サンマルクがGHDを買収「牛カツ」はサンマルクカフェ、鎌倉パスタに次ぐ第3のブランドになれるか

「サンマルクカフェ」「生麺工房鎌倉パスタ」などの喫茶やレストランを運営するサンマルクホールディングス<3395>が、M&Aに踏み切った。

2027年3月期以降の成長の軸となるサンマルクカフェ、鎌倉パスタに次ぐ第3のブランド確立に向けた投資で、2024年11月中旬までに、牛カツ定食店などを運営するジーホールディングス(GHD、東京都中央区)の全株式を取得し、子会社化する。

2029年3月期を最終年とする5カ年の中期経営計画で、M&Aによって業態の多角化に取り組む方針を明らかにしていた。

牛カツは第3のブランドに育つことはできるだろうか。

関連記事はこちら
新業態の買収近づく「サンマルク」カフェ、レストランに続くのは?
「サンマルク」のM&Aデータベース

インバウンド需要の見込める和食に注目

GHDは、牛カツ定食店「京都勝牛」を展開するゴリップ(京都市)や、カフェの「NICK STOCK」、つけ麺・ラーメン店「五十五番」などを展開するOHANA(愛知県刈谷市)を傘下に抱えており、各ブランド合わせて、直営74店、フランチャイズ43店、他社のフランチャイズ2店を運営(2024年7月末時点)している。

2022年7月期に3億2000万円の営業赤字に陥ったが、その後急速に回復しており、2024年7月期は、売上高92億2300万円(前年度比26.8%増)、営業利益12億2700万円(同3.29倍)の大幅な増収営業増益を達成した。

主力は、牛カツ定食店「京都勝牛」で、2014年にブランドを立ち上げ。牛カツが「寿司」「天ぷら」「ラーメン」に次ぐ和食文化のスタンダードとして国内外で定着することを目指し、国内60店、海外17店を抱える。「京都」「日本食」「和牛」を柱としたコンセプトは、とりわけ海外でブランド力を発揮。訪日外国人からも高い評価を受けているという。

一方、サンマルクは「サンマルクカフェ」「鎌倉パスタ」をはじめ「ベーカリーレストランサンマルク」や「神戸元町ドリア」「倉式珈琲店」「台湾小籠包」などのカフェやレストランなどを国内で743店(2024年6月末時点)展開している。

2029年3月期に売上高800億円、営業利益65億円を目指しており、この目標達成のために2026年3月期までの重点施策として、鎌倉パスタの継続出店や、サンマルクカフェの運営効率化と並んで、M&Aによる第3のブランドの確立を目標に設定。インバウンド(訪日観光客)需要が見込める業態の獲得を目指しており、「京都勝牛」はその対象にマッチしたと言えそうだ。

売上高や利益の1~2割を占める牛カツ

サンマルクの2024年3月期は、鎌倉パスタなどのレストラン事業の売上高が380億2200万円(前年度比13.9%増)、営業利益が26億9300万円(同86.9%増)、サンマルクカフェなどの喫茶事業の売上高が265億3400万円(前年度比8.5%増))、営業利益が16億1500万円 (同5.9倍)だった。売上高、利益ともにレストランと喫茶の構成比はおよそ6対4ほどだ。

これが傘下に収めるGHDの2024年7月期の実績(売上高92億2300万円、営業利益12億2700万円)をそのまま加えて構成比を試算すると、売上高はおよそ5対4対1に、営業利益はおよそ5対3対2になる。

GHDの数字が売上高や営業利益の1~2割を占めることから、牛カツが第3の柱の有力候補といっても問題はなさそうだ。

同社は中期経営計画期間中にM&A投資枠として100億円を設定していた。GHDの取得価額は112億円で、この1件で投資枠を超える計算になる。

投資額の面でも第3の柱の有力候補は牛カツで決まりといえそうだ。

GHD買収に伴うサンマルクホールディングスの構成比などの試算

文:M&A Online記者 松本亮一

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

ジャンルで探す