『吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる』埼玉県立近代美術館で 「もの派」から実験的な平面作品まで活動の全貌に迫る
埼玉県立近代美術館では2024年7月13日 (土)より『吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる』を開催する。1960年代末に「もの派」の中核作家として活躍し、その後実験的な手法を通して絵画を探求した吉田克朗(よしだ・かつろう 1943-1999)の全貌に迫る、日本では初の回顧展だ。
埼玉県深谷市に生まれた吉田克朗は、多摩美術大学を卒業後、同大学出身が関わっていた横浜市の共同アトリエで、関根伸夫、菅木志雄、小清水漸らと制作を共にする。彼らは物体を組み合わせたり、そのまま提示したりすることで、物体の特性が自然に表れる作品を試み、その動向は後に「もの派」と称され、国際的な注目を浴びた。また、吉田は最初期から写真をもとにした版画も制作し、70年代半ばから転写などの実験的手法による絵画を模索する。80年代になると風景や身体を抽象化した絵画<かげろう>を手がけ、その後、粉末黒鉛を手指でこすりつけて有機的形象を描くシリーズ<触>を精力的に制作していたが、惜しくも55歳で逝去した。
そんな彼の生涯と作品を振り返り、吉田克朗の制作の軌跡を紹介する同展では、作者のプランや考えを綴った「制作ノート」や記録写真など、様々な資料が公開される。
また現在、世界的に再評価されている「もの派」の動向の再検証として、吉田克朗にとっても「もの派」にとっても重要作品といえる《Cut-off (Paper Weight)》(1969年)、《Cut-off (Hang)》(1969年)の2点を、The Estate of Katsuro Yoshida の協力のもと再制作をして展示する。
さらに展覧会図録は、出品作品以外の主要作品も資料として掲載され、合計1000点以上の作品が収録される。吉田克朗や「もの派」に興味がある人にとっては必携のモノグラフとなるに違いない。
レクチャー・プログラムやダンスパフォーマンス、担当学芸委員によるギャラリートークなど、関連事業も多数用意されている。詳細は美術館ホームページで確認を。
<開催概要>
『吉田克朗展―ものに、風景に、世界に触れる』
会期: 2024年7月13日(土)~9月23日(月・祝) ※会期中展示替えあり
会場:埼玉県立近代美術館
時間:10:00~17:30(入場は 17:00 まで)
休館日:月曜(7月15日、8月12日、9 月16日、9月23日は開館)
料金:一般1,100円、大高880 円
公式サイト:
https://pref.spec.ed.jp/momas/
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