Jリーグ“最強”クラブは? パワーランキング1~10位。人気や育成、成績など各指標からJ1~J3全60クラブを順位化

【写真:Getty Images】

Jリーグ“最強”クラブは? パワーランキング1~10位。人気や育成、成績など各指標から読むJ1~J3全60クラブが持つパワー

 サッカークラブの持つ影響力は単一の尺度で測れるものではないが、複数の指標から見えてくるものもある。今回はJ1、J2、J3の全60クラブを対象に、成績、人気、育成、売上の4つの指標を抽出して数値を組み合わせてランキング形式にした。果たして、最も“力のある”Jクラブはどこなのだろうか。

※見出しの括弧内の数字は、各項目の1位(最高位)を60ポイント、60位(最下位)を1ポイントとして降順で計算した合計値

10位:ガンバ大阪(199)
2023リーグ戦成績:16位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:2万3273人(5位)
2023シーズンホームグロウン人数:8人(14位タイ)
2022年度営業収益:約59億6900万円(7位)

 2008年にはAFCチャンピオンズリーグと天皇杯の2冠に、2014年にはJ1、天皇杯、Jリーグ杯の国内3冠に輝いたガンバ大阪だが、近年はやや低迷していると言える。2020年はJ1で川崎フロンターレに次ぐ2位、天皇杯でも決勝進出を果たしたが、直近3シーズンでは目立った成績を見せることができないどころか、リーグ戦では13位、15位、16位と低迷して降格圏に近づいている。

 営業収益は2019シーズンより約4億円増加しているが、リーグ戦の入場者数は2019シーズンと比べると約4000人も減少している。また、関西圏屈指のアカデミーを持つガンバだが、ホームグロウン登録人数では、セレッソ大阪とヴィッセル神戸を下回る。海外移籍の低年齢化など、状況の変化もあるが、近年でアカデミーからトップチームの主力となった選手も少ない。

 実績やクラブの規模感を見ればJ1でもトップレベルのクラブだが、本ランキングで順位が伸びなかった最大の原因はやはり成績だろう。来季の続投が決まったダニエル・ポヤトス監督の下でガンバが優勝を争うことはできるのだろうか。

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9位:セレッソ大阪(201)
2023リーグ戦成績:9位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:1万7074人(10位)
2023シーズンホームグロウン人数:9人(9位タイ)
2022年度営業収益:約42億1600万円(11位)

 4項目すべてが10位前後という均整のとれた数値となったセレッソ大阪。1995年のJリーグ参入以来、J2に3度降格しているが、上位に食い込んだ年も少なくない。2021年8月から指揮を執る小菊昭雄監督の下では下位に沈むことはなく、YBCルヴァンカップでは21年、22年と2年連続で決勝進出を果たすなど、高水準の成績を残している。

 今季は終盤戦の失速が響いて最終的に9位となったが、それまでは上位をキープしていた。また、今季開幕時点では9人のホームグロウン選手が登録されている。香川真司山下達也、今季限りで退団する丸橋祐介といったベテラン、北野颯太や西尾隆矢といった若手が在籍している。

 営業収益は2019年度と比較すると約5億円の増収となっている。19年度は約2.8億円の損失となっていたが、22年度は5700万円の純利益に。トップチーム人件費が約4億円削減されていることが変化の大きな一因となっているが、香川が今季加入したことで人件費にも変化が起きるかもしれない。

8位:名古屋グランパス(209)
2023 リーグ戦成績:6位(J1)
2023 リーグ戦平均入場者数:2万7504人(4位)
2023 シーズンホームグロウン人数:7人(18位タイ)
2022 年度営業収益:約60億9100万円(5位)

 2016年の悪夢のようなJ2転落から、見事1年でJ1復帰を果たした名古屋グランパス。J1復帰後2シーズンは下位に低迷するも、2020年以降はリーグ戦3位、5位、8位とリーグ上位に名を連ねた。今シーズンは、序盤戦でヴィッセル神戸、横浜F・マリノスと激しい首位争いを繰り返すも、夏にマテウス・カストロがチームを去り、最終順位は6位に留まった。

 営業収益は、2019シーズンに比べて約8億円減少。一方で、リーグ戦の平均入場者数はチーム史上最高の数字だった2019シーズンとほぼ横ばいの2万7504人まで復調を見せている。ホームグロウン人数は、直近3シーズンで4人、6人、7人とかろうじて右肩上がりではあるものの、全体では18位と課題が残っている。

 近年、トップハーフに安定した名古屋グランパス。昨年の相馬勇紀を皮切りに、森下龍矢、藤井陽也が日本代表に招集されるなど、チームとしての話題も尽きない。長谷川健太体制3年目となる来シーズンは、2010年以来14年ぶりのリーグ優勝を実現することはできるのだろうか。

7位:浦和レッズ(210)
2023リーグ戦成績:4位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:3万509人(1位)
2023シーズンホームグロウン人数:5人(23位タイ)
2022年度営業収益:約81億2700万円(1位)

 Jリーグ最大規模を誇る浦和レッズだが、本ランキングでは7位に留まった。平均入場者数3万509人は今季も1位で、昨年度の営業収益も2位ヴィッセル神戸を約20億円近くも突き放すダントツの数字だが、それ以外の項目が低水準となってしまった。

 今季開幕時のホームグロウン選手は5人。Jリーグ全体では23位タイと少ない人数となっている。ただ、日本代表を経験するまでに成長した伊藤敦樹を筆頭に荻原拓也、関根貴大と試合に絡んでいる選手が過半数を占める。さらに、アカデミー出身の松尾祐介、橋岡大樹、鈴木彩艶らが海外に活躍の場を求めたことを加味すれば、一概に低評価と言い切ることもできない。

 残されたFIFAクラブワールドカップも合わせて60試合を超える公式戦をこなした2023シーズンを経て、ペア・マティアス・ヘグモ監督を招へいする2024シーズンは国内タイトルを獲ることはできるのだろうか。

6位:FC東京(215)
2023リーグ戦成績:11位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:2万9410人(2位)
2023シーズンホームグロウン人数:10人(5位タイ)
2022年度営業収益:約52億7400万円(8位)

 今季のFC東京は中位をさまよい続け、監督交代を経ても順位は大きく変わらず。終盤は負けが込み、11位でシーズンを終えている。優勝を争った2019シーズン以降は6位、9位、6位、11位と優勝争いからは遠ざかっている。

 入場者数は浦和レッズに次ぐ2位で、今季は2万9410人を記録しているが、2019年と比較すると約2000人も減少している。その間、経営権が東京ガスからミクシィへと移り、エンブレムのアップデートを含めたクラブのリブランディングが進んでいるところ。営業収益も2019年度の約56億3500万円から約4億円落としている。

 FC東京の育成組織はこれまで数多くの選手をトップチームに輩出しており、今季開幕時点では10人が名を連ねた。野澤大志ブランドンは正GKの座を手中に収め、ルーキーの俵積田晃太もリーグ戦27試合に出場する飛躍のシーズンを送っている。そのほかにもバングーナガンデ佳史扶、熊田直紀といった世代別代表で活躍する選手も在籍しており、トップチームの戦力になっている。

4位タイ:川崎フロンターレ(217)
2023リーグ戦成績:8位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:1万9840人(9位)
2023シーズンホームグロウン人数:10人(5位タイ)
2022年度営業収益:約69億7900万円(2位)

 川崎フロンターレは4位タイに名を連ねている。今季は天皇杯優勝で一矢報いることができたが、リーグ戦は2012年以降最低となる8位で終えた。チームとしては過渡期を迎えているが、根強い人気は変わらない。入場者数こそ2019年の2万3272人から1万9840人と3000人以上減少しているが、入場料収入や営業収益は19年度から22年度でほぼ横ばいとなっている。

 川崎は近年、三笘薫や田中碧ら多くの日本代表を育成組織から輩出してきた。アカデミーからトップチームへ人材を送り込むサイクルは現在も続いており、脇坂泰斗や宮代大聖、山田新がトップチームで活躍。大関友翔、松長根悠仁、高井幸大もアカデミーからトップチームに昇格している。高卒で加入した登里享平らを含め、今季は10人のホームグロウン選手が登録されていた。

 入場者数は順位こそ低いが、これは等々力陸上競技場のキャパシティ(2万6827人)が影響している。現在予定されている改修により収容人数が約3万5000人に拡大すれば、入場者数は大幅に増えると予想できる。

4位タイ:サンフレッチェ広島(217)
2023リーグ戦成績:3位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:1万6128人(11位)
2023シーズンホームグロウン人数:16人(1位)
2022年度営業収益:約40億1700万円(12位)

 ミヒャエル・スキッベ監督の下で魅力的なサッカーを展開するサンフレッチェ広島が4位タイに名を連ねた。リーグ戦では3連敗を含む6戦勝利なしなど苦しい時期もあったが、最終的には昨季と同じ3位でフィニッシュしている。

 今季の平均入場者数は1万6128人で、Jリーグ全体11位とそこまで高くはない。ただ、1万3886人だった2019年と比べると2000人以上増加している。来年から使用される新スタジアム・エディオンピースウイング広島でスペクタクルなサッカーを見せることができれば、その数字は飛躍的に上昇するかもしれない。

 入場者数(11位)や営業収益(12位)で上位に食い込むことができなかった広島は4位に食い込むことができたのは、育成組織の力と言えるだろう。今季のホームグロウン選手は16人で、Jリーグ全体でトップ。その実績は広く知られているところで、GK大迫敬介、DF荒木隼人、MF川村拓夢、MF満田誠など、各ポジションの主力にアカデミー出身者が並んでいる。

2位タイ:ヴィッセル神戸(219)
2023リーグ戦成績:優勝(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:2万2553人(7位)
2023シーズンホームグロウン人数:9人(9位タイ)
2022年度営業収益:約63億6500万円(4位)

 今季はヴィッセル神戸の歴史に深く刻まれた年になった。吉田孝行監督の下でクラブ初のリーグ優勝を成し遂げただけでなく、ホーム年間入場者数記録を更新。さらに、国立競技場で行われた鹿島アントラーズ戦では5万3444人を動員し、1試合のホーム最多入場者数を更新した。

 平均入場者数は7位となり、昨年度の営業収益でも4位につける。さらに、今季のホームグロウン選手数は9人。得点王でMVPの大迫勇也、キャプテンマークを巻く山口蛍、闘将・酒井高徳ら他クラブ出身のベテランが多い印象があるかもしれないが、アカデミー出身の山川哲史や佐々木大樹は優勝に大きく貢献している。

 優勝争いが佳境を迎えた終盤は、前半に比べて入場者数が増加した。ただ、アンドレス・イニエスタの退団が今年度の営業収益や来季以降の入場者数にどう影響するかは分からない。

2位タイ:横浜F・マリノス(219)
2023リーグ戦成績:2位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:2万7716人(3位)
2023シーズンホームグロウン人数:8人(14位タイ)
2022年度営業収益:約64億8100万円(3位)

 AFCチャンピオンズリーグ(ACL)をまだ残しているものの、多くの負傷離脱者が出た中で過酷なシーズンを総力戦で戦った横浜F・マリノス。惜しくもリーグ連覇という目標を達成することはできなかったが、3つの項目で3位以内に入り、総合でも2位タイにつけている。

 2万7716人を記録した平均入場者数は、優勝へあと一歩まで迫った2013年を上回り、クラブ最多記録を更新した。前半戦は天候に恵まれないホームゲームも多く、金曜開催が計5試合あった中での記録更新には大きな価値があるだろう。営業収益も2019年度と比較して約6億円も増加している。

 唯一上位に食い込めなかったのはホームグロウン人数だが、14位タイという順位ながら、今季開幕時点で8人が登録されている。水沼宏太や喜田拓也という精神的支柱がおり、吉尾海夏や山根陸といった有望株の成長も著しい。アカデミーはコンスタントにトップチームに選手を輩出している。

1位:鹿島アントラーズ(222)
2023リーグ戦成績:5位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:2万2031人(8位)
2023シーズンホームグロウン人数:12人(3位)
2022年度営業収益:約61億1600万円(5位)

 鹿島アントラーズが栄えある1位に輝いた。国内においては7シーズン連続無冠となり、今季は5位という成績でシーズンを終えた。ザーゴ、相馬直樹、レネ・ヴァイラー、岩政大樹と4年間で4人の監督が指揮を執ったが、いずれの政権も短期で終わっている。

 一方で平均入場者数は2万2031人を記録し、2001年以来となる2万2000人超えを達成した。ただ、2022年度の営業収益は2019年度の約67億6800万円と比較して約6億円の減収となっている。19年に株式会社メルカリが経営権を取得した鹿島は、今後どのように変わっていくのだろうか。

 かつて曽ヶ端準や野沢卓也を輩出したアカデミーは、近年もトップチームに人材を送り出している。現メンバーで在籍歴が最も長いのは土居聖真で、鈴木優磨や垣田裕暉もアカデミーからトップチームに昇格している。ホームグロウン人数は全体3位の12人で、荒木遼太郎や柴崎岳昌子源といった高卒で鹿島に加入した選手が多くカウントされている。

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