ファッション衣料の「ユナイテッドアローズ」靴磨き、靴修理店を買収

紳士、婦人用のファッション衣料を手がけるユナイテッドアローズ<7606>は2024年10月1日に、靴磨き、靴修理店の運営や、靴磨き用品の製造、販売などを手がけるBOOT BLACK JAPAN(ブーツブラックジャパン、東京都港区)を子会社化した。

2023年5月発表の中期経営計画の中で掲げた既存事業の成長拡大とブランド力の強化を目的とする「UA CREATIVITY戦略」に沿ったもので、子会社化を機に国内外の富裕層を対象とした高付加価値サービスの提供や、靴磨き、リペア事業などのサステナビリティ(持続可能性)な取り組みを通じたブランドイメージの向上を目指す。

ユナイテッドアローズは2005年にブランド価値を高めることができるとして、イタリア製の鞄ブランド「Felisi(フェリージ)」を取り扱うフィーゴを子会社化したが、2021年に相乗効果を生み出しながらフィーゴの継続的な成長を目指していくことは難しいとし、売却した経験を持つ。

再びM&Aでブランド価値向上を狙う挑戦だが、果たして靴磨き、靴修理はどのような成果をもたらすだろうか。

「お酒×靴磨き」という新たなサービスも

ブーツブラックジャパンは、「靴磨きのブランド価値向上」をコンセプトに、2008年に東京・表参道で世界初のカウンタースタイルの靴磨き店Brift H(ブリフトアッシュ)を開業。

その後、アルコール飲料を提供するバーを併設した東京・虎ノ門の店舗では、「お酒×靴磨き」という新たなサービスを提供している。

代表取締役の長谷川裕也氏は2017年にロンドンで開催された第1回靴磨き世界大会で優勝し、翌2018年には長谷川氏が発起人となり日本靴磨き選手権を開催するなど、靴磨きサービスの認知拡大に取り組んでいる。

ユナイテッドアローズによると「枠に捕らわれない自由な発想と、説得力のある本物の技術で日本のみならず世界の足元に革命を起こしている」としている。

一方、ユナイテッドアローズは上質感のある紳士、婦人衣料の「ユナイテッドアローズ」や、カジュアル衣料の「ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ」、ビジネス・カジュアルやキッズ用衣料、生活雑貨などを展開する「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング」などのストアブランドを展開している。

「UA CREATIVITY 戦略」では、これらブランドを通じて培ってきた伝統的、保守的、信頼感、安心感といったイメージを保ちつつ、「新たな企業イメージを作り上げる新規ブランドを開発し、企業体そのものを一新させていく」としている。

ユナイテッドアローズが2010年以降に適時開示したM&A案件は、ブランドのライセンスを受けて店舗を運営していた「クロムハーツ」事業を、同ブランド創業者のリチャードスターク氏らに譲渡(2016年)した案件だけ。

フィーゴ以来19年ぶりにM&Aで子会社化したブーツブラックジャパンは、ユナイテッドアローズのブランドをどれだけ高めることになるだろうか。

文:M&A Online記者 松本亮一

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