日本登場は2024年の年末!? BMW新型「X3」はどう変わった? 世界的ベストセラー・ミドルSUVの“進化した走り”とは

2024年6月にフルモデルチェンジされ、第4世代に生まれ変わったBMWのミドルSUVが新型「X3」です。BMWとしては世界市場でベストセラーとなるモデルですが、進化したのでしょうか。

BMWとしてもっとも多く売れているモデルが全面改良

 BMWは「1シリーズ」に続いて、「X3」のフルモデルチェンジを実施しました。

BMW新型「X3 M50 xDrive」の走り

BMW新型「X3 M50 xDrive」の走り

 グローバルで見ると、X3は現在、BMWとしてもっとも多く売れているモデルだそうです。

 日本でもX3は人気ですが、もっとも販売台数が多いのは相変わらず「3シリーズ」というので、世界全体の市場とは少し状況が異なっているようです。

 2003年にデビューした初代から数えて4代目にあたる新型X3は、デザインが全面的に見直されたことが印象的です。

 これまでX3といえば筋肉質なデザインで力強さを強調していましたが、新型はボディーサイドのキャラクターラインがあまり目立たない、ツルッとして優しい面作りにより未来感を醸し出しているように思います。

 BMWはこういうデザイン手法をモノリシック(「一枚岩」の意味)と呼んでいて、「カタマリ感を表現している」と説明します。

 いっぽうで、ふたつのグリルを組み合わせたBMW伝統のキドニー・グリルは縦長のデザインに一新。現行型7シリーズなどと共通した独特な存在感を打ち出しています。

 なお、X3のキドニーグリルもイルミネーションで縁取りされていて、夜になるとその形状を強烈に印象づけるように工夫されています。

 インテリアは2枚の湾曲した大画面ディスプレイに象徴されているように、とてもモダンでデジタル化が進んでいます。このタッチディスプレイでドライビングモード切り替え、エアコン、ナビゲーション、エンターテイメントなどの様々な操作を行なうため、ダッシュボード周りのスイッチは最小限に抑えられたほか、エアコンの吹き出し口も薄く目立たない形状とされています。

 そのうえで、ダッシュボード周りにはイルミネーションをふんだんに設けたほか、ダッシュボードからドアに向けて伸びるような形でC字型のイルミネーションを装備。その内側にドアハンドルやエアコン吹き出し口などを組み込む凝ったデザインとされました。

 基本的なアーキテクチャーは従来からのエンジン縦置き用に改良を施したもの。

 エンジンは2リッター4気筒のガソリンとディーゼル、2リッター4気筒のガソリンにプラグイン・ハイブリッドシステムを組み合わせたタイプのほか、3リッター6気筒ガソリン・エンジンを積む高性能モデルなどが用意されますが、このうち、今回は2リッター4気筒ガソリン・エンジン搭載の「X3 20 xDrive」と3リッター6気筒ガソリン・エンジンを積む「X3 M50 xDrive」の2台に試乗しました。

xDriveが安定したトラクションを生み出す

 この日、ドイツ・ミュンヘン周辺は強い雨が降ったり止んだりする生憎の天候でしたが、それでも2台とも恐い思いを一度もしなくて済んだのは、BMWのフルタイム4WDシステムであるxDriveが安定したトラクションを生み出してくれたことが大きかったと思います。

BMW新型「X3 M50 xDrive」の走り

BMW新型「X3 M50 xDrive」の走り

 先に試乗したX3 M50 xDriveは電子制御式可変ダンパーを装備していましたが、これがとてもいい仕事をしていました。

 ドライビングモードの設定によってスポーティにもコンフォートにも切り替わるほか、コンフォート系では細かい振動まできれいに取り去って快適な乗り心地をもたらしてくれたのです。

 しかもロールやピッチといった姿勢変化も少ないのでハンドリングは軽快そのもの。スポーツ・モードの乗り心地はやや硬めでしたが、ワインディングロードを本気で走る際には心強い味方になってくれそうです。

 381psと540Nmを生み出すエンジンは、低回転域ではその存在に気づかないほど静かかつスムーズなだけでなく、そこから中回転域にかけて分厚いトルクを発揮。しかもレスポンスが良好なので、幅広いシーンでスポーティな走りを楽しめました。

 ただし、BMWのストレート6と聞いて期待したくなる「官能的な滑らかさ」は感じられなかったほか、5000rpmを越える領域での「突き抜けるようなパワー」も手に入りませんでした。

 これについてエンジン技術者に訊ねたところ「エンジンの280kw(381ps)とモーターの13kw(18ps)で合計283kwを生み出す設定です。もしも回転数にあわせて出力をさらに高めたら283kwを超える仕様になってしまいます」との説明を受けましたが、いまひとつ要領を得ませんでした。

BMW新型「X3 20 xDrive」の走り

BMW新型「X3 20 xDrive」の走り

 もう1台のX3 20 xDriveは全体的に軽快な印象でした。

 これには、標準仕様のサスペンションが優しい乗り心地をもたらしてくれたことが大きく関係しています。子細に観察すれば、M50のアダプティブMシャシーとは違って路面からの細かな振動を伝える傾向はありましたが、それ以上にしなやかな足回りがゆったりとした乗り味を生み出してくれて快適でした。

 パワーステアリングの設定がM50に比べて軽めなことも、軽快な印象を強めているように思いました。

 4気筒エンジンの最高出力は184ps、最大トルクは250Nmですが、高速道路を含め、動力性能としてはまったく不満を覚えませんでした。「BMWだったら4気筒のガサついた印象をもう少し抑えて欲しい」とも思いましたが、それは欲張りが過ぎるというものかもしれません。

BMW新型「X3」のインテリア

BMW新型「X3」のインテリア

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 新型X3の国内発表は今年の11月末ごろとなる見通し。その際には、4気筒2リッター・ディーゼルエンジンがラインナップされる可能性もあるようです。

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