Jリーグ“最強”クラブは? パワーランキング21~30位。人気や育成、成績など各指標からJ1~J3全60クラブを順位化

【写真:Getty Images】

 サッカークラブの持つ影響力は単一の尺度で測れるものではないが、複数の指標から見えてくるものもある。今回はJ1、J2、J3の全60クラブを対象に、成績、人気、育成、売上の4つの指標を抽出して数値を組み合わせてランキング形式にした。果たして、最も“力のある”Jクラブはどこなのだろうか。

※見出しの括弧内の数字は、各項目の1位(最高位)を60ポイント、60位(最下位)を1ポイントとして降順で計算した合計値

30位:松本山雅FC(117)
2023リーグ戦成績:8位(J3)
2023リーグ戦平均入場者数:8181人(26位)
2023シーズンホームグロウン人数:7人(18位タイ)
2022年度営業収益:約15億1000万円(33位)

 2021シーズンにJ2で最下位に沈んだ松本山雅は、12シーズンのJリーグ入会以降初めてJ3に降格した。翌シーズンは昇格圏と勝ち点1差の4位、今季は同8差でJ2復帰を逃している。

 3季続けてJ3に属することになったが、規模で見ればJ3では頭一つ抜けている。今季の平均入場者数は8181人で、2位の鹿児島ユナイテッド(5904人)を大きく上回る。今季のホームゲームでは1万人入場を3度達成しており、第31節のAC長野パルセイロ戦では今季最多の1万2457人を集めた。昨年度の営業収益も全体33位で、J2の水戸ホーリーホックや栃木SCの1.5倍の収益を確保している。

 今季開幕時点でのホームグロウン人数は7人で、J3では愛媛FCに次ぐ2番目の多さだった。中でも小松蓮は育成組織出身の代表格ともいえる存在で、今季自己最多の19得点を挙げてJ3ベストイレブンと得点王に輝いている。成績以外の項目ではJ2でも決して劣らない数字を残しているが、2シーズン続けてJ2復帰という目標は達成できなかった。

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29位:FC町田ゼルビア(121)
2023リーグ戦成績:優勝(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:7426人(29位)
2023シーズンホームグロウン人数:2人(40位タイ)
2022年度営業収益:約19億1900万円(28位)

 青森山田高校で輝かしい実績を残した黒田剛監督を招へいしたFC町田ゼルビアは、いきなりJ2優勝という結果を残してクラブ史上初のJ1昇格を果たした。ただ、それ以外の数字は発展途上といった印象で、全体のランキングでは29位という結果になった。

 今季の平均入場者数は7426人で、全体29位、J2では10位とほぼ真ん中。序盤戦は3000人台の試合が多かったが、後半戦は町田GIONスタジアムで1万人超えを2度記録している。さらに国立競技場で開催された第25節の東京ヴェルディ戦では3万8402人を動員。結果的には2016シーズンの5123人を2000人以上も上回る7426人を記録している。

 昨年度の営業収益も前年度の約4億円増となっており、J2優勝を果たした今年度、そしてJ1に属する来年度とさらに上がっていくことが容易に想像できる。また、今季開幕時点のホームグロウン人数はたった2人で、そのうちの1人で前身のFC町田ジュニアユース出身の太田宏介は今季限りで現役を引退している。

28位:V・ファーレン長崎(123)
2023リーグ戦成績:7位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:7300人(31位)
2023シーズンホームグロウン人数:3人(34位)
2022年度営業収益:約20億6400万円(27位)

 2018シーズンに初めてJ1の舞台に立ったV・ファーレン長崎だが、1年でJ2に降格。今季は最後までJ1昇格プレーオフ進出の可能性を残したが、7位でシーズンを終えている。

 昨年度の営業収益は20億円を超えたが、(昨季の)J2では8番目の多さだった。観客動員数もJ2では11位と中位に位置する。ジェフユナイテッド千葉を迎えた開幕節で1万1165人、昇格争いが佳境のFC町田ゼルビアとの第36節では1万3893人と、多くの観客を動員した試合もあったが、ホームラストマッチとなる第41節のベガルタ仙台戦では9977人の動員に留まった。

 今季は3人のホームグロウン選手とともに開幕を迎えたが、夏に五月田星矢と加藤聖が移籍したことで、安倍大晴1人になった。ただ、来季に西村蓮音が加入することが決まっており、ガンバ大阪に移籍した江川湧清を筆頭に、アカデミーからトップチームに人材を輩出する流れができ始めている。

27位:ヴァンフォーレ甲府(130)
2023リーグ戦成績:8位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:7485人(28位)
2023シーズンホームグロウン人数:5人(23位タイ)
2022年度営業収益:約15億6400万円(32位)

 ヴァンフォーレ甲府は天皇杯優勝により出場権を獲得したAFCチャンピオンズリーグ(ACL)と並行しながらJ1昇格を目指したが、最終節でモンテディオ山形に敗れてJ1昇格プレーオフ進出を逃した。それでも、ACLではグループ首位通過を果たすという快挙を達成している。

 営業収益は2020年度、21年度と12億円程度だったが、昨年度は15億円を超えた。今季のホームグロウン選手は5人と多くないが、山内康太や小林岩魚、内藤大和はアカデミー出身で現在はトップチームに在籍している。

 今季のリーグ戦における平均入場者数は7485人。国立競技場で開催されたACLはグループステージ3試合すべてで1万人以上を動員したが、リーグ戦では1万人を切る試合も少なくなかった。2007シーズンから17シーズンはコンスタントに平均で1万人を超えていたが、以降は減少傾向にある。

26位:モンテディオ山形(132)
2023リーグ戦成績:5位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:8318人(25位)
2023シーズンホームグロウン人数:3人(34位タイ)
2022年度営業収益:約21億9200万円(25位)

 8連敗を喫して監督交代するという苦しいシーズンの始まりとなったモンテディオ山形だが、コーチから昇格した渡邉晋新監督の下で3度の5連勝をマークするなどしてリーグ戦を5位で終え、J1昇格プレーオフに滑り込んだ。

 平均入場者数は8318人で、J2としてはクラブ過去最高となった。J2に降格した2016シーズンから地道に数字を伸ばしていき、19シーズンにはJ2では初の8000人を突破。コロナ禍で動員は伸び悩んだものの、制限が撤廃された今季はそれを上回る数字を残している。

 アカデミー出身で今季からガンバ大阪でプレーする半田陸が日本代表に選出されるというニュースは、クラブにとっても大きな出来事だった。アカデミー出身で活躍する選手は決して多くなく、今季のホームグロウン選手もわずか3人だが、来季には千葉虎士と上林大誠がトップチームに昇格する。さらに、ユース出身の相馬丞と狩野海晟も大学を経由して加入することが決まっているため、来季はホームグロウン人数が大幅に増加することになりそうだ。

25位:ベガルタ仙台(142)
2023リーグ戦成績:16位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:1万1215人(16位)
2023シーズンホームグロウン人数:4人(29位タイ)
2022年度営業収益:約26億6600万円(19位タイ)

 後半戦に失速してJ1昇格プレーオフ進出を逃した昨季とは異なり、今季のベガルタ仙台は昇格争いにほとんど加わることなく、16位という残念な成績でシーズンを終えた。

 平均入場者数は全体16位の1万1215人を記録し、柏レイソルやサガン鳥栖などJ1クラブを凌ぎ、J2では清水エスパルスに次いで2番目に多い。また営業収益は約26億6600万円で、これもJ2では清水エスパルス、ジュビロ磐田に次いで3番目。今更言うまでもないかもしれないが、J2の下位に沈む規模のクラブではないことは明らかである。

 今季開幕時点でのホームグロウン選手は4人。郷家友太や小畑裕馬をはじめとするアカデミー出身の4選手がトップチームに登録されていた。長く年代別の日本代表を率いた森山佳郎を指揮官に迎える来季、彼らを含めた若手がJ1昇格の鍵を握るかもしれない。

24位:ジェフユナイテッド千葉(143)
2023リーグ戦成績:6位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:8523人(23位)
2023シーズンホームグロウン人数:4人(29位タイ)
2022年度営業収益:約26億3800万円(20位タイ)

 今季のジェフユナイテッド千葉の平均入場者数は全体23位の8523人で、J2の中では5番目に多い。プレーオフ進出がかかったV・ファーレン長崎との最終節には1万5201人を動員したが、敗れた千葉は6位に順位を落とし、J1昇格プレーオフをホームで開催することができず。準決勝で東京ヴェルディに敗れてJ1昇格を逃している。

 ただ、近年は2桁順位に終わることも多かった千葉にとって、6位という順位は2017シーズンと並んで直近9シーズンで最高位だった。また、昨年度の営業収益は昨季のJ2で2番目に多い約26億3800万円で、J1の湘南ベルマーレを上回る。

 さらに、千葉はかつて阿部勇樹や山岸智、佐藤寿人、勇人兄弟らを輩出したアカデミーを持ち、鳥海晃司や大橋祐紀など現在J1で活躍するアカデミー出身選手もいる。今季開幕時点のホームグロウン選手は4人だが、来季は谷田壮志朗がU-18から昇格、U-15、U-18出身の久保庭良太が立教大学を経て加入することが決まっている。

23位:大宮アルディージャ(145)
2023リーグ戦成績:21位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:6758人(31位)
2023シーズンホームグロウン人数:10人(5位タイ)
2022年度営業収益:約26億3800万円(20位)

 2016シーズンにJ1で5位になった大宮アルディージャは、翌シーズンに最下位に沈んでJ2降格、そして今季のJ2で21位となり、J3降格が決まった。

 平均入場者数も成績に伴って減少し続けている。J2で上位に食い込んでいた18、19シーズンはともに9000人以上を記録していたが、コロナ禍を経て迎えた今季は6758人に留まった。09シーズンは1万3707人を記録しており、そこから14年で半減した計算になる。経営への影響も避けられず、18年度は約39億7200万円だった営業収益は、わずか4年で13億円以上も減ってしまった。

 J3から再出発することとなった大宮の希望はアカデミーの存在だ。毎年のようにU-18から昇格、または大学を経由してアカデミー出身の選手が加入しており、石川俊輝菊地俊介のように他クラブを経由して戻ってくる選手もいる。今季開幕時点のホームグロウン選手はリーグ5位タイの10人を数え、U-18出身の村上陽介が明治大学を経由して来季加入する。

22位:大分トリニータ(149)
2023リーグ戦成績:9位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:9202人(21位)
2023シーズンホームグロウン人数:8人(14位タイ)
2022年度営業収益:約18億2700万円(30位)

 昨季から順位を4つ落とし、2年続けてJ1昇格を逃した大分トリニータ。J2で2シーズン指揮を執った下平隆宏監督は今季限りで退任し、かつてJ1に導いた片野坂知宏監督の下で再出発を図る。

 今季の平均入場者数は9202人で、J2で戦ったシーズンの中では2002シーズンの1万2349人、12シーズンの9721人に次ぐ多さ。1万人にこそ届かなかったが、J2では4番目に多い入場者数となった。営業収益はJ1に在籍したシーズンからの減少は避けられなかったが、J1昇格を決めた18シーズンから比べて約7億円も増加している。

 近年はアカデミーからコンスタントにトップチームに人材を供給しており、弓場将輝や屋敷優成、保田堅心といった年代別代表選手もトップチームでプレーしている。今季開幕時点でのホームグロウン選手は8人で、J2ではジュビロ磐田、清水エスパルス、東京ヴェルディに次ぐ人数だった。

21位:東京ヴェルディ(157)
2023リーグ戦成績:3位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:7982人(27位)
2023シーズンホームグロウン人数:9人(9位タイ)
2022年度営業収益:約21億1600万円(26位)

 国立競技場で行われたJ1昇格プレーオフ決勝で清水エスパルスと1-1で引き分けた東京ヴェルディは、実に16シーズンぶりとなるJ1昇格を決めた。城福浩監督率いるチームは終盤戦でしぶとく勝ち点を重ね、自動昇格こそ逃したが、3位でリーグ戦を終えていた。

 昨年度の営業収益は約21億1600万円で、10億円を切った過去に比べれば増えているが、J2でもトップレベルとは言い難い。平均入場者数はJ2降格以降、7000人を割り続けていたが、今季は7982人を記録。計算対象外ではあるものの、J1昇格プレーオフ決勝では国立競技場に5万3264人を集めている。

 トップチームに人材を供給し続けたアカデミーは、16年越しの悲願を支えた。主将の森田晃樹、谷口栄斗、西谷亮らアカデミー出身選手の活躍も印象的で、今季開幕時点でのホームグロウン選手はリーグ全体で9番目に多い9人を数えた。

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