最も集客したクラブは? Jリーグ観客数ランキング41~50位。J1~J3全60クラブの下位に沈んだのは?【2023年】

【写真:Getty Images】

 明治安田生命Jリーグは2023シーズンの全日程を終えた。長いシーズンの中でそれぞれのクラブに紆余曲折があったが、シーズンを通して最も多くの観衆を動員したクラブはどこなのか。J1~J3の全60クラブのホームゲーム入場者数を集計してランキング形式で41〜50位を紹介する。
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●50位:FC琉球

ホームスタジアム:タピック県総ひやごんスタジアム(収容可能人数:10189人)
平均入場者数:2534人

 沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムをホームスタジアムとするFC琉球は、2023シーズンで合計4万8144人の観客を集め、J3で10位の平均2534人を1試合で動員した。過去のシーズンと比べると、物足りない数字だ。

 2019年から2022年までJ2で戦っていた琉球は、新型コロナウイルス感染拡大防止のための入場制限がなかった2019シーズンに、1試合平均4953人を動員した。年間合計10万4009人で、クラブ史上最多を記録している。J3に限定しても、2018シーズンは1試合平均3146人の観客が入っており、2023シーズンよりもスタンドが埋まっている。

 2018シーズンとの大きな差は順位だ。優勝した2018シーズンと17位で終わった今季では、観客の応援の熱にも違いがあったと推察できる。2018シーズンは第30節・ザスパクサツ群馬戦の7810人が最多入場数で終盤戦に大いに盛り上がったが、今季はホームゲームのラスト8試合で平均を超えたのが1試合のみ。最終節・FC岐阜戦(2812人)のみがわずかに平均を上げているだけで、尻すぼみだったことがうかがえる。

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●49位:FC大阪

ホームスタジアム:東大阪市花園ラグビー場(収容可能人数:25861人)
平均入場者数:2708人

 1996年に発足し、2015年にJFLに昇格したFC大阪は、2023シーズンからJ3に参入したクラブだ。初のJリーグでホームスタジアムの東大阪市花園ラグビー場には、1試合平均2708人の観客が訪れている。

 大阪府で3つめのJリーグクラブとなったFC大阪。記念すべきホーム開幕戦である第3節・いわてグルージャ盛岡戦は、3408人の観客が入った。特に8月から9月にかけて盛り上がり、第23節・奈良クラブ戦で4467人、第25節・松本山雅FC戦では4555人を動員。松本戦は2023シーズン最多の観客数で、ファンに後押しされてチームは3-1の勝利を収め、4位に浮上した。

 最終的に11位でシーズンを終えたFC大阪は、志垣良監督が退任してレノファ山口FCの指揮官に就任することが決まり、2024シーズンは大嶽直人氏を監督に迎えることが発表されている。

●48位:ブラウブリッツ秋田

ホームスタジアム:ソユースタジアム(収容可能人数:18560人)
平均入場者数:3139人

 ソユースタジアムをホームスタジアムとするブラウブリッツ秋田は、今季の観客数がJ2で最少の1試合平均3139人だった。それでも、クラブ記録を大きく更新している。

 秋田の過去最多観客動員は、J3だった2018シーズンの1試合平均2476人だった。2021シーズンからJ2で戦っているが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための入場制限があったため、クラブ記録の更新はできていない。それでも、制限がなくなった2023シーズンは、クラブ史上初の3000人超えを達成している。

 特にシーズン終盤は、観客数が安定して多かった。同じ東北勢との対戦となった第36節・モンテディオ山形戦は、シーズン最多の5193人を記録。この試合を含むホームゲームのラスト6試合は、V・ファーレン長崎戦を除く5試合で今季の平均を上回っている。

 観客数が増加傾向にある秋田は今月18日、駐車場シェアリングサービスのakippaと連携を発表した。約500台分の駐車場では不十分だったようで、さらに観客が増えてもスタジアムに行きやすい環境をつくるために、新たな取り組みをしている。

●47位:藤枝MYFC

ホームスタジアム:藤枝総合運動公園サッカー場(収容可能人数:5937人)
平均入場者数:3145人

 藤枝MYFCは、2022シーズンにJ3で2位になって昇格を果たした。クラブ史上初のJ2挑戦となった2023シーズンは、ホームスタジアムの藤枝総合運動公園サッカー場に1試合平均3145人が訪れている。

 藤枝はサッカー王国のクラブで、静岡県勢とのダービーマッチは多くの観客が入り、第16節・ジュビロ磐田戦は5696人でほぼ満員となった。第37節・清水エスパルス戦はこれをさらに上回り、当日券販売なしの完売で、クラブ記録を更新する6288人の観客が入っている。

 シーズン序盤と終盤で、観客数に大きな違いがあることも特徴的だ。ホームゲーム最初の5試合の平均が2335人だったのに対して、最後の5試合の平均は4194人となっている。終盤戦は残留争いによる増加があったとしても、良い傾向でシーズンを終えた。

●46位:カターレ富山

ホームスタジアム:富山県総合運動公園陸上競技場(収容可能人数:18588人)
平均入場者数:3444人

 富山県総合運動公園陸上競技場をホームスタジアムとするカターレ富山は、2023シーズンのJ3で1試合平均3444人の観客を集めた。

 富山は、第4節・AC長野パルセイロ戦で今季最少の1619人を記録してさみしいスタンドになった。それでもチームは序盤から好調で第6節で首位に立つと、第8節・松本山雅FC戦では6225人の大観衆がチームを後押しした。

 シーズン最多動員は、3位で迎えた最終節だった。富山は、逆転で昇格するためにY.S.C.C.横浜戦で勝たなければいけない大事な一戦で、スタンドには6453人の観客が入った。

 試合は立ち上がりに先制を許したものの、終了間際にアルトゥール・シルバのゴールで逆転し、富山が2-1で勝利を手にしたものの、2位・鹿児島ユナイテッドFCがガイナーレ鳥取と引き分けたため、得失点差で及ばず。笑顔なき勝利となった。

 J2復帰という目標には届かなかったが、観客動員はコロナ禍以前の2019シーズンの1試合平均2737人から約700人の大幅増となっている。富山にとって、3000人超は2017シーズン以来のことだ。

●45位:いわきFC

ホームスタジアム:ハワイアンズスタジアムいわき[いわきグリーンフィールド](収容可能人数:5048人)
平均入場者数:3941人

 いわきFCは、2023シーズンのJ2で1試合平均3941人の観客動員だった。

 いわきは近年急速に力をつけているクラブ。2020シーズンに初めて参戦したJFLで7位になり、翌2021シーズンに優勝して昇格。2022シーズンはJ3で優勝して、2023シーズンは初めてのJ2挑戦だった。

 いわきは今季序盤戦から苦しみ、一時は最下位に低迷した。チームの不振で客足も遠のいたようで、第19節・ロアッソ熊本戦は、今季最少となる2011人の観客数となっている。それでも6月14日に村主博正監督の契約を解除して、ゼネラルマネージャーだった田村雄三が新監督になって浮上を始めると、観客数も増えていった。

 Jリーグ全体でみると観客数が多い方ではないものの、本拠地のハワイアンズスタジアムいわきの収容可能人数は5048人で、客席の多くが埋まっていた。第28節・ジュビロ磐田戦とホーム最終節・モンテディオ山形戦は、5000人超の超満員となっている。大きな声援に後押しされたいわきは、18位でシーズンを終えてJ2に残留した。

●44位:AC長野パルセイロ

ホームスタジアム:長野Uスタジアム(収容可能人数:15515人)
平均入場者数:3528人

 長野UスタジアムをホームスタジアムとするJ3のAC長野パルセイロは、3528人の平均観客動員だった。

 2022シーズンのJ3で14位だった長野は、2023シーズンに上々の出だしだった。第7節までで4勝2分け1敗の好スタートを切ると、長野Uスタジアムが最も熱くなったのは第10節・松本山雅FCとの「信州ダービー」。あいにくの雨天だったが、今季J3全体で最多の1万2458人の観客が入り、チームは2-1で勝利して首位に浮上し、スタンドを大いに喜ばせた。

 しかし、長野はその後調子を落としてしまい、8月末にはシュタルフ悠紀監督を解任。指揮官交代後も調子が戻らず、シーズン序盤のスタジアムの熱狂は戻ってこないまま、14位でシーズンを終えた。

 過去のシーズンと比較すると、新型コロナウイルスの影響がなかった2019シーズンの平均観客数がちょうど3000人で、528人の大幅増加だ。ただし、上記の「信州ダービー」を除く18試合で考えると、1試合平均は3032人でほぼ横ばいで、ビッグマッチ以外の集客は課題と言えるかもしれない。

●43位:愛媛FC

ホームスタジアム:ニンジニアスタジアム(収容可能人数:20919人)
平均入場者数:3674人

 2023シーズンのJ3で優勝してJ2昇格を決めた愛媛FCは、1試合平均3674人の観客を動員した。

 新型コロナウイルスの影響による入場制限がなかった2019シーズン、愛媛の平均観客数は3780人だった。ただ、当時J2で戦っていたことを考えると、2023シーズンの3674人は良い数字と捉えることができるだろう。

 愛媛は開幕戦・いわてグルージャ盛岡戦で3961人を動員したあと、しばらくは観客数が伸びなかった。第4節・FC大阪戦では、1593人の今季最少を記録している。しかし、シーズン中盤で首位に立つと、第20節・松本山雅FC戦に4012人の観客が訪れ、シーズン初の4000人超を達成。その後もチームは首位を維持し、さらに観客数が増えていった。

 第35節・FC今治戦は、クラブ史に残る歴史的なゲームになった。「伊予決戦」というだけで注目だったが、大一番に勝った上で、2位の鹿児島ユナイテッドFCが負けると優勝が決まるという状況で、1万1128人の観客がスタジアムを訪れている。大観衆に後押しされて勝利した愛媛は、ダービーで優勝を決めて、ファンに大きな喜びを与えた。

●42位:FC今治

ホームスタジアム:今治里山スタジアム(収容可能人数:5316人)
平均入場者数:3711人

 今治里山スタジアムをホームスタジアムとするFC今治は、2023シーズンの1試合平均観客数が3711人だった。

 2019シーズンにJFLで3位となって2020シーズンからJ3で戦っている今治は、Jリーグ挑戦が始まったタイミングで新型コロナウイルス感染拡大防止のための入場制限があったため、過去との比較は難しい。それでも、観客数はシーズンごとに増えている。今季は2022シーズンの2320人から約1.6倍の増加だった。

 2023シーズンで最も多く観客が入ったのは、開幕戦・福島ユナイテッドFC戦の5424人。第10節・愛媛FCとの「伊予決戦」も5037人の観客が訪れ、収容可能人数5316人の今治里山スタジアムはほぼ満席だった。

 観客数が3000人を割ったのは3試合のみで、安定してスタジアムが埋まっていた印象を受ける。チームも過去最高の4位でシーズンを終えており、集客でも成績でもポジティブな結果と言えそうだ。

●41位:水戸ホーリーホック

ホームスタジアム:ケーズデンキスタジアム水戸(収容可能人数:10152人)
平均入場者数:3726人

 ケーズデンキスタジアム水戸をホームスタジアムとする水戸ホーリーホックは、2023シーズンのJ2で1試合平均3726人の観客を動員した。

 2000年からJ2で戦い続けている水戸は、2013シーズン以降、コロナ禍前の2019シーズンまで、毎年平均観客数が4000人を超えていた。7位になった2019シーズンは、6087人でクラブ史上最多記録を更新していたが、2023シーズンは大幅に減少している。

 ホーム開幕戦は、まずまずだった。J3から昇格してきたいわきFCとの対戦は「常磐線ダービー」として話題になり、5028人の観客が訪れている。しかし、チームはなかなか結果が出ずに下位に低迷した。これが客足に影響したのか、開幕戦の観客数をなかなか超えられなかった。

 2023シーズン最多入場者数を記録したのは、最終節・清水エスパルス戦で9219人がやってきている。シーズンのラストゲームとして重要だったとしても、すでにJ2残留を決めていた水戸にとっては消化試合だった。一方で、2位で最終節を迎えた清水は自動昇格を決められるかどうかの大一番だったため、観客数急増の理由はアウェイチームにあると考えるのが妥当だろう。

 水戸の今季の観客数で、2019シーズンの平均を超えたのはこの1試合のみというのは、ショッキングなことかもしれない。

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