「事業承継」東京都、中小機構、経産省が支援、その内容は?

後継者がいないために倒産する企業が増えつつある。東京商工リサーチによると、2024年上半期(1-6月)の後継者難倒産(負債1000万円以上)の件数は、前年同期よりも20.9%多い254件に達した。

この数字は、調査を開始した2013年以降最多で、同社では「年間で初めて500件台に乗せる可能性が出てきた」としている。

こうした事態を見越し、経済産業省は全国47都道府県に「事業引継ぎ支援センター」を設置しM&Aを推進しているものの、後継者問題が解決する状況には至っていない。

国や自治体はどのように対応しようとしているのか。最近の動きを見てみると…。

東京都、サーチファンドを設立

東京都は中小企業の事業承継を推進するため、2025年1月にサーチファンド(経営者を目指す個人であるサーチャーを、ファンドが支援して企業の経営を承継してもらう仕組み)を立ち上げる。

すでにファンドを設立し運営する無限責任組合員(GP)の選定を行っており、2024年9月までに選定を終える。

東京都は有限責任組合員(LP)としてこのファンドに出資し、後継者不在に悩む中小企業に新たな経営者と資金の確保を支援していくとしている。

サーチファンドは後継者不在企業と新経営者のミスマッチを防ぐ手法として注目が集まっており、2023年はサーチファンドによる事業承継件数が過去最多となった。

中小機構、事業承継M&Aの支援教材を公開

中小企業基盤整備機構の北海道本部は2024年7月に、北海道事業承継・引継ぎ支援センターと連携し「事業承継『M&A』支援教材(初級編)」の無料動画の配信を始めた。

同引継ぎ支援センターが長年蓄積してきた中小企業・小規模事業者のM&A支援ノウハウを、分かりやすい対話集としてまとめたもので、支援者として行ってしまいがちな点を戯画的に表現した「不適切な事例」と、支援者が現場で行う対応方法を紹介した「適切な事例」の二つからなる。

同機構では「支援者はもちろん、これからM&Aを検討する経営者にも見てほしい」としている。

経産省、PMI取組事例集などを取りまとめ

経済産業省は、支援機関の支援を受けながらPMI(M&A後の経営統合作業)に取り組んだ譲受企業の成果を「PMI実践ツール」「PMI実践ツール活用ガイドブック」としてまとめるとともに、譲受企業と支援機関の取り組みを「PMI取組事例集」としてまとめ、ホームページで公開した。

同省ではこれら資料を、PMIを進める際に活用できる実践ツールとして活用するよう呼びかけている。

東京商工リサーチによると、代表者が高齢の企業ほど業績が悪化する傾向があるため、支援は時間が経つほど難しくなるという。このため支援が受けられない企業を中心に「今後も後継者難倒産は増勢が続くことが懸念される」としている。

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文:M&A Online記者 松本亮一

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