東大生出題「これはどんな内容?」文章推測クイズ

西岡壱誠 東大 

(画像:東大カルペ・ディエム作成)
学校でも、仕事場でも求められる「読解力」。どのように身に付ければよいのでしょうか。『小学生が5日でできる 東大式 超速!読解ドリル』を上梓した、東大カルペ・ディエムの西岡壱誠さんがクイズを出しながら、読解力の身に付け方のコツをお話しします。

文章は、まるでサンドイッチのように作られているケースが多いです。

例えば「今からケーキの美味しさについてお話しします!」から始まって、最後に「……ということで、ケーキは美味しいのです!」と結論が出て終わる。このように最初と最後で同じ主張を述べている文章は、かなり多く存在します。

ちょうど、パンとパンで具材を挟んでいるような形態になっているので、この形態は「サンドイッチフォーマット」と呼ばれています。

「サンドイッチフォーマット」で書かれたものは、「主張が一貫している文章」になります。最初と最後で自分の言いたいことを明確にしたうえで、その途中で、主張に関する根拠や理由を説明していくわけです。

最初と最後を見るとテーマがわかる

だからこそ、文章は「最初」と「最後」を読めば、著者の主張や文章のテーマをいち早く見つけることができるのです。

例えば、

最初「俺が彼女と出会ったのは、3カ月前のことだった。」
最後「彼女はもういない。でも、ずっと俺の思い出の中に残り続けるだろう。」

という文章があったとしましょう。最初と最後に共通して、「彼女」という言葉が出てきます。最後を読むと、どうやら主人公の「俺」は最終的には「彼女」と離れ離れになってしまうようです。

「俺」と「彼女」の関係が、恋愛関係なのか、友情関係なのか、はたまた仕事仲間の関係なのかは、これだけではわかりません。

しかし、「俺」と「彼女」が3カ月前に出会い、最終的には離れ離れになってしまう、という大枠だけでも捉えられると、物語全体の方向性が理解できるでしょう。

最初と最後を読んで、物語を推測しよう

今回はほかにも、文章の「最初」と「最後」だけを読んで、物語の流れを推測する練習問題をご用意しました。みなさんは、次のような「最初」と「最後」を読んで、どのようなストーリーを想像しますか?

最初「あすかちゃん! ピンク色のカーネーションの花言葉って知ってる? 感謝って意味らしいよ。」
最後「私は普段は素通りする花屋の前で立ち止まり、少ないお小遣いでカーネーションを買うことにした。」

最初の部分では、誰かが「あすかちゃん」にカーネーションの花言葉の意味を教えています。最後の文章にも「少ないお小遣いで」とあるため、その話しぶりからして、女の子の友達同士でしょうか。最後に「私」がカーネーションを買っていることから、おそらく「私」が「あすかちゃん」なのでしょう。

「私」は物語の最初にカーネーションの花言葉の意味を知り、それから誰かに感謝の気持ちを表したくなる出来事があって、物語の最後には普段は素通りする花屋でカーネーションを買うに至ったのだろうと想像できます。

では、次の文章はいかがでしょうか?

最初「3年前、『こんな田舎出ていってやる!』と言って僕は故郷を飛び出した。」
最後「僕は3年ぶりに、実家のドアを開けて、大声で言った。『ただいま!』」

最初と最後だけを読むと、どうやら3年前に故郷を飛び出した「僕」が、3年ぶりに実家に帰ってくるという話のようです。

しかも、3年前は「こんな田舎出ていってやる!」と実家や故郷に対して否定的だった「僕」が、3年後には大声で「ただいま!」と言うまでに心境が変化しています。

ということは、おそらくこの物語では、3年前に喧嘩をするように故郷を飛び出した「僕」が、その後心境の変化があり、最後は故郷の実家に帰ってくる、という3年間の出来事が描かれるのだろうと想像できます。

また、「最初」と「最後」を読むことで著者の主張や文章のテーマをいち早く見つけるテクニックは、物語だけではなく評論文でも有効です。

最初「『巨人の肩の上に立つ』そんな言葉を残したのは、17世紀最大の物理学者、アイザック・ニュートンである。」
最後「現代の物理学は、彼の功績なくしては成り立たないものなのである。」

文章の最初では、アイザック・ニュートンの言葉が紹介されています。ニュートンのことを「17世紀最大の物理学者」と紹介しているので、筆者がニュートンを高く評価していることがわかります。

そして最後も、「現代の物理学は、彼の功績なくしては成り立たない」とニュートンの功績をたたえる文章となっています。

最初と最後の間にある要素

つまり、この最初と最後の間の部分には、アイザック・ニュートンの研究の内容や、それが現代の物理学にどのような影響を与えたのか、といった文章が書かれているはずです。

いかがでしょうか? 文章の「最初」と「最後」に着目して読むことで、筆者が伝えたかった主張やテーマをつかみやすくなります。ぜひ、みなさんも挑戦してみてください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)

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