楽器の「ヤマハ」がシリコンバレーに拠点 スタートアップへの投資やM&Aが加速か

ピアノなどの楽器大手のヤマハ<7951>は、米国のベンチャーキャピタルCounterpart Venturesが運営するファンド「Counterpart Ventures Fund III, L.P.」に約15億5000万円(1000万ドル)を出資するとともに、米国シリコンバレーに新たな事業開発拠点(駐在員事務所)を設置した。

同ファンドへの出資によって、スタートアップの探索ノウハウを獲得するとともに、並行して新たな事業開発拠点でスタートアップとの協業を推進する。

同社は2025年3月期を最終年とする3カ年の中期経営計画「Make Waves 2.0」の中で、自社の経営資源と外部の先進技術をかけ合わせて、新たな価値を創造するとの目標を掲げており、この目標実現のため新規事業やM&A などを対象とする650億円の戦略投資枠を設けている。

今回のベンチャーキャピタルへの出資と事業開発拠点の設置によって、スタートアップへの出資やM&Aが一気に加速することになりそうだ。

スタートアップの紹介や事業開発の支援を獲得

出資するファンドを運営するCounterpart Venturesは、米国を中心に企業間取引や消費者向け事業の支援ビジネスを手がけるスタートアップへの投資をメインとしており、投資先企業の経営に深く関わることで、成長を支援している。

ヤマハは同ファンドからスタートアップの紹介や事業開発の支援を得て、スタートアップとの協業などによる事業開発力を強化する。

また事業開発拠点はすでに2024年4月に設置済みで、スタートアップとの協業を通じてオープンイノベーション(社内外の技術やサービスを組み合わせて革新的な価値を創り出す取り組み)を促進する。

M&Aの出番も

ヤマハは2023年2月に、アコースティックギターや、エレクトリックギターなどを品ぞろえする米国のギターメーカーCordoba Music Group(カリフォルニア州)を子会社化した。

同社は中期経営計画「Make Waves 2.0」で楽器事業の拡大に取り組んでおり、中でも高い成長が見込まれるギター事業は積極的な投資によって規模を拡大し、将来の楽器事業の柱に育てる方針を打ち出している。

同中期経営計画では、こうしたM&Aの実施などを目標に掲げているが、期間中に適時開示したM&Aのこの一件に留まっている。

また同中期経営計画では3年間で20%の増収を目指しており、これを当てはめて計算すると2025年3月期の売上高は4898億円ほどになる。

同社が2024年5月に公表した業績予想では、2025年3月期の売上高は4650億円(前年度比0.5%増)のため、現状では目標には届かない見通し。

目標達成に向け、このあとM&Aの出番があるかも知れない。

【ヤマハの業績推移】2025/3は予想

決算期売上高(億円)営業利益(億円)
2022/3 4081.97 493.20
2023/3 4514.10 464.84
2024/3 4628.66 289.99
2025/3 4650.00 450.00

文:M&A Online

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