セブン-イレブンの「セブン&アイ」子会社の通販大手ニッセン売却後も小売業首位の座に
セブン-イレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングス<3382>は2024年7月1日に、子会社の通販大手ニッセンホールディングス(京都市)を売却した。
コンビニエンスストア事業に経営資源を集中する成長戦略に沿ったもので、2兆を超える巨費を投じて米コンビニの「スピードウエイ」を買収した2021年以降では、スポーツ用品販売のオッシュマンズ、百貨店の「そごう・西武」、高級衣料品店を運営する「バーニーズジャパン」に次ぐ4社目の売却となる。
2位のイオンとは依然大きな開きが
ニッセンの2024年2月期は売上高395億7100万円、営業利益2億1100万円。同社が連結対象から外れることで、これら数字が見込めないことになるが、セブン&アイは、影響は軽微として2024年7月11日に発表した2025年2月期第一四半期決算では、通期の業績見通しを変更せず、売上高11兆2460億円(前年度比2.0%減)、営業利益5450億円(同2.0%増)を据え置いた。
一方、国内小売り2強の一角を占めるイオン<8267>は増収増益ながら、2025年2月期の売上高は10兆円(同4.7%増)、営業利益2700億円(同7.6%増)の見込みで、その開きは依然として大きい。
セブン&アイは企業売却の一方で、2024年4月にオーストラリアでコンビニ事業を展開するコンビニエンス・グループ・ホールディングスを子会社化したほか、同月には米国のスノコからコンビニやガソリンスタンド204店舗を取得しており、今後もコンビニ関連のM&Aに踏み切ることが予想される。
現時点で小売り2強の順位が逆転するシナリオを描くことは難しそうだ。
目指すのは世界トップクラスのリテールグループ
セブン&アイは2014年に、ニッセンをTOB(株式公開買い付け)と、第三者割当増資の引き受けで子会社化した。
その後、ニッセンはセブン&アイの傘下で、カタログやインターネットによる通販事業で、品質の向上やサービスの強化などに取り組んできたが、2024 年2月期の純資産は237億円ほどのマイナスに陥っていた。
ニッセンは幅広い年齢層の女性顧客を有しており、女性医療従事者が多い歯科医院などに歯科材料を通信販売している歯愛メディカル<3540>が、シナジーが見込めると判断し、同社をグループ化した。
セブン&アイは「食を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」を2030年に目指すグループ像としており、この目標の実現のために、セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略を掲げている。
非中核事業の売却とコンビニ事業への投資はまだまだ続くことになりそうだ。
文:M&A Online記者 松本亮一
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07/25 06:25
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