米メディアが佐々木朗希のロッテの来季契約条件提示拒否報道を受けて早くも移籍先予想がヒートアップ…ドジャース、ヤンキース、メッツ、オリオールズなどの球団名が乱れ飛ぶ

 千葉ロッテの佐々木朗希投手(23)が球団の来季の契約オファーを拒否したとの情報を3日(日本時間4日)、米野球記者協会のメンバーで中南米の野球に強いフランシス・ロメロ記者が自身のXで「情報筋の話」として伝えた。今オフのポスティングを巡っては情報が錯綜。何も決まっていないのにもかかわらず、その報道を受けて米メディアは早くもヒートアップ。大谷翔平(30)がいる“世界一”ドジャース、ヤンキース、メッツなどの移籍先候補のチーム名が乱れ飛ぶ事態となった。昨年オフもメジャー移籍問題問題を巡り、契約更改が越年するなど、大騒動を引き起こしたが、今オフも日米を巻き込んで佐々木の去就に注目が集まりそうだ。

 佐々木の先行きは不透明

 メジャーからの注目度の高さを表すかのようにワールドシリーズ終了と同時に佐々木の去就情報が米メディアの間を駆け巡った。
 まず1日(日本時間2日)にかつてレッズ、ナショナルズでGMを務め、アナリストとして活躍しているジム・ボウデン氏が米スポーツサイト「ジ・アスレチック」の記事の中で「佐々木朗希は彼の所属チームである千葉ロッテマリーンズからポスティングはされない。才能あふれる日本の右腕はもう1年メジャー挑戦を待たなければならない。これは今オフの契約を望んでいたドジャースを失望させることになる」と報じた。
 これは今オフに起きる「25の予想」を並べて単なる予想記事だったが、その翌々日に多くのスクープを連発しているロメロ記者が、自身のXに「情報筋によると、佐々木朗希選手は千葉ロッテマリーンズからのオファーを断った。 23歳のエースの状況は依然として不透明だ。MLBチームとの契約が発表される可能性もあるが、千葉ロッテとの交渉を継続している可能性もある」と投稿した。
 千葉ロッテからのオファーとは残留を前提とした来季の契約条件だろう。昨年のオフには、佐々木側がポスティングによるメジャー移籍を求めていたとされ、かなり煮詰まった協議が行われたと見られている。契約更改は越年。結局、ロッテはポスティングを認めず、佐々木も現状維持の推定8000万円でサインしている。
 このロメロ氏の情報の真偽は定かではないが、もし来季の条件提示を蹴ったとなれば、金額の問題よりも、再びポスティングによるメジャー移籍を訴えた可能性がある。
 米メディアは、この報道を受けて早くもヒートアップした。
 スポーツサイト「スポーツ・キーダ」は「佐々木去就に注目の獲得可能性がある3つのチーム」として、ロッテがポスティングを認めた場合の移籍先の有力候補としてメッツ、ドジャース、ヤンキースの3球団の名前をあげた。
 最初にメッツについては「ドジャースの山本由伸の争奪戦に参加したチームだ。資金力があり、オーナーのスティーブ・コーエン氏は、リーグチャンピオンシップシリーズまで進んだチームを全力で補強したいと考えている。ファン・ソトや佐々木を追いかけるのは現実的だ」と予想。

 

 

 続いてドジャースを本命視し「最も有名な日本人が2人いるディフェンディングチャンピオンチーム。大谷がいたことで山本の入団交渉の助けになった。佐々木が彼ら2人の働きかけを無視することは難しい」とした。
 またヤンキースについては「オプトアウトしたゲリット・コールを除けば支配的な投手はいない。佐々木はワールドシリーズで敗戦した穴を埋めることができる」と説明した。
 ヤンキースの争奪戦参加を報じているメディアが目立ち、ニューヨークポスト紙も、今オフにFAとなるヤンキースのファン・ソトの去就に関連づけて、「佐々木は25歳未満であるため、マイナー契約しかできず、どの球団にとっても手頃な価格だ。特にソトを残留させた場合、ヤンキースにとって価格は重要となる」と伝えた。
 スポーツサイトの「エンパイアスポーツメディア」も「ヤンキースは時速102マイル(約164キロ)の速球を持つ日本の投手を攻略できるかもしれない」との見出しを取って、その可能性を報じた。
 23歳の佐々木はメジャーが海外の有望若手選手の“青田買い”に歯止めをかけるために定めた“25歳ルール”にひっかかる。各球団の契約金には制限があり、ドジャースに12年3億2500万ドル(約494億5000万円)で移籍した山本由伸のような巨額なマネーゲームにならない。資金力のない球団にもチャンスが出てくることになるが、むしろ逆でヤンキースやドジャースなど高額選手が揃っているチームは、贅沢税との関係で、さらに巨大な契約が必要な選手に手を出しにくく、佐々木のように例外的に資金をかけずに契約できるトップクラスの投手は絶好のターゲット。ヤンキースはファン・ソトの引き留めに10年5億ドル(約760億7000万円)もの金額が必要とされ“25歳ルール”で“安い”佐々木は魅力的なのだ。
 MLB公式サイトは今オフにFAとなるトップ25選手をランキングし、佐々木をボーナス編としてそこにつけ加えた。同サイトも、その点に注目。
「山本のメジャー移籍は昨オフの入札合戦を引き起こした。日本から佐々木がやってくる場合も同じように盛り上がるだろうが、彼の年齢はフリーエージェントの熱狂を防ぐだろう。25歳未満の選手で、米国外のメジャーリーグでの在籍期間が6年に達していない選手は、MLBの国際アマチュア契約ボーナスプールルールの対象となり、契約に上限が設けられる。大谷翔平は2017年に同様の状況に直面し、エンゼルスと231万5000ドル(当時レートで2億6000万円)で契約した。日本での最初の4シーズンで防御率1.95を記録した佐々木は、もし起用されればトップクラスの先発投手の一人になるだろう」
 同サイトは獲得の可能性のある球団として「ドジャース、オリオールズ、ヤンキース」の3球団をあげている。

 

 

 米スポーツサイト「ヘビードットコム」も佐々木とヤンキースを結びつけ「ヤンキースはソトと再契約するためにできるだけ多くの資金を節約する必要がある。ゲリット・コールを犠牲にすれば残念な結果となるだろうが、佐々木は現実的にサイ・ヤング賞投手の代わりとなる可能性のある世界でも数少ない投手の一人。彼の持ち味は最高で、もし彼がポスティングを申請するなら、ヤンキースは彼を獲得するためにできる限りのことをするのが賢明だろう」と報じた。
 だが、一方のロッテにとっては、25歳までにポスティングを認めれば、ポスティングフィーも低く抑えられ、ここまで佐々木に投資した資金を回収することができなくなる。現段階で確かな情報はなく、佐々木がメジャー移籍を求めるのか、球団がポスティングを認めるのか、すべてが不透明だ。
 今季の佐々木は「右上肢のコンディション不良」で6月13日から8月1日の西武戦で復帰するまで長期に戦列を離れたが、その西武戦で5回1失点の好投を見せて勝利投手となると、そこからはローテーを守り、8試合に先発し10月1日の楽天との最終戦では9回108球で1失点完投。日ハムとのクライマックスシリーズのファーストステージでも第1戦に先発して8回112球を投げて5安打9奪三振で無失点。チームの先勝に貢献している。レギュラーシーズンの最終成績は、18試合、111回で、防御率2.35、キャリアで初となる2桁勝利をマークしての10勝5敗だった。規定投球回数には届かなかったが、奪三振率は、リーグトップの西武、今井達也の9.71を超える10.46だった。
 佐々木の去就が日米をまたいで今オフの最大の焦点になるだろう。

ジャンルで探す