主語と述語はどれ?「読解力」向上するクイズ
読解力、どう身に付ける?
みなさんは、「読解力」に自信はありますか?
文章を読んで「ああ、大体こんなことを言っているんだな」と理解するための読解力は、日常生活から仕事まで、多くの場面で求められています。
仕事のミスが増えていると感じる中で、「最近、忙しそうじゃないか」と上司から言われたときには、たんに忙しさを確認されたのではなく、「もしかして、『ミスが多くなっているから、1つひとつの仕事をもっと丁寧にやったほうがいい』と言いたいのかも……」と想像することもできます。
このように、言葉の表面だけではなく「相手が本当に言いたいこと」を読む能力も、読解力の1つです。
読解力を身に付けるうえで、いちばん大切なのが「主語・述語」です。この記事では、東大生が考えた、解くだけで読解力が身に付く「主語・述語」のクイズをご紹介します。みなさんは全問正解できますか? ぜひ、試してみてください。
文章は基本的に、「誰が・誰は」「何が・何は」にあたる言葉(主語)と、その主語が「どうした・どうする」にあたる言葉(述語)から成り立っています。「私は走った」という文章なら、「私は」の部分が主語で、「走った」の部分が述語です。
そして、主語・述語の組み合わせに、それを詳しく説明する言葉である「修飾語」がくっついて、文が構成されています。たとえば、「私は力強く走った」なら、述語の「走った」を「力強く」が修飾しています。
どれが主語と述語?
文章の「主語」と「述語」を正しく読み取る力を身に付けることができれば、長くて難しい文章も、正しく読み取ることができるようになります。さっそく例題をやってみましょう。
彼は駅で売られていたプリンを買ってくれた。
先ほどお話ししたように、主語は「誰が」、述語は「どうした」にあたる言葉です。主語はおわかりですか? そう、「彼は」ですね。では、このうち述語はどの部分でしょうか?
正解は、「買ってくれた」です。この述語は、動詞の「買う」に、「〜(して)くれる」という補助動詞がくっついたものです。補助動詞はこのほかにも、「〜(して)もらう」、「〜(して)くる」「〜(して)いる」など、いろいろな種類があります。
主語:彼は 述語:買ってくれた
では、次の問題です。今度は、主語が2つあります。
僕は眠いのに、弟がうるさいので、仕方なく弟と遊んだ。
冒頭の「僕は眠いのに」の部分に、主語「僕は」と述語「眠いのに」がありますね。「眠い」のように状態を表す言葉(形容詞)も述語になります。「眠い」に続く「のに」は逆説の表現ですが、これ単体で文節を作れないので、ここまで含めてひとつの述語となります。
また、僕は弟と「遊んだ」こともわかります。これも主語「僕は」に対応する述語です。このように、ひとつの主語に複数の述語が対応していることもあります。
また、見落としがちですが、「弟が」「うるさいので」もそれぞれ主語・述語です。文章の主人公は「僕」だというふうに読めますが、主語と述語はそれとは関係なく、「誰が」「どうした」の関係で成立します。
主語:僕は 述語:眠いのに・遊んだ
主語:弟が 述語:うるさいので
さて、最後の問題です。
昨日の夜、僕はホテルに泊まっていて、カードキーを落としてしまった。僕はフロントにそのことを伝えに行こうと思った。しかし、フロントは想像以上に混雑していて、困ってしまった。
最初の文の主語「僕は」に対応する述語は、「泊まっていて」「落としてしまった」です。ホテルに、や、カードキーを、は、それぞれの動詞の対象を説明する目的語であって、主語・述語には含まれません。同様に、2文目の主語「僕は」に対応する熟語は「思った」ですね。
日頃から読解力身に付ける練習を
3文目にも、「フロントは」「混雑していて」という主語・述語が隠されていました。
では、文章の最後にある「困ってしまった」に対応する主語はどれでしょうか? 3文目の中には、それらしい主語はないように思えます。
しかし、文の意味から考えると「僕は」が主語であると考えることができます。
2文目と3文目は、あわせて「僕は」「思った」けど「困ってしまった」という文章となっています。
主語:僕は 述語:泊まっていて・落としてしまった・思った・困ってしまった
主語:フロントは 述語:混雑していて
さて、皆さんは何問正解できたでしょうか? 意外と難しいですよね。
主語と述語を意識しながら文章を読むことは、「読解力」向上への第一歩です。日ごろから文章を読む際や、話す際にも意識してみましょう。
(西岡 壱誠 : 現役東大生・ドラゴン桜2編集担当)
08/30 17:00
東洋経済オンライン