大人気クラブはどこだ! 欧州観客数ランキング1~10位。収容率100%!? 世界の頂点に立ったのは…

【写真:Getty Images】

 欧州主要リーグの2023/24シーズンは間もなく折り返しを迎える。各クラブに紆余曲折がある中で、最も多くの観衆を動員しているクラブはどこなのか。UEFA(欧州サッカー連盟)に所属しているクラブのリーグ戦でのホームゲーム入場者数を集計してランキング形式で紹介する(データは『transfermarkt』を参照。12月12日現在)。

------

10位:ベンフィカ
ホームスタジアム:エスタディオ・ダ・ルス(収容可能人数:6万4642人)
平均入場者数:6万108人

 昨季のポルトガル王者であるベンフィカが、今季の平均入場者数ランキングで10位にランクインした。

 昨シーズンに圧倒的な強さで優勝したこともあり、今季は毎試合のように情熱的なサポーターがスタンドを埋め尽くしている。それは平均入場者数に表れており、昨季の5万7160人から大幅アップの6万108人を記録。エストレーラやカーサ・ピアなどのスモールクラブとの対戦では6万人を割っているが、スポルティングCPやポルト、ヴィトーリア・ギマランイスなど名の知れた強豪相手では、ほぼ満席に近いサポーターが訪れている。

 今季最もサポーターがエスタディオ・ダ・ルスに訪れたのがポルトとの第7節だ。今夏よりベンフィカに復帰したアルゼンチン代表MFアンヘル・ディ・マリアが決勝ゴールを決めたこの試合には、6万2247人ものファンが来場。通称「オ・クラシコ」と呼ばれるダービーマッチに大勢のサポーターが詰めかけて、選手たちに熱い声援を送った。

<a href="https://www.footballchannel.jp/2023/12/13/post523820/" target="_blank" rel="noopener">大人気クラブはどこだ! 欧州観客数ランキング1~10位 全チーム紹介</a>
<a href="https://www.footballchannel.jp/2023/12/13/post523820/10/" target="_blank" rel="noopener">大人気クラブはどこだ! 欧州観客数ランキング1位</a>
<a href="https://www.footballchannel.jp/2023/12/13/post523820/9/" target="_blank" rel="noopener">大人気クラブはどこだ! 欧州観客数ランキング2位</a>

9位:アーセナル
ホームスタジアム:エミレーツ・スタジアム(収容可能人数:6万704人)
平均入場者数:6万147人

 熾烈なプレミアリーグで優勝候補に挙がるアーセナルが、平均入場者数で9位にランクインしている。

 久々のプレミアリーグ制覇に向けて注目が集まっていることもあり、エミレーツ・スタジアムの入場者数は増加傾向にある。ホーム開幕戦のノッティンガム・フォレスト戦と第2戦のフラム戦はわずかに6万人を割ったが、それ以降の6試合で大台の6万人を超えている。直近のウォルバーハンプトン戦が今季最多となる6万262人が来場しており、今シーズンを通しての収容率は驚異の99.08%にも上る。

アーセナルの選手たちもエミレーツ・スタジアムに集まるサポーターの熱気を例年以上に感じていることだろう。それは中継の映像でも十分に伝わってきている。彼らの熱狂的な声援のおかげもあって、第8節にはミケル・アルテタ政権でプレミアリーグでは全敗を喫していたマンチェスター・シティに勝利。この試合を境に来場者数はさらに増えており、悲願のタイトル奪還に向けてサポーターも熱気を帯びている。

8位:ローマ
ホームスタジアム:スタディオ・オリンピコ(収容可能人数:7万3261人)
平均入場者数:6万2073人

 ジョゼ・モウリーニョ監督率いるローマが平均入場者数ランキングで8位にランクインした。現在は収容人数の全席を解放しているわけではないため、収容率は84%に留まっているが、毎試合6万人以上のサポーターがスタンドを埋め尽くし、ミラン戦とエンポリ戦のチケットがソールドアウトになるほど、ローマのサポーターは熱狂的だ。

 モウリーニョの保守的なサッカーは批判を浴びることもあるが、彼はロマニスタから高い支持を受けている。それはローマの試合を見れば明らかだ。いかなる状況でもスタディオ・オリンピコのスタンドを埋め尽くす情熱的なサポーターは選手たちに大声援を送っており、選手たちもそれをパワーに変えてプレーしている。

 今季のスタディオ・オリンピコの盛り上がりを象徴する試合が第11節レッチェ戦である。今季最多となる6万4790人が訪れたこのゲームは、5分にロメル・ルカクがPKを外して、72分にカウンターから先制点を許す厳しいゲームだった。それでもモウリーニョ監督が「後半80分で負けている時点で、サポーターがこれほどまでに応援し続けた記憶はない」と語ったように、最後までサポーターは諦めることなく選手を後押しした。すると91分にサルダル・アズムンが同点ゴール、94分にルカクがPK失敗のリベンジとなる勝ち越しゴールを決めて劇的な勝利を挙げた。

7位:ウェストハム
ホームスタジアム:ロンドン・スタジアム(収容可能人数:6万2500人)
平均入場者数:6万2468人

 収容人数ランキングで7位にランクインしたウェストハムは、2012年に開催されたロンドンオリンピックの際に建設されたロンドン・スタジアムを本拠地として使用している。

 昨季UEFAカンファレンスリーグ(ECL)を制し、久々のタイトルを獲得したこともあって、毎試合のように大人数のサポーターがスタジアムに訪れている。その収容率は99.95%と、ほぼ毎試合、満員に近いサポーターがスタンドを埋め尽くしている。

 これはウェストハムの人気が増加傾向にあることに加えて、ロンドン・スタジアムという立地も影響しているだろう。駅からこそ20分と少々歩くが、最寄り駅の「Stratford station」は5つの電車が通るなどアクセスが良い。そのためウェストハムサポーターはもちろん、アウェイサポーターや観光客も行きやすい。

6位:レアル・マドリード
ホームスタジアム:エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウ(収容可能人数:8万1044人)
平均入場者数:6万9443人

 6位にエスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウを本拠地に置くレアル・マドリードがランクインした。

 今季の収容率が約85%に留まっているのは、2019年6月から行っている改修工事の影響だ。現在はほぼ完成されているが、まだ全席が開放されたわけでない。それでも今季は昨季までシートで覆われていたゴール裏の1階席が使えるようになり、平均観客数は5万6444人から6万9443人まで回復している。

 この長い改修工事が終了し、年内のラストゲームが終わった後の12月23日に新エスタディオ・サンティアゴ・ベルナベウとしてリニューアルオープンする予定だ。そのため新年からは現在の平均人数である6万9443人を大きく上回る来場者数が予定されており、シーズン修了後の同ランキングでは間違いなく順位を上げることだろう。

5位:ミラン
ホームスタジアム:サン・シーロ(収容可能人数:7万5932人)
平均入場者数:7万1939人

 5位にはイタリア最大のスタジアム、サン・シーロ(別称:スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ)を本拠地に置くミランがランクインしている。

 直近のホームゲームである第14節フロジノーネ戦こそ7万人を割ったが、それ以外の試合ではスタンドの大半を赤いサポーターが埋め尽くしている。第9節ユベントスのチケットはソールドアウトし、7万5676人ものファンがサン・シーロに詰めかけた。

 現在の平均入場者数は昨季の7万1880人を上回る7万1939人と、ミランだけの視点から見れば順調にサポーターを集めることができているが、同じスタジアムを使用するインテルと比較をすると劣っている。第15節時点で勝ち点9離れている両チームの順位の差が、平均入場者数の差にも大きく影響しているようだ。

4位:インテル
ホームスタジアム:スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ(収容可能人数:7万5932人)
平均入場者数:7万3002人

 4位にライバルのミランと同じスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ(別称:サン・シーロ)を本拠地として使用するインテルがランクインした。両者が対戦したインテルホームでの「ミラノ・ダービー」では今季最多の7万5571人が来場した。

 このランキングで、インテルを上回る平均入場者数を記録できているのは、今季の戦いぶりが大きいだろう。第15節終了時点で青色のチ-ムはセリエAの首位に立っており、2位ユベントスとは勝ち点2差、3位ミランには勝ち点9差を離してテーブルのトップを走っている。

 この好調ぶりがミランとの完売試合数の差に出ており、インテルはこれまで行われたホームゲーム8試合のうち、4試合でチケットがソールドアウトとなっている。対するミランはユベントス戦の1試合のみ。完売試合が多いチームの平均来場者数が増えるのは必然で、この調子を維持することができれば、ライバルを上回る数のファンを動員することができそうだ。

3位:マンチェスター・ユナイテッド
ホームスタジアム:オールド・トラッフォード(収容可能人数:7万4879人)
平均入場者数:7万3507人

 3位にはオールド・トラッフォードを本拠地に置くマンチェスター・ユナイテッドがランクインした。

 第16節終了時点での平均入場者数は7万3507人、収容率も98.17%と高いアベレージを記録しているが、これは昨季の7万3815人(98.58%)を下回っている。その理由は明白だ。

 昨季はオールド・トラッフォードで1敗しか喫しなかったのに対して、今季はすでに4敗も喫している。「要塞」での不甲斐ない戦いは平均入場者数の減少に直結するだろう。直近の第16節ボーンマス戦ではまさかの0-3の完敗を喫した。今後もオールド・トラッフォードでの試合を簡単に落とすのであれば、シーズン終盤に連れて来場者数がさらに減りかねない。

2位:バイエルン・ミュンヘン
ホームスタジアム:アリアンツ・アレーナ(収容可能人数:7万5024人)
平均入場者数:7万5000人

 バイエルン・ミュンヘンの本拠地、アリアンツ・アレーナは依然として高い入場者数を記録している。

 今季の平均入場者数は7万5000人で、収容率は99.97%と毎試合のように満員に近いサポーターがスタンドを埋め尽くしている。コロナ禍による入場者数の制限もなくなったことで、活気のあるアリアンツ・アレーナが戻ってきた。

 100%とならない0.03%の誤差は、ブンデスリーガでは最大収容人数である7万5024席のうち、7万5000席しか開放していないことが影響している。今季は第15節時点で行われた全6試合のホームゲームが完売となるなど、サポーターからの人気は絶大だ。アリアンツ・アレーナはアウェイ席が最上階に少しあるだけなので、ほとんどの席をバイエルンサポーターが埋め尽くしていることになる。これだけの雰囲気を演出することができれば、ホームが強いのは必然的で、今季はリーグ戦6試合で5勝1分とさすがの強さを誇っている。

1位:ボルシア・ドルトムント
ホームスタジアム:ジグナル・イドゥナ・パルク(収容可能人数:8万1365人)
平均入場者数:8万1365人

 ドイツの名門ボルシア・ドルトムントが欧州観客数ランキングで1位に立った。本拠地ジグナル・イドゥナ・パルクの収容可能人数8万1365人に対して、今季の平均入場者数は8万1365人を記録。収容率は驚異の100%を叩き出している。

 これだけの収容人数と収容率を記録できているのは、国内でのブンデスリーガの人気ぶりだろう。欧州5大リーグの中ではドイツ人のサポーターが最も熱狂的と言ってもよい。試合中に大量の発煙筒が焚かれることも少なくなく、煙が出過ぎてピッチが見えづらくなることや消防隊が出動することも珍しくない。

 2015/16シーズンに世界で初めて平均観客動員数が8万1000人を突破したドルトムントだが、シーズンを通して収容率100%を達成したことはない。昨季も8万1288人と、わずかに及ばなかった。今季はもう間もなく前半戦が終了するタイミングで100%を維持していることは驚異的で、初の記録達成のチャンスもありそうだ。

ジャンルで探す