オイシックス、ケータリング事業を拡大 YUKIYAMESHIを買収

食品の定期宅配サービスを展開するオイシックス・ラ・大地<3182>が、ケータリング(指定された場所に出向き食事を提供するサービス)事業の拡大に乗り出した。

同社は2024年2月に子会社化した法人向けケータリング事業や社員食堂事業を手がけるノンピ(東京都千代田区)を通じて、料理家の寺井幸也氏が率いるケータリング会社のYUKIYAMESHI(東京都目黒区)を傘下に収めた。

YUKIYAMESHIは華やかな料理と紙容器を利用するなどの環境に配慮した取り組みが特徴。ノンピは年間160万食を調理しており、オイシックス・ラ・大地は約4000の農家との直接取引による安心安全な食材調達ルートを持つ。

この3社の強みを生かして、おいしさ、美しさ、サスティナブル(持続可能)の観点を強化し、未成熟な日本のケータリング市場を成長させるための変革を起こす、としている。

どのような取り組みなのだろうか。

3年で売上高を10倍に

ノンピは、オイシックス・ラ・大地の傘下入りとともに、オイシックスと連携し事業拡大に取り組んでおり、さらに成長を加速するためにYUKIYAMESHIの買収に踏み切った。

YUKIYAMESHIは装飾付きケータリングサービスを、特別栽培の野菜を使用するなど環境に配慮した食材の使用や、その食材が持つ物語をテーブルで演出する「SustainabilityStoryTable」としてリニューアルする。

また特別栽培の野菜を使用した弁当やオードブルの販売などにも取り組むほか、看板商品である「オープンいなり」を進化させた商品をノンピと共同で開発する。

さらにノンピは自社の持つ調理機能やノウハウなどをYUKIYAMESHIに導入し、受注件数を1カ月10件程度対応できるようにすることで、YUKIYAMESHI の売上高を3年で10倍に引き上げる。

ケータリング市場は新型コロナの影響で縮小したが、このところ回復の兆しが現れており、ノンピのケータリング事業の売上高は急増しているという。

今回の取り組みは、日本のケータリング市場にどのような影響を与えるのか。今後の行方に関心が集まりそうだ。

M&Aや出資を積極化

オイシックス・ラ・大地は、M&Aや資本提携を積極化させており、2024年1月に給食大手のシダックスを子会社化したあと、同年2月にノンピをグループ化。

同年4月には麹発酵を活用した植物性食材から作る代替ミルクの開発、販売を行う米国のKOATJI(カリフォルニア州)に、同年5月に水産物の閉鎖循環式陸上養殖システムなどの開発、販売を行うARK(東京都渋谷区)と、コーヒー専門のEC(電子商取引)モールの運営やコーヒー豆の輸入などを手がけるOriental Coffee Ventures(東京都中央区)にそれぞれ出資。

さらに2024年7月1日には、アイスクリームやスイーツを手がけるHiOLI(東京都世田谷区)を子会社化しており、積極的な投資を実行している。

文:M&A Online記者 松本亮一

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