「佐々木朗希は圧倒的なエースになることを思い描ける選手だ」ヤンキースのブーン監督が“令和の怪物”の獲得へ熱烈ラブコール

 千葉ロッテが佐々木朗希(23)のポスティングによるメジャー挑戦を容認したことで早くも激しい争奪戦がスタートしているが、ヤンキースのマーロン・ブーン監督(51)が11日(日本時間12日)の記者会見で「佐々木には優れた天賦の才能が本当にある。争奪戦に参加することを望んでいる」とラブコールを送った。ニューヨークのスポーツラジオ局WFANが伝えたもので、移籍先の有力候補とされるチームの監督が直接、佐々木について言及したのは初。ドジャースが最有力とされているが、指揮官の声は佐々木に胸にどう響くのか。

“本命”ドジャースへのライバル心がメラメラ?

 まだ正式なポスティング申請が出されていないというのに“令和の怪物”の争奪戦の火ぶたが切られた。ドジャースが最有力とされる中で、ヤンキースのブーン監督がラブコールを送った。ニューヨークのスポーツラジオ局WFANが伝えたもので、ブーン監督は、佐々木についてこう言及したという。
「彼は優れた天賦の才能が本当にあって、とても若いが、日本でとてもしっかりとやり遂げてきた。我々はそれがユニークなもので、特別な才能で、ローテーションのトップとなる選手だと分かっており、彼を獲得できる中に入れることを望んでいる。球団とはそうした話し合いをまだ始めてはいないが、彼のことはこの数年で分かっていて、彼や山本(由伸)のことは多く耳にしてきた。とても特別な才能だということを理解している」
 ワールドシリーズでドジャースに1勝4敗で完敗。特に第5戦で5-0と序盤にリードしながらもミスが連発して逆転を許したことでブーン監督の解雇論も起こっていたものの、このほど球団が1年のオプションを行使して2025年の続投が決まった。
 ヤンキースは、来年こそ世界一を奪還せねばならないだけにブーン監督が、佐々木を欲するのも当然だろう。しかも、そのワールドシリーズで敗れた“ライバル”ドジャースが本命視されているだけになおさら佐々木獲得に気持ちがはやっているのかもしれない。
 ドジャースのデーブ・ロバーツ監督も、佐々木の争奪戦においてドジャースが最有力だとの状況について「そうだといいんだが」と発言しているが、それ以上の突っ込んだ発言はしていない。佐々木に関してはメジャー全30球団が動くとされているが、指揮官がここまで発言したのは初だ。
 ブーン監督は、佐々木がメジャーが定めている「25歳ルール」の対象選手であり、年俸が低く制限されるにもかかわらず、2年待たずにメジャー挑戦を決め、ポスティングフィーが低くなる千葉ロッテもそれを認めたことについても、こう私見を述べた。
「彼の年齢や、大谷がどのようにしてメジャーにやってきたのかということからも、彼の状況はわかっていたから驚きはなかった」
 ドジャースの7億ドル(約1076億円)男の大谷翔平も2017年にエンゼルスと契約を結んだ際には「25歳ルール」に引っかかり、契約金はわずかに231万5000ドル(約3億5000万円)だった。
 だが、ブーン監督は、こうも言った。
「しかし彼と球団の間で、この何年かいくらか懸念があったことは知っていた。1年前か、その辺りに彼がポスティングになるかもしれないとなり、この数週間前にそれが50%くらいのシナリオになりそうだと耳にした。しかし、とても早い実現となったね」

 

 

 佐々木は昨年のオフにも球団にメジャー挑戦を訴えたとみられ契約更改は越年した。ブーン監督は、その時点から佐々木の情報を収集していたことになる。また今季もポスティングの容認を巡っては、様々な情報が駆け巡っていた。ブーン監督にとって佐々木は、それほど気になる存在だったのだろう。
「いくつかの映像を見て、彼の100マイル(約161キロ)の速球やフォークボールについてわかっている。ここ(メジャー)にやって来て圧倒的なエースとなることを思い描ける選手だ。こっちへと向かってくるスペシャルな投手がいると認識しているのは確かだ」
 ブーン監督は映像チェック済みであることを明かしてこう絶賛した。
 ただヤンキースは先発ローテーに困っているというわけではない。ヤンキースとの契約をオプトアウトしたことで去就が心配されていたエースのゲリット・コールが、2028年までの4年契約で総額1億4400万ドル(約221億円)で残留することも決定した。スポーツラジオ局WFANは「ヤンキースは現在MLBで先発をした投手が8人と層が厚く、トミージョン手術からJT・ブルーベーカーも復帰する」とした上で、佐々木の必要性について、こう見解を記した。
「先発グループにおけるチーム側のコントロールは多岐にわたっており、エースになれるような可能性を持ち、6年間、低い年俸で抑えられる佐々木を逃す手はない。ヤンキースはトレードを通して(補強の)道を模索することも許される」
 年俸の安いローテー投手の佐々木を手に入れることができれば、その間、贅沢税の心配がなく補強に予算を回すことができるメリットもあるというわけだ。
 だが、一方でネガティブな情報もある。メジャー通算103勝の元サイヤング賞投手で、今季途中から千葉ロッテでプレーしたダラス・カイケルがニューヨークポスト紙の取材に答え、「(日本で)ヤンキースの帽子も何個か目にしたが、行くところすべてでシャツや帽子にドジャースの“D”が入っていたんだ。ドジャースとすでに契約が成立したという噂を聞いたことがある。(ドジャースが)彼のための計画を立てていると。もし私が(カジノのある)ラスベガスにいれば、間違いなくそこ(ドジャース)を最有力に入れる(賭ける)だろう」とコメント。
 さらにヤンキースについては「我々は、ピンストライプ(ヤンキース)やメッツについて簡単に話したが、その話の中でも中心になる球団ではまったくなかった」と、佐々木の意中の球団ではないことを暗に示唆した。
 ヤンキースは、佐々木争奪戦で有利な立場にあるとはいえないようだが、かつて黒田博樹氏、現在楽天の田中将大がローテーの軸として活躍、今回のワールドシリーズで始球式を務めた松井秀喜氏もフロントに名を連ねる名門チーム。果たして指揮官のラブコースは佐々木の胸にどう響くのか。

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