シャオミがGoogleとの連携で「Gemini nano」搭載などAI機能を強化、両社のキーパーソンが語る

シャオミは9月25日に開催されたグローバル発表イベントで、「Xiaomi 14T」「Xiaomi 14T Pro」をはじめ、今後リリースするスマートフォンに、多数のAI機能を搭載することを明らかにしました。各社がAI機能に注力する中、Googleとの連携を強調。発表会にはGoogleの担当者もゲスト登壇し、「Xiaomi 14T/14T Pro」に標準搭載される生成AI「Gemini」について語りました。またイベント後には、シャオミ/Google両社の担当者が、メディアのグループインタビューに応じました。

シャオミではすでに、写真の背景を補完する「AIスマート画像拡張」や、写真の一部を削除する消しゴム機能、自身のポートレートを生成できる「AIポートレート」など、いくつかのAI機能を提供しています。「Xiaomi 14T」シリーズ以降はさらに、多くのAI機能を利用できるようになるといいます。

ひとつは、旅行時に役立つ通訳機能。対面/オンラインミーティング/通話のどのシーンでも「ライブ通訳」機能が利用できます。「AIフィルム」と呼ばれる、新しい機能も追加されます。自分で撮影した素材を選んで、どんな動画にしたいかをテキストで指示すれば、自動的に動画が作成できるというもの。このほか、音声を録音するとともに、話者を区別して文字起こしができ、さらに要約もできる「AIレコーダー」も提供されます。

「Xiaomi 14T」シリーズでは加えて、現在、Googleの「Pixel」シリーズやサムスンの「Galaxy」シリーズで提供されている「かこって検索」も利用できるようになります。またGoogleの生成AI「Gemini」も搭載されます。シャオミ インターナショナル コミュニケーションズ ディレクターのダニエル・デジャレイ氏は、イベント後のグループインタビューで、「Xiaomi 14T」シリーズ向けに、オンデバイスで動作する「Gemini nano」が提供されることを明らかにしています。

「Gemini nano」はオンデバイスで動作するため、レスポンスが速いだけでなく、セキュリティやプライバシー保護の観点からも注目されています。デジャレイ氏はグループインタビューで、「AIモデルの構築方法やデバイスの処理能力などの制約はあるものの、現在クラウドを使用しているAI機能についても、いずれはエッジ(デバイス上)で処理できるようにしたい」と語りました。

AIに関連して、セキュリティやプライバシーを懸念する声に対し、「プライバシーの問題は、シャオミにとって重要なことであり、譲れないこと。 EUに限らず、事業を展開するすべての市場で、セキュリティとプライバシーに関する規制を遵守しているし、今後も常にこれを守り続ける」と話し、今も写真や動画の撮影・編集に関連する機能の多くは、エッジで処理されていると説明しました。

エッジでの処理を実現するには、当然ながらデバイスに一定以上の処理能力が求められます。このためAI機能の旧デバイスへのアップデート対応については、「すべての機器でできるわけではない」とデジャレイ氏。それでも「できるだけ多くのユーザーに、これらの機能を提供できるように努めたい」と話していました。

インタビューではこのほか、AI機能によって生じるコストについても質問が及びました。これに対してデジャレイ氏は「シャオミでは利益率を最大5%に抑えることを公約している」と改めて説明し、「これはソフトウェアサービスのしくみにも当てはまる。 AI機能のために突然、高い料金を請求するようなことはない」と強調しました。「もしAIのために、ユーザーがスマートフォンに仮に4倍の料金を支払うようなことになったら、それは持続可能なモデルだとは言えないし、ユーザーにとってもフェアではない。 その時点で、私たちはなぜこのようなものを開発するのかということを、問い直さなければならない」と持論を述べました。

一方、Google ナレッジ&インフォメーション Gemini on Mobile シニアディレクターのザヒード・サバール氏は、「『Xiaomi 14T』シリーズで得られるGeminiの体験が、ユーザーエクスペリエンスやインタラクションなど、すべてにおいて可能な限り優れたものであるように、シャオミとパートナーシップを組んできた」と話しました。「どのスマートフォンでも最高のGeminiの体験ができるようにするには、各メーカーとのパートナーシップが重要」だとサバール氏。イベントでは、Geminiとより自然なコミュニケーションが可能になる機能「Gemini Live」(日本での名称は「Geminiライブチャット」)についても詳しく紹介していました。

Gemini Liveは友達と会話をするように、自然な流れでユーザーをアシストする機能です。当初はGeminiの有料サービス「Gemini Advanced」の機能として提供されていましたが、現在はモバイル版「Google Gemini」アプリで、言語を英語に設定することで、無料で利用することができます。

Gemini Liveの体験は、「私たちとスマートフォンとの付き合い方を大きく変えるだろう」と、グループインタビューで語ったデジャレイ氏。またサバール氏も「スマートフォンとの新しい接し方だ。 少なくとも個人的には、散歩がてらGemini Liveといろいろなことを話したり、長いディスカッションをしたりするなんて、1年前には想像もできなかった。まったく新しい体験なので、ぜひ試してみてほしい」と話していました。

著者 : 太田百合子 おおたゆりこ テックライター、エディター。インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。 この著者の記事一覧はこちら

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