ドジャースが佐々木朗希の移籍先大本命とされる8つの理由…「優れた選手育成と6人ローテーの投手起用計画」…米メディアが指摘

 千葉ロッテは9日、佐々木朗希(23)の今オフのポスティングによるメジャー挑戦を容認することを発表した。佐々木は、ここ数年契約更改時にメジャー挑戦の意向を伝えていた。まだ入団5年目を終えたばかりだが、球団は「5年間の総合的な判断として」その夢を応援することを決めたという。米メディアもさっそくこのビッグニュースに飛びつき、移籍先の予想記事が相次いだ。ほとんどのメディアが最有力候補としてあげたのが、大谷翔平(30)、山本由伸(26)が所属する“世界一”ドジャース。「25歳ルール」の対象になるため、契約金に制限が加えられ資金力のあるなしにかかわらず全球団に獲得チャンスがあり「全球団にとってバーゲンセールになる」との報道がもあるのだが、果たして令和の怪物の選択は?

 世界一の強さと大谷、山本の存在

 ロッテが今オフの佐々木朗希のポスティングによるメジャー挑戦を認めたニュースは、深夜の全米を駆け巡った。米メディアの関心は、佐々木がどこへ行くか。さっそく移籍先の予想記事が相次いだ。
 本命視どころか確実視されているのはワールドシリーズを制したドジャースだ
 米スポーツ専門局のESPNが「ロサンゼルス(ドジャース)が佐々木と強いつながりを手にし、彼が入団するだろうという憶測が先行している。佐々木の侍ジャパンでのチームメートだった大谷や山本のロサンゼルスでの存在が有利となる一方で彼らがもたらす注目、そして彼らに従う大勢のメディアが他チームとは異なる要素を加えている」と報じれば、MLB公式サイトも「世界的なブランド力をさらに増してきたドジャースが佐々木の移籍先最有力候補として見られている」と伝えた。
 米ヤフースポーツはドジャース本命説の根拠を詳しく説明した。
「佐々木のポスティングは、大谷と似たプロセスとなり、MLBの全チームがマイナー契約の金額での獲得を試みることになる。一方の佐々木は、育成面や快適さという点からチームを選べるだろう。プロセスとしては競争となるはずだが、優位になると言われてきたチームがドジャースだ」として8つの理由を列挙した。
 1つ目にあげたのは契約金の問題。メジャーリーグは、海外選手の“青田刈り”に歯止めをかけるため、25歳未満の海外選手に関しては、契約金を制限する「25歳ルール」を定めており、各球団は、割り当てられた国際ボーナスプールの金額の中でしか契約できない。来年1月15日にリセットされるが、現状でそのボーナスプール金をもっとも多く確保しているのがドジャースで「250万ドル(約3億8000万円)を残している」と紹介した。
 ただESPNによると、1月15日を超えると、最大750万ドル(約11億4000万円)に上がり「たいていの球団は最低でも750万ドル(約11億5000万円)あたりが上限で、大抵の球団が最低でも510万ドル(約7億8000万円)を用意できることになる」という。
 2つ目が「佐々木の侍ジャパンでのチームメートの大谷と山本の2人がいる」という点。山本がドジャースとの面談の際に、大谷から直接勧誘を受けたように、大谷、山本の存在が交渉の切り札となる可能性は高い。
 3つ目が「12年連続プレーオフ進出とワールドシリーズ優勝」。今季のドジャースのポストシーズンの戦いは、佐々木に強いインパクトを残したことは間違いない。大谷が「9月のヒリヒリした戦い」を求めてエンゼルスからドジャースに移籍したように、ロッテ時代に優勝と縁のなかった佐々木が、常勝軍団のドジャースに魅力を感じても不思議ではないだろう。

 

 

 4つ目が「優れた選手育成と投手の起用計画で名声を持つ」という部分。ここは、ロッテの吉井監督が「未完成な部分は正直、まだまだありますが、アメリカで自身を磨き、さらにレベルアップすることもできるのではないかとも考えます」と語った今の佐々木にマッチする。ドジャースで今季11勝5敗、防御率3.53の成績を残したギャビン・ストーンはマイナー組織から育成された生え抜き右腕。
 しかも、同サイトは5つ目の理由として「日本の1週間に1度の先発に近い形となる6人ローテーションを来年起用することに興味を示す言及」をあげた。
 今季のドジャースは、山本が右肩腱板損傷で6月から9月まで戦列を離れ、クレイトン・カーショー、タイラー・グラスノー、ストーンらも故障でポストシーズンに登板できなかった。相次ぐ故障者対策として来季は、日本流に6人のローテー投手を用意して中6日で回すプランが検討されていることをゴメスGMが明かしている。ロッテ時代に一度も規定投球回数をクリアできず、今季も約2か月戦列を離れ、18試合にしか登板できないなど肉体に不安を持つ佐々木にとっては理想のプランだろう。
 そして6つ目、7つ目の理由を「日本の視聴者にとって最も好まれる(試合)時間帯に行われる」、「ロサンゼルスは米国大陸で最も日本人の人口が多い」とした。
 ドジャースのナイターゲームの開始時間は午後7時が多く、日本の午前11時で、早朝ではないため比較的テレビでの視聴は難しくない。またロサンゼルスは日系人が多く日本人選手が受け入れられやすい。
 そして最後の理由として同サイトは「大谷の動かざる名声と野茂英雄の草分けとしての過去の成功によってあらゆるチームの中で最も高い人気を日本で誇る」と記した。日本人のメジャーリーガーのパイオニア、野茂英雄氏が1985年に最初にユニホームを着たのがドジャース。以後、石井一久斎藤隆黒田博樹前田健太ら、大谷、山本を含めれば、過去に11人の日本人メジャーリーガーがドジャースでプレーしている。
 同サイトは「その他のMLBチームにも日本選手が所属したことがあり、獲得競争に参加できる力があるが、ドジャース以上に当てはまるものを示すことは難しい」とまとめた。だが、一方で「佐々木は大谷や山本の陰でプレーすることに興味がないかもしれず、もしかすると別のチームを選ぶだけの何かいくつかの理由を持っているかもしれない」とドジャース以外の可能性があることも否定しなかった。
 ドジャース以外の可能性を示した米メディアもある。

 

 

 前出のESPNはドジャース以外に7チームをリストアップした。
「佐々木は右腕投手のダルビッシュ有とも関係が近く、彼の所属するパドレスも獲得の可能性のある球団として見なされている。ニューヨークの両チーム(ヤンキースとメッツ)も佐々木に凄い興味を示しているが、歴史と経験のある球団(シカゴ・カブス)、国際都市にあるチーム(トロント・ブルージェイズ)、過去に日本選手の成功チームとしての実績を鳴り響かせているチーム(ダルビッシュは彼のキャリアをテキサス・レンジャーズで始めた)、もしくは、選手から最高のものを引き出す名声をアピールできるチーム(タンパベイ・レイズ)などを彼が選ぶかもしれない。他球団の多くが、佐々木がポスティングされれば力強いアピールをしていくだろう」
 同メディアは「通常のフリーエージェントと違い、佐々木の契約額に制限があることで、30球団すべてにとって彼はバーゲンセールとなる」とまとめた。
 またオフのストーブ情報に詳しい米サイトのトレードルーマーズは「移籍先としてドジャースについて大きな憶測が出ている。優勝争いができ、地理的な観点から確かにいい位置に付けている。だが(25歳ルールで)財政面は、直接的な考慮材料とはならず、佐々木が誠実にすべてのオファーに対して前向きに耳を傾けるのなら、あらゆるチームに予算の準備ができるかもしれない」とした。
 CBSスポーツも、メッツのデービッド・スターン編成本部長が佐々木のスカウトのために日本に向い「彼のことを『ユニークな才能』と呼んでいる」と紹介した上で、ドジャース、オリオールズ、ヤンキースの3チームを可能性のある移籍先としてあげた。ポスティング申請の締め切りは12月15日。交渉期間は米球団への通知から45日間となっている。

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