元メジャーGMが佐々木朗希のドジャース本命説に「契約する可能性は低い」と異論…対抗馬はパドレス、レイズ、メッツ、ブレーブスの4球団…その根拠は?

 ポスティングによるメジャー挑戦の決まった千葉ロッテの佐々木朗希(23)の移籍先について元レッズナショナルズGMでMLBアナリストのジム・ボウデン氏がドジャース本命説に“物言い”をつけた。米スポーツサイト「ジ・アスレチック」に記事を執筆したもので、メジャーリーグ関係者の話を元にした上で「ドジャースの可能性は低い」とし、対抗馬としてパドレス、レイズ、メッツ、ブレーブスの4チームの名前をあげた。

 スポンサー収入の問題が影響

 

 全米での“佐々木狂騒曲”が続いている。ほとんどの主要メディアがドジャース本命説を主張する中で、ボウデン氏が「ジ・アスレチック」で「ドジャースの可能性は低い」という異論を発表した。
「早い段階における私の周辺の話では、彼のロサンゼルス行きの話を含め、現時点で完全に形になっているものはない。ドジャースが佐々木に興味を示し、球界の人間がドジャースが最有力だとしつこく言ったとしても私はそうだとは思わない。事実、“佐々木との契約にはどのチームにもチャンスがある”と楽観的な姿勢を示す決定権を持つ複数の幹部を含めたリーグの複数の関係者の話を元にすれば、私は彼がドジャースで落ち着くことになる可能性は低いと思う」
 同氏がドジャース本命説に異論を唱える根拠のひとつにスポンサー収入の問題がある。
「25歳ルール」の対象選手となる佐々木は、最大でも11億円ほどの契約しかできず、入団後も、2028年オフまで年俸の調停権を持たず、フリーエージェントになるのは、2031年のオフ。同氏はその年俸が低く抑えられている間に佐々木が契約を結んでいる代理人事務所のワッサーマンが佐々木の収入を最大化する手段は「広告収入だ」とした上で「それを考慮するとドジャースは佐々木にとって理想的な移籍先ではないかもしれない」との見解を示した。
「ドジャースに入れば佐々木は、大谷翔平山本由伸の陰に隠れ、広告収入の上限は低くなるだろう。リーグ情報筋の話によると、ニューヨーク・メッツの千賀滉大は、山本よりも多くの広告収入を引き出している。山本は大谷と同じチームになることで、広告収入についてある程度の影響を受けた。佐々木の移籍先の決断において、この要素を考慮に入れることは理にかなっているだろう」
 つまり多くのスポンサーは大谷につくため、佐々木がドジャースに入団した場合、広告収入が期待できないというわけだ。
 さらにドジャースを取り巻くマスコミの数も問題にした。
「ドジャースに入れば佐々木は常時チームを取材する25人から30人の多数の日本メディアを相手にすることになる。彼はどのチームと契約しても注目を浴びるのは確かだが、注目度のレベルにおいて(ドジャースは)育成が必要な投手にとって最適ではない」
 佐々木はマスコミ対応を苦手としている。メディアが少ないロッテでさえそうなのだから、取材陣が殺到するドジャースの環境は適していないというわけだ。
 そして「佐々木には、育成(プログラム)が必要でドジャースはそれに適合するが、サンディエゴ・パドレス、タンパベイ・レイズ、メッツ、そしてアトランタ・ブレーブスといった優れた投手育成プログラムを持ったチームも選択の際に優位になる」と指摘した。

 

 

 同氏はその中でもパドレスに注目した。
「パドレスにプラスとなりそうなのが、(日本の)若い投手のゴッドファーザーのような存在として慕われているダルビッシュ有との関係だ。ダルビッシュは38歳でパドレスと2028年までの長期契約を結んだ。佐々木が育つまでの数年は、助言者となり、佐々木の準備が整ったときにバトンを手渡すことができるかもしれない。また佐々木は、パドレスで大谷、山本とライバルとしての地位を得ることで、ドジャースでチームメートになるよりも日本での広告収入を最大化できる可能性がある」
 2023年のWBCでも佐々木はダルビッシュからアドバイスをもらうなど親交を深めた。同氏だけでなく、ニューヨークポスト紙のジョン・ヘイマン記者や、USAトゥデイ紙のボブ・ナイチンゲール記者も、ダルビッシュの存在が、佐々木の進路決定に影響を及ぼす可能性を示唆している。
 佐々木は、今季初めて2桁勝利をマークしたが「上肢のコンディション不良」で約1か月半戦列を離れた。ロッテの5年間で規定投球回数をクリアしたことは一度もなく、ストレートの平均球速も、昨季の98.9 マイル(約159.2キロ)から96.9 マイル(約156キロ)に低下するなど、懸念材料も少なくない。
 スポーツイラストレイテッド誌も、①過去 2 年間でストレートの速度が低下 ②確立された耐久性がない ③速球の質のプロファイルは、NPBとMLBのボールの違いによって下向きに修正される場合がある…という「3つの懸念材料」を指摘している。
 同氏はそれらを踏まえて「今年の球速は2.7マイル(約4.3キロ)落ちたが、それは、どのように投球をするかを学ぶものだったと私は聞かされた。しかし彼は(2023年に痛めた)腹斜筋を含めた故障を抱え、リーグの複数の情報筋の話によると、今年も肩に疲れが出た期間があった。彼を追いかけているチームの複数の関係者たちは、“どこのチームも、2025年の目標を120~130イニングと考えている。彼を注意深く扱っていく必要がある”と話している」とも付け加えた。
 そしてドジャース本命説を否定した異論のまとめとして「私が耳にしたものを元にすると、パドレス、レイズメッツブレーブスがドジャースよりも契約する可能性が高いと思う。そして、その他の複数チームも争奪戦に加わってくるだろう」と記した。
 ポスティングの申請の締め切りは12月15日で、各球団に通知後45日間が交渉期間。同氏は、各球団に割り当てられたボーナスプール金の金額がリセットされる1月15日以降に契約が結ばれるとの見立てをしている。

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