人気のスポーツ・コンパクトが第4世代に進化! まもなく日本でも登場!? BMW新型「1シリーズ」の走りはどう変わった?

2024年6月にフルモデルチェンジされ世界初公開されたBMW新型「1シリーズ」。新型の全長は4361mm(欧州仕様)というCセグメント・コンパクトハッチバックですが、初代登場から20年で全世界で300万台以上が販売されたという人気モデルだといいます。4代目となった人気モデルはどう進化したのでしょうか。ドイツ・ミュンヘンで試乗会が開催されました。モータージャーナリスト、大谷達也氏のレポートです。

300馬力のスポーツモデル「M135 xDrive」の質の高い走り

  フルモデルチェンジを受けたBMW新型「1シリーズ」にドイツ・ミュンヘン周辺で試乗しました。

BMW新型「M135 xDrive」

BMW新型「M135 xDrive」

 2004年デビューの初代から数えて新型は4代目。この20年間に全世界で累計300万台以上が販売されたといいます。

 その主な市場は全体の80%を占めるヨーロッパですが、日本もグローバルなランキングで5位に食い込むほどの人気ぶり。CセグメントのコンパクトなボディーにBMWらしいキビキビとした走りを詰め込んだ点が、おそらく日本の市場にピッタリとマッチしているのでしょう。

 新型1シリーズは、先代から受け継いだエンジン横置き式プラットフォームをさらに改良。

 ドイツ本国では3気筒1.5リッター・ガソリンターボエンジンを積む前輪駆動の「120」、4気筒2リッター・ディーゼルターボエンジンを積む前輪駆動の「180d」と「200d」、4気筒2リッター・ディーゼルターボエンジンにフルタイム4WDを組み合わせた高性能版の「M135 xDrive」の4タイプが用意されていますが、今回は日本導入が確実と見られる「120」と「M135 xDrive」の2台に試乗しました。

 エンジンや駆動系、サスペンションなどの基本形式は従来型と共通ですが、新たに48Vマイルドハイブリッド・システムを搭載したことが大きなニュースのひとつ。

 また、コーナリング時にボディーが傾くのを抑えるアンチロールバーにはハイリー・プリローデッド・タイプを採用。これは、アンチロールバーと呼ばれる棒状のスプリングを固定するベアリングを、これまで以上に強い力で締め付けることにより、乗り心地の改善と正確なハンドリングを実現する技術です。

 一部モデルに周波数感応型ショックアブソーバーを搭載したことも注目されます。

 これはサスペンションが素早くストロークした際、伸び側の減衰力を低めることで快適性を確保するもの。裏を返せば、これまで以上に高い減衰力のショックアブソーバーを用いても快適性を損ないにくくなるため、やはり乗り心地と操縦性の双方を改善することが可能になります。

 なお、周波数感応型ショックアブソーバーはM135 xDriveの全車、そしてオプションのMスポーツ・パッケージを装着した車両に搭載されます。

 先に試乗したのはM135 xDrive。最高出力は300psで0-100km/h加速:4.9秒、最高速度はスピードリミッターで250km/hに抑制される高性能モデルです。

 それだけに足回りはちょっと硬め。ただし、ボディーがしっかりしているのと、おそらくは前述した周波数感応型ショックアブソーバーも効いているためか、ボディーが激しく上下させる感じはしません。硬いなりに質感の高い乗り心地といっていいと思います。

 試乗コースは一般道が中心で、コーナーを本気で攻められるようなワインディングロードはありませんでしたが、それでもボディの動きが小さく抑えられているためにハンドリングは機敏で、精度の高いコーナリングが可能でした。また、試乗していた時間帯はときおり雨が強く降る生憎の天候でしたが、xDriveのおかげで常に安定したトラクションが得られ、恐い思いをしたことは皆無でした。

日本で売れ筋になりそうなガソリンモデル 新型「120」

 続いて120のステアリングを握ります。

BMW新型「120」の走り

BMW新型「120」の走り

 この1シリーズからガソリンエンジン搭載車のモデル名についていた「i」が外れ、シンプルに120と呼ばれることになりました(同様にM135からもiが外れています)。

 これは、今後「i」がEVのために用いられるための措置だそうです。いっぽう、ディーゼルエンジン搭載車は、たとえば「120d」のように今後も最後に「d」が添えられます。

 高性能モデルに乗ったあとだと、120がいかにも物足りなく感じられそうですが、意外や意外、120の走りはなかなか軽快でした。

 おそらく、発進時には48Vマイルドハイブリッドシステムが効果的に働いてくれるのと、1.5リッター・エンジンが1500rpmという低回転から最大トルクの240Nmの最大トルクを発揮してくれるからでしょう。

 また、アクセルペダルを大きく踏み込んだときに3気筒エンジンに特有の「ルルルルル……」というノイズがほとんど聞こえないことにも好印象を抱きました。そのいっぽうで、速度無制限区間のアウトバーンでは2名乗車であっさりと180km/hをマークしたのですから、大したものです。

 試乗車はMスポーツ・パッケージ装着車でしたが、前述した周波数感応型ショックアブソーバーのおかげなのか、以前の「Mスポ」に比べれば乗り心地は快適。高速域では少し硬く感じられるところもありましたが、ベースグレードとは思えないほどハンドリングはスポーティで、操縦性と快適性が高い次元で両立されていると感じました。

BMW新型「120」のインパネ

BMW新型「120」のインパネ

※ ※ ※

 というわけで、優れた快適性とほどよいスポーツ性能を備えた120に私は強く惹かれました。

 そのデザインは好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、走りの質に関していえば現行Cセグメント・ハッチバックのなかでトップクラスの実力を備えていると思います。

 なお、新型1シリーズの日本発売は2024年10月末になる模様。120とM135 xDriveにくわえてディーゼル・モデルの導入も検討されているというので楽しみです。

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