Jリーグ“最強”クラブは? パワーランキング11~20位。人気や育成、成績など各指標からJ1~J3全60クラブを順位化

【写真:Getty Images】

 サッカークラブの持つ影響力は単一の尺度で測れるものではないが、複数の指標から見えてくるものもある。今回はJ1、J2、J3の全60クラブを対象に、成績、人気、育成、売上の4つの指標を抽出して数値を組み合わせてランキング形式にした。果たして、最も“力のある”Jクラブはどこなのだろうか。※見出しの括弧内の数字は、各項目の1位(最高位)を60ポイント、60位(最下位)を1ポイントとして降順で計算した合計値

20位:横浜FC(160)
2023リーグ戦成績:18位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:9128人(22位)
2023シーズンホームグロウン人数:5人(23位タイ)
2022年度営業収益:約28億6100万円(16位)

 横浜FCは今季のJ1リーグで最下位に沈み、1年でのJ2降格が決まった。本ランキングの指標ではすべて20位前後という形になっており、J1で戦い続けているチームと比較すると劣る数字があるのが現実だ。

 今季の平均入場者数は1万人を割る9128人だった。ホームのニッパツ三ツ沢球技場の収容人数1万5442人であることを加味してもJ1基準で見ると寂しい数字だ。単純に比較することはできないが、収容人数が同規模のホームスタジアムを持つ湘南ベルマーレ(レモンガススタジアム平塚)や柏レイソル(三協フロンテア柏)にも入場者数では下回る。第5節の京都サンガ戦では天候が追い打ちをかける形で今季最低の3401人を記録している。

 育成組織からは斉藤光毅を輩出しているが、今季開幕時点でのホームグロウン人数は5人とやや少ない。ただ、J2で2位となった2022年度の営業収益は全体16位で、他クラブと比較しても決してJ1残留というのが難しい規模ではない。J1残留に失敗した横浜FCは、田端秀規氏をゼネラルマネージャーに招へいして再出発を図ることになる。

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19位:湘南ベルマーレ(163)
2023リーグ戦成績:15位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:1万3161人(15位)
2023シーズンホームグロウン人数:5人(23位タイ)
2022年度営業収益:約24億7700万円(23位)

 コロナ禍で降格がなかった2020シーズンも含め、湘南ベルマーレは2018シーズンから6シーズン連続でJ1残留を決めた。本ランキングは19位で、決して突出した数字はないものの、クラブの色が見えてくる。

 平均入場者数は1万3000人を超えた。これは9月に開催した国立競技場での川崎フロンターレ戦で5万4243人を動員したことによる影響が大きいだろう。この試合を除く平均入場者数は1万594人で、コロナ禍の3シーズンを除くと湘南ベルマーレになって以来、最低の数字となっている。

 遠藤航齊藤未月らを輩出したアカデミーの印象は強いが、今季のホームグロウン人数は5人と少ない。ただ、杉岡大暉や鈴木冬一、平岡大陽のように高卒で湘南に加入して主力になるケースは多いだけに、今季の数字だけで一概に評価を下すことはできない。クラブは2季連続で「5位以内」という目標を掲げていたが、5位以内を争うクラブと比較すると、複数の側面でまだまだ差があると言わざるを得ない。

18位:サガン鳥栖(171)
2023リーグ戦成績:14位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:1万231人(19位)
2023シーズンホームグロウン人数:6人(20位タイ)
2022年度営業収益:約27億6100万円(18位)

 開幕節で1-5という大敗を喫して低調な滑り出しとなったが、残留争いに加わることなくシーズンを終えた。しかし、成績は昨季から3つ落とす14位で、上位をうかがうことはできなかった。それでも、他の指標と比較すると、成績面では健闘していると言えるかもしれない。

 平均入場者数はリーグ全体で19位。J1ではワースト3位で、わずかに1万人を超えた。1万5000人を超えた2018、19年はフェルナンド・トーレスが在籍していたという事情があるにせよ、コロナ禍の3シーズンを除けば、2012シーズンの昇格以来最低の数字となっている。昨年度は5季ぶりに黒字に転じたが、3期連続で債務超過の状態が続いている。

 今季開幕時点でのホームグロウン人数は20位タイの6人だが、これは決して悲観する数字でもないかもしれない。松岡大起、中野伸哉、大畑歩夢、福井太智ら毎年のように年代別日本代表に名を連ねるタレントを輩出しており、育成という面では国内有数の名門になりつつある。

17位:アビスパ福岡(178)
2023リーグ戦成績:7位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:9766人(20位)
2023シーズンホームグロウン人数:6人(20位タイ)
2022年度営業収益:約28億2900万円(17位)

 2020シーズンより指揮を執る長谷部茂利監督の下で迎えた4年目の今季、アビスパ福岡はクラブ初タイトルとなるYBCルヴァンカップ制覇を果たし、クラブ史上最高位となる7位でシーズンを終えた。それでも、本ランキングで17位に沈んだ原因は他の項目にある。

 平均入場者数はリーグ全体20位で、今季のJ1では横浜FCに次ぐワースト2位だった。2万1562人を収容するベスト電器スタジアムで1万人を切った試合が17試合中11試合を数えた。2023年1月期決算時点で3億円を超える債務超過に陥っているものの、J2で16位だった2019年度と比較すると営業収益は12億円以上増えている。

 今季開幕時点でのホームグロウン人数は6人で、J1水準では低め。鶴野怜樹や森山公弥といった有望株もいるが、主力の平均年齢も高いのが実情だ。素晴らしい成績を収めた今季を、来季以降にどうつなげていくのだろうか。

16位:アルビレックス新潟(184)
2023リーグ戦成績:10位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:2万3113人(6位)
2023シーズンホームグロウン人数:6人(20位タイ)
2022年度営業収益:約25億3900万円(22位)

 6年ぶりにJ1に帰ってきたアルビレックス新潟は、残留争いに巻き込まれることなく10位でシーズンを終えた。夏に伊藤涼太郎という大黒柱が抜けたにもかかわらず、チームは失速せずに調子を上げた。9戦無敗、4試合連続クリーンシートを達成してシーズンを締めくくった。

 4万1684人を収容できるデンカビッグスワンスタジアムには、毎試合多くの観客が訪れる。今季の平均入場者数は2万3113人で、リーグ6位という高い数字だ。2005年にリーグ1位を記録したクラブの人気は健在で、今季は鹿島アントラーズや川崎フロンターレといった人気クラブをも凌ぐ数字を叩き出している。

 ただ、それ以外の数字はやや低めだ。営業収益はJ2にいた昨年度が22位だが、来年1月期の決算ではどれだけ変化するのだろうか。また、今季開幕時のホームグロウン人数は6人。育成組織出身選手は他クラブと比較すると少ないものの、高卒で加入した小見洋太や三戸瞬介など、若手が成長する土壌はある。

15位:ジュビロ磐田(189)
2023リーグ戦成績:2位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:1万446人(18位)
2023シーズンホームグロウン人数:14人(2位)
2022年度営業収益:約32億3200万円(15位)

 補強禁止処分を課せられたジュビロ磐田だったが、横内昭展監督の下で1年でのJ1昇格という目標を達成した。J2に降格した昨季の戦力を活かしながら、大混戦だったJ1自動昇格できる1枠に滑り込んでいる。

 今季は平均1万446人を動員している。J2では3番目に多い数字で、J2で戦った過去5シーズン(2014、15、20、21、23)では最多となる。第5節の清水エスパルス戦では2万2937人、第29節のベガルタ仙台戦では今季最多の2万4247人を動員している。J1で戦っていた昨年度は営業収益も15位で、J1で戦っていくのに最低限の規模を持っていると言えるだろう。

 最大の注目ポイントは、ホームグロウン人数だろう。補強禁止処分により、他クラブで経験を積んでいた若手を呼び戻したという事情があるにせよ、リーグ2位という立派な数字を残した。上原力也や鈴木海音、松原后といった育成組織出身の選手たちが戦力となって掴んだJ1昇格が持つ価値は大きい。

13位タイ:京都サンガF.C.(190)
2023リーグ戦成績:13位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:1万3229人(13位)
2023シーズンホームグロウン人数:9人(9位タイ)
2022年度営業収益:約32億8800万円(14位)

 2021シーズンにJ2で2位となり、12シーズンぶりにJ1に帰ってきた京都サンガF.C.は、紆余曲折がありながらも昨季はJ1参入プレーオフで引き分けてなんとか生き残り、今季は最終節を残して自力でJ1残留と、1歩ずつ階段を上っている印象だ。それは他の指標からもうかがい知ることができる。

 2020年に完成したサンガスタジアムby KYOCERAをホームスタジアムとし、今季の入場者数は昨季の1万1692人から1万3229人にアップ。営業収益もJ2にいた2021年度は約22億900万円だったが、J1に昇格した22年度は約32億8800万円と大幅に増加している。

 駒井善成や原川力、久保裕也、奥川雅也など、アカデミーは伝統的にタレントを輩出してきた。現在はゴールマウスを守る若原智哉、10番を背負う福岡慎平、キャプテンを務める川﨑颯太、麻田将吾らがトップチームの主力として活躍する。地元京都出身の曺貴裁監督の下で、アカデミー出身者が台頭する流れができている。

13位タイ:北海道コンサドーレ札幌(190)
2023リーグ戦成績:12位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:1万6086人(12位)
2023シーズンホームグロウン人数:8人(14位タイ)
2022年度営業収益:約36億500万円(13位)

 四方田修平前監督の下で2016シーズンのJ2を制し、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下でJ1に定住した北海道コンサドーレ札幌。2018シーズンの4位を除くといずれも中位でシーズンを終えている。

 J2を制した2016年度の営業収益は約19億200万円で、新型コロナウイルスの流行という非常事態もありながら、現在は倍近い規模にまで拡大している。平均入場者数はコロナ禍前の2017~19シーズンは約1万8000人を動員しているが、今季は1万6086人まで戻している。

 特筆すべきはアカデミーからトップチームに継続的に人材を輩出する好循環が生まれていることだ。ホームグロウン人数は全体14位タイの8人だが、菅大輝、荒野拓馬が主力を担う。さらに、地元北海道出身の宮澤裕樹はキャプテンを務め、背番号10をつけるバンディエラ的存在である。1桁順位は今季も達成することができなかったが、それを目指すための土壌はある。

12位:清水エスパルス(192)
2023リーグ戦成績:4位(J2)
2023リーグ戦平均入場者数:1万4393人(13位)
2023シーズンホームグロウン人数:10人(5位タイ)
2022年度営業収益:約50億8700万円(9位)

 今季からJ2に戦いの場を移した清水エスパルスは、開幕7戦未勝利という低迷から巻き返しに成功し、最終節で引き分けて自動昇格を逃した。プレーオフでも東京ヴェルディに土壇場で追いつかれ、来季もJ2で戦うこととなった。

 とはいえ、他の指標はJ1にいてもおかしくない水準にある。J1で戦った昨年度の営業収益は全体9位。さらに、今季の平均入場者数は全体13位で、その下にはJ1クラブが6つもある。コンスタントに1万人以上を動員したことに加え、第26節のジェフユナイテッド千葉戦を国立競技場で開催し、4万7628人を動員したことも入場者数が伸びた一因になった。

 サッカー王国の名に恥じないアカデミーを有しており、今季開幕時点では10人のホームグロウン選手が在籍している。アカデミー出身の北川航也や西澤健太、宮本航汰、高卒で清水に加入した白崎凌兵などが活躍している。

11位:柏レイソル(196)
2023リーグ戦成績:17位(J1)
2023リーグ戦平均入場者数:1万1130人(17位)
2023シーズンホームグロウン人数:12人(3位タイ)
2022年度営業収益:約46億3200万円(10位)

 5月にネルシーニョ監督が退任し、井原正巳新監督に指揮権が引き継がれた柏レイソルは、ギリギリのところでJ1残留を決めた。8月以降はわずか2敗だったが、4勝7分2敗となかなか勝てず、残留決定は最終節にずれ込んだ。

 平均入場者数は全体17位だが、これは三協フロンテア柏のキャパシティ(1万5109人)の影響が大きいだろう。収容率は約74%と高く、1万人を切ったのはわずか4試合しかない。7位という成績だった昨季は全体10位の営業収益(約46億3200万円)で、数字上ではJ1で十分に上位を狙える規模と言える。

 クラブにとって重要な財産の1つはアカデミーだろう。古くは明神智和酒井宏樹を輩出した名門からはトップチームに人材を送り続けている。今季の主力では主将の古賀太陽やエースの細谷真大を筆頭に、正GK松本健太、U-20日本代表でもプレーした田中隼人など、各ポジションにアカデミー出身者が揃う。今季開幕時点のホームグロウン人数も12人を数え、サンフレッチェ広島、ジュビロ磐田に次ぐ3位タイの多さだった。

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