タイトルから内容を推測!読解力向上するクイズ

西岡壱誠 東大カルペ・ディエム

(画像:東大カルペ・ディエム提供)
学校でも、仕事場でも求められる「読解力」。どのように身に付ければよいのでしょうか。『小学生が5日でできる 東大式 超速!読解ドリル』を上梓した、東大カルペ・ディエムの西岡壱誠さんがクイズを出しながら、読解力の身に付け方のコツをお話しします。

「読解力って、どうやって身に付ければいいですか?」と聞かれることがあります。

この質問に対する回答はとても難しいです。いろんな大学の先生が研究をしていますが、まだ「これだ」というハッキリとした回答があまり出ていない分野だからです。

タイトルから文章の内容を推測する

それでも「この訓練は有効なのではないか」と考えられる方法はあります。今回紹介するのは、「文章を読むときに、タイトルから内容を予想する能力」です。

例えばみなさんは、『マッチ売りの少女』というタイトルを聞いて、どんなイメージが浮かびますか?

おそらくは、「なんだか物悲しい話なんじゃないか」と思う人が多いと思います。マッチという儚く消えてしまうようなものをイメージして、「これはきっと悲しい話なんだろうな」と考えるのではないでしょうか。

では、『パイナップル売りの少女』というタイトルだったらどうでしょう? なんだか南国で元気に暮らしている子どものイメージがあって、明るい物語なのではないかと想像できますよね。

『マッチ売りの少女』を書いたH・C・アンデルセンの真意はわかりませんが、それでも「マッチ」という題材を選んだのには、なんらかの意図があったのではないかと推測することができます。

『マッチ売りの少女』=「物悲しい物語」と考えられるように、タイトルというのは、どんな物語のテーマなのか、その後どのように展開されるのか、といったことを予想させてくれるものです。

読解力があまり身に付けられていない人は、この「タイトルからの予想」をほとんどしていない場合が多いように感じます。

国語の入試問題でも、しっかりとタイトルを読んでいれば「このタイトルだから、こんな選択肢が正解になるわけがない」という理由で選択肢を削ることができる場合もあります。

東大志望の生徒が多い高校でも「タイトルからの予想」は、授業の中で取り入れられている訓練です。「タイトルから、内容を予想する能力」があれば、読解力は必ず身に付くと思います。

ドラマ「最後から二番目の恋」から想像する内容

例えば、『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)というドラマをご存じでしょうか。「恋」と入っているため、もちろん恋愛がテーマなのだろうと想像することはできると思いますが、「最後から二番目」という表現は、なかなか不思議ですよね。

人は何度か恋をして、結婚して、人生が終わるまでその人と一緒に居続けるというのが理想的な状態です。でも結婚しても死別してしまったり、離婚することもあります。場合によっては、新たな出会いがあることもあるかもしれませんよね。

『最後から二番目の恋』というタイトルを聞いて、僕は「いろんな恋をしてきた男女が、これで人生最後かもしれない恋愛をするのだけれども、『最後』とするとちょっと寂しいから、まだ次の恋もあるかもしれないという思いも込めて、『最後から二番目』の恋を始める、っていう物語なのかな……?」と想像しました。想像通り、このドラマでは45歳独身の女性と、妻と死別した50歳の独身男性の恋が描かれていました。

ほかの有名な作品でも考えてみましょう。芥川龍之介の『羅生門』は、ある男が、「善行をして死ぬか、悪行を為してでも生きるか」という狭間で葛藤する物語です。ある場所から、別の場所に行く際に使う「門」が舞台になっていて、タイトルにも付けられています。このタイトルからも、善悪で揺れるような男の気持ちが想像できますよね。

このように、タイトルだけを聞いてその中身を想像するという訓練をしていると、読解力が身に付けられると思います。

今回はほかにもいくつか、「読解力を付けるための問題」を用意しました。みなさんは、次のタイトルの本があったときに、どんな中身になる可能性が高いと思いますか?

『鳥のようになりたい』
A 今は有名だけど、いつか忘れ去られてしまうことを心配する人の物語
B 今は貧乏だけど、いつの日かお金持ちになりたい人の物語
C 今は不自由だけど、自由になりたい人の物語

「鳥のようになりたい」ということは、その裏側には「鳥のように、〇〇な存在になりたい」という意味が込められていると考えることができます。

鳥のような存在、というと、空を羽ばたいて天に向かって飛んでいく「自由」なイメージを持つ人が多いと思います。きっと、「鳥のように、自由な存在になりたい」という本だと考えることができますよね。

そして、「こうなりたい」と言っているということは、今はそういう状態ではないということも予想できます。「自由でない人が、自由になりたいと願う表現」=「鳥のようになりたい」、Cのような物語だと考えられるはずです。

『真っ赤な花束を君に』どんな内容?

では、次のタイトルはどうでしょう?

『真っ赤な花束を君に』
A 情熱的な恋の話
B 悲しみに打ちひしがれる話
C 退屈な人生を振り返る老人の話

「真っ赤な花束を君に」とあるわけですが、「赤」という色からは、力や情熱といった強いインパクトが感じられます。

そうなると、「情熱」について描かれているAが正解として考えられるでしょう。

Cの作品であれば、「灰色」というマイナスなイメージのある色が使われているはずです。

Bの場合は、「真っ黒な思い出」といったように暗いイメージがある黒という色が使われるでしょう。

ちなみに「白」が使われていると、「清廉潔白・罪のない状態」のことを指す場合があります。各色がどのようなイメージを持つのかは知っておきたいですね。

最後はこのタイトルです。

『地獄にでも行ってやる』
A 地獄というものを宗教的に考察した学術書
B ある人に対して恨みを持っている主人公が、復讐をする物語
C 貧乏だった主人公が、いかにして世界を股に掛けるスターになったのかを語る本

『地獄にでも行ってやる』というタイトルを聞くと、ちょっと荒々しいイメージがありますよね。

「地獄」という苦しい場所に「行く」と言っていることから、破滅的な終わり方をしていると考えられます。「C スターになる」というのは間違っていそうですね。

内容を推測する能力が身に付く

そして、「行ってやる」と言っていることから、主人公が地獄に落ちてでも何かをしたいのだとわかるので、「B ある人に対して恨みを持っている主人公が、復讐をする物語」が正解なのではないかと考えることができます。

いかがでしょうか?タイトルから文章の中身を予想するということを何度も実践していると、「きっとこの物語はこんな話に違いない」と自然と考えられるようになり、問題を速く解く際にも役に立ちます。ぜひみなさんも挑戦してみてください。

(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)

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