今季のカタールリーグで12試合出場13得点と絶好調のアフィーフは、グループリーグで3得点1アシストと活躍すると、決勝トーナメントでも躍動した。準々決勝のイラン代表戦では1得点1アシストを記録し、3-2の勝利に大きく貢献している。

 自ら決めるだけでなく、左サイドから対角のスペースに出すロングパスも精度抜群で、対戦相手はシュート、ドリブル、パスと、全てを警戒しなければいけない厄介な選手だった。

 ヨルダン代表と対戦した決勝戦では、先制となるPKを獲得して自ら決めると、ソックスの中に仕込んでいたトランプを出して手品を披露。ゴールパフォーマンスでマジックという前代未聞の行動に出たが、“ネタ”を仕込むほど得点する予感が本人にあったのかもしれない。

 その後、前半終了間際に負傷し担架でピッチを出てひやりとしたが、すぐにプレーに戻ると、後半にはPKで2点を追加し、今大会唯一となるハットトリックを達成。8得点で大会得点王となり、大会MVPにも選出された。

●FW

FW:ソン・フンミン(韓国代表)
所属クラブ:トッテナム(イングランド)
生年月日:1992年7月8日
アジアカップ2023成績:6試合3得点0アシスト

 64年ぶりのアジアカップ制覇を目指した韓国代表は準決勝で敗退したが、ソン・フンミンはエースの仕事をしたと言えそうだ。

 31歳のベテランは、アジアカップで全試合にフル出場した。所属するトッテナムでもほぼ休みなしでプレーしているなか、延長戦2試合を含めてピッチに立ち続けているのは驚異というほかない。

 もちろん、その活躍も見事だった。準々決勝のオーストラリア代表戦は、1点ビハインドで後半アディショナルタイムに突入する厳しい展開だったが、ソン・フンミンがPKを獲得して同点弾が生まれると、延長戦では完璧な直接FKを決め、チームを劇的逆転勝利に導いている。

 韓国代表にとって厳しい試合が多かった今大会だが、そういった状況でチームを引っ張れる選手がいることは大きな意味がありそうだ。

FW:ヤザン・アル・ナイマト(ヨルダン代表)
所属クラブ:アル・アハリ(カタール)
生年月日:1999年6月4日
アジアカップ2023成績:7試合4得点2アシスト

 ヤザン・アル・ナイマトは、準優勝したヨルダン代表の攻撃をけん引した。全試合に出場して4得点2アシストを記録している。

 アル・ナイマトは、グループリーグ初戦のマレーシア代表戦で2アシストを記録すると、第2戦の韓国代表戦でゴールを決めた。準決勝で再び韓国代表と対戦すると、ムサ・アル・ターマリのアシストを受けてゴールを決めている。この試合ではペナルティーエリア内で2人のDFをドリブルでかわしてシュートまで持ち込むシーンもあり、脅威になり続けていた。

 決勝のカタール代表戦は敗れはしたものの、67分に巧みなボールコントロールからゴールを決めており、ヨルダン代表に希望をもたらしている。

 ヨルダン代表メンバーでヨーロッパのクラブでプレーしているのはアル・ターマリのみだが、アル・ナイマトもハイレベルな選手であることが証明された。まだ24歳と若く、今大会の活躍に注目して獲得を目指すクラブが出てきても不思議ではない。

FW:サルダル・アズムン(イラン代表)
所属クラブ:ローマ(イタリア)
生年月日:1995年1月1日
アジアカップ2023成績:5試合2得点3アシスト

 サッカー日本代表を下したイラン代表では、FWサルダル・アズムンが大会を通じて活躍した。

 所属するイタリアのローマでポジションを得られていないアズムンだが、イラン代表では中心選手として活躍している。グループリーグ初戦のパレスチナ代表戦で1得点を決めると、第2戦の香港代表戦は出場せず、第3戦のUAE代表戦で2アシストを記録した。

 準々決勝の日本代表戦では、相棒のメフディ・タレミが出場停止で不在の中、イラン代表の攻撃をけん引している。この試合について日本代表の守備の問題を指摘する声は多いが、モハメド・モヘビが決めた得点シーンのアシストは、トラップからスルーパスまで完璧なアクションだったと言える。続く準決勝でカタール代表に敗れたものの、アズムンは巧みなオーバーヘッドで先制点を決め、強烈なインパクトを残していた。

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