100円ショップの「キャンドゥ」イオン傘下入り後、初の営業増益に セリアは4期連続の営業減益見込み
2022年1月にイオン<8267>傘下に入った100円ショップ業界3位のキャンドゥ<2698>が、4期ぶりに営業利益(2025年2月期)が増加に転じることになった。
2021年11月期に40%近い営業減益となったあと、イオン傘下で販路の拡大や、商品・ブランドの差別化などに取り組んできた成果が、ようやく表れた格好だ。
100円ショップ業界では2位のセリア<2782>が4期連続の営業減益(2025年3月期)の見込んでおり、4位のワッツ<2735>は4期ぶりに営業増益(2024年8月期)に転じる見込みだ。
帝国データバンクによると、100円ショップ市場は拡大しているものの、利益面では厳しい状況下にある。キャンドゥのイオン効果は今後も続くだろうか。
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成長と生産性向上により利益を確保
キャンドゥは2025年2月期に5.8%の増収、85.2%の営業増益を見込む。同社は親会社のイオンと決算期を合わせるため2023年に決算期を11月期から2月期に変更した。
イオン傘下に入る前の2021年11月期は、コロナ禍の影響などで38.1%の大幅営業減益に陥っていた。
決算期を変更した2023年2月期は、15カ月の変則決算だったが、営業利益額は減少し、翌2024年2月期も減少が続いた。
2025年2月期はイオングループとの協業によるイオン系列への出店などを進めており、2024年8月に発表した第1四半期決算では、店舗数が10店舗増加(出店31店舗、退店21店舗)し、店舗数は1308店舗となった。
合わせて「成長と生産性向上による利益確保」を目標に掲げ、大型店に対応した品ぞろえや、生活防衛のための商品開発などにより商品の差別化に取り組んだほか、重点商品の水平展開やトレンドを重視した販促商品の統一化などを実施。
こうした対策で、同第1四半期は5.0%の増収、22.6%の営業増益を達成しており、4期ぶりの営業増益の実現が一歩近づいている。
増収も採算は悪化
帝国データバンクが2024年5月に発表した「100円ショップの業界調査」によると、節約志向を背景に100円ショップは2023年に市場規模が1兆円に達しており、今後も売り上げの拡大が期待できるという。
一方で、円安の影響などで輸入コストや原材料コストが上昇し、採算が悪化しており、利益面では厳しい状況にあるとしている。
セリアは、2022年3月期に1.7%の営業減益となって以来、減益が続いており、2025年3月期もわずかだが0.1%の営業減益を見込む。この間売上高は毎年増収を達成し、4年間で16.0%伸びる計算だ。
2025年3月期第1 四半期は、商品仕様の見直しによる原価上昇抑制や、物流効率の改善などに取り組み、26.1%の営業増益を達成したが、通期見通しでは営業減益を据え置いた。
ワッツの2024年8月期は1.5%の増収、68.9%の営業増益を見込む。増収は2022年8月期以来3期連続で、営業増益は2020年8月期以来となる。
2024年8月期は当初、営業減益を予想していたが、2024年3月に業績予想を上方修正し、営業増益に改めた。
雑貨の売上高構成比率と100円以外の商品の売上高比率を高めたことが増益転換の要因で、2024年7月に発表した第3四半期時点では2.6%の増収、2.84倍の営業増益を達成しており、通期目標達成の可能性は高い
帝国データバンクによると、業界最大手で「DAISO」を展開する大創産業(広島県東広島市)の2023年2月期の売上高は5892億円で、前年度より7.2%の増加となった。利益は公表していない。
現在、為替は円高方向に振れているものの、コストが低下する兆しはまだ表れていない。キャンドゥはイオンとの協業で増益軌道に乗ることはできるだろうか。
文:M&A Online記者 松本亮一
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09/28 07:00
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