すかいらーくHD、「資さんうどん」の子会社化は買収本格化の第一弾
ファミリーレストラン最大手のすかいらーくホールディングス<3197>は2024年10月に、うどん店チェーンの「資(すけ)さんうどん」を運営する資さん(北九州市)の全株式を、国内投資ファンドのユニゾン・キャピタル(東京都千代田区)などから取得し、子会社化する。
資さんは2023年に関西に出店し、2024年の冬には関東への出店も計画しており、今後の事業拡大のための資金や人材などの需要がある。一方、すかいらーくは、カニバリ(自社の店舗の競合)解消のため、業態転換が可能な集客力のあるブランドの取得が必要。
こうした両社のニーズが一致しM&Aが実現したもので、すかいらーくは資さんの子会社化後は、資金や人材のほか、既存の店舗網や立地開発力、サプライチェーンなどを活用し、資さんの会社やブランドを維持しながら、資さんの全国展開を支援する。
すかいらーくは2027年12月期を最終年とする3カ年の中期事業計画で、成長戦略の一つとしてM&Aの推進を掲げており、同事業計画中に3~5件のM&Aを実施する計画だ。
「資さんうどん」の案件はこの第一弾となるもので、今後M&Aが本格化するものとみられる。
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「世界の資さん」を目指す
資さんは1976年に、大西章資氏が北九州市で、名前の一文字を取った「資さんうどん」を開業したのが始まり。
その後、店舗数を増やすとともに、資さんうどんの名物となったスティック状のごぼうの天ぷらを乗せた「ごぼ天うどん」や、北九州市でよく食べられていた「ぼた餅(おはぎ)」などを商品化しメニューの幅を広げていった。
投資会社のユニゾン・キャピタル(東京都千代田区)が経営権を握った2018年以降は出店を加速しており、2024年9月6日には72店舗目を長崎県でオープンした。
現在は北九州市を中心に九州7県、山口県、岡山県、大阪府、兵庫県の1府10県で営業しており、うどんのほか、かつ丼やカレー、おにぎり、おでん、ぼた餅などを提供している。
2024年8月期は、売上高152億7400万円(前年度比23.3%増)、営業利益3億6000万円(同4.7倍)の増収営業増益を見込む。
同社ではすかいらーくグルーブが保有する資金やサプライチェーンなどの経営資源を活用することで「北九州の資さん」「九州の資さん」から、今後は「日本の資さん」「世界の資さん」を目指して、出店を加速するとしている。
M&Aに500億円を投入
すかいらーくは、ファミリーレストランの「ガスト」や、中華レストランの「バーミヤン」、から揚げ専門店の「から好し」など27のブランドを、国内外で2964店舗(2024年6月30日時点)展開している。
同社が公表している沿革では、2006年にファミリーレストラン「TOMATO&ONION」と焼き肉レストラン「じゅうじゅうカルビを展開するトマトアンドアソシエイツ(兵庫県西宮市)を子会社化して以来、企業買収の実績はない。
同事業計画では、出店拡大のための資金や人材などを必要としている既存の飲食店チェーンや、事業拡大を検討している外食スタートアップ企業などを対象に500億円程度を投入する計画で、このうち資さんの子会社化には240億円を投じる。
同社では中期事業計画の数値目標にはM&Aによる影響は含めていないため、M&Aが実現すれば業績が上振れする可能性があるとしている。
業績予想を上方修正
すかいらーくは2024年8月に、2024年12月期の業績予想を上方修正し、売上高を200億円多い3950億円(前年度比11.3%増)に、営業利益を90億円多い240億円(同2.05倍)に引き上げた。
外食消費が順調に推移しているのをはじめ、2024年4月に行った価格改定の効果が想定以上に高いことや、土日祝日に従業員を多く配置したことで回転率が向上したことなどが好調の要因という。
値上などによる業績の好転にM&Aが加わることで、2027年12月期の目標が上振れする可能性は高そうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
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09/10 06:35
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