北九州市、事業承継マッチングサイトを開設「後世に残したい飲食店」の後継者も募集
北九州市は、事業を譲りたい経営者と、事業を譲り受けたい候補者を結びつける事業承継マッチングプラットフォームrelay(リレイ)を運営するライトライト(宮崎市)と連携し、市内中小企業の事業承継の支援に乗り出した。
すでにrelay内に北九州市専用のサイト「relay the local(リレイザローカル)北九州」を開設しており、今後SNS(インターネット上で登録者同士が交流できるサービス)やセミナーなどを通じて「relay the local 北九州」をPRし、全国から後継者を募集しマッチングを行う。
併せて2024年10月31日まで「後世に残したいお店・味・ものづくり」に関するアンケートを実施し、後継者不在に悩む事業者を掘り起こし、マッチングサイトへの掲載や、専門相談員による指導、助言などを行う。
北九州市は、1901年の官営八幡製鉄所(現日本製鉄)の操業とともに発展してきた工業都市。現在は市内事業所の99%が中小企業で、このうち後継者のいない中小企業は40%強に達しているという。
このため同市では2023年9月に、自治体としては初めてサーチファンド(経営者を志す個人がファンドの支援を得て企業の経営を承継する仕組み)を運営する2社と連携協定を結び、市内中小企業の事業承継の支援を始めた。
事業承継の二つの施策はシナジーを生むことはできるだろうか。
社名を公表し企業の想いや魅力を発信
「relay the local 北九州」では、同サイトに掲載を希望する企業を募り、事業者の想いや数字で見えない魅力を、社名を明らかにしたうえでPRし、全国から後継者を募る。
後世に残したい企業のアンケートでは、得られた情報を基に市が企業に接触し、モノづくり企業をはじめ、地域で支持されてきた飲食店などを対象に、全国から事業承継の希望者を呼び込み、企業とつなぐ。北九州市では、こうした取り組みによって、地域の活性化や市内転入者の増加を目指す。
連携するライトライトは2020年1月設立のスタートアップで、収益などの財務的な視点だけでなく、事業への想いなどを重視し、共感をベースにした事業承継に取り組んでいる。
また、北九州市が事業承継の支援策の一つとして連携したサーチファンドは、Growthix Capital (東京都中央区)と、山口キャピタル(山口県下関市)で、両社は北九州市と共同でセミナーなどを開催し後継者不在企業を掘り起こすとともに、後継者不在企業と候補者とのマッチングなどを行っている。
スタートアップの出現率は全国一に
北九州市の人口は、1979年の106万8415人をピークに減少が続き、2005年には100万人を割り込んだ。製鉄所の規模縮小に伴う企業の転出などが要因で、少子化や未婚率の上昇なども加わり2045年には77万1000人に減少すると予測されている。
一方、帝国データバンクが2024年6月に、全国の各市、区ごとにスタートアップの出現率(設立5年未満の企業の割合)を調べたところ、北九州市の小倉北区(11.0%)と小倉南区(同)が最も高く、全国平均(3.6%)の3倍ほどに達したほか、八幡西区(8.9%)も全国平均を上回る高い数値となった。
文:M&A Online記者 松本亮一
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08/27 06:30
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