牛丼の「吉野家」街の飲食店の事業承継ビジネスに参入「アトツギレストラン」をスタート

牛丼チェーン「吉野家」などを展開する吉野家ホールディングス<9861>の子会社であるシェアレストラン(東京都中央区)は、飲食店を任せたい経営者と、店を引き継ぎたい開業希望者をつなぐ事業継承マッチングサービス「アトツギレストラン」を始めた。

飲食店経営者の高齢化や、後継者不足、採用難などの問題解決につなげるのが目的で、街の老舗飲食店の廃業を防ぐとともに、開業希望者の資金負担の軽減を目指す。

同社では「事業継承希望者と飲食店双方を支援することで、新しい開業モデルを創出する」としている。

経営を続けながら事業を承継

アトツギレストランは、開業希望者が登録店舗の中から希望に合う店舗を選び、選んだ店舗のオーナーから手ほどきを受けながら、既存のメニューやレシピをそのまま使い店舗経営を行う仕組み。

初期投資は不要で、店舗ごとに設定された月額料金を支払えば、飲食店の経営をスタートできる。ランチだけ、ディナーだけ、週末だけといった時間指定をできるプランや、毎日フルタイムのプランなどが用意されている。

契約期間は最低6カ月間で、この間に開業希望者は店舗経営やノウハウを学びながら、店舗の承継について判断する。

一方、飲食店オーナーは6カ月間、開業希望者の働きぶりを見て、7カ月目以降に後継ぎとしてふさわしくないと判断した場合は、その後の利用を断ることができる。

また、店舗の空き時間や定休日を有効活用することで、収益を改善できるほか、住居兼店舗の場合はそのまま居住する事も可能という。

同社では経営者、開業希望者ともに、店の経営を続けながら事業承継について考えられるため、「安心して気軽に取り組むことができる」としている。

社会課題解決の一助に

飲食業界では後継者を求める声が多い一方で、資金不足などの理由から開業に至らないケースが少なくないという。

これら問題を解決するために、自治体が動き出す事例もある。北九州市は地域で支持されてきた飲食店などを対象に、専門相談員による指導や助言などを行うとともに、全国から事業承継の希望者を呼び込むなどの取り組みを展開している。

シェアレストランは2020 年に、空きスペースを間貸したい人と、間借りしたい人を結ぶマッチングサービス「シェアレストラン」事業に着手。借入金で店を構えてから顧客が来店する仕組みではなく、ファンを作って店舗を間借りするローリスク・ハイリターンな仕組みを提供している。

自治体の取り組みなどと並ぶ、アトツギレストランやシェアレストランは社会課題解決の一助となるだろうか。

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文:M&A Online記者 松本亮一

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