“軽量スポーツカー”とは決別!? ロータスの新型車「エメヤ」は900馬力超のハイパーカー! 名門が手がける「ハイパー電動GT」のスゴさとは

英国の伝統的なスポーツカーメーカーであるロータスは、エレクトリック・ハイパーGTの「エメヤ」を先ごろ日本初公開しました。果たしてどんな魅力の持ち主なのでしょうか?

ライトウエイトスポーツカー名門が手がける高性能BEV

 英国の伝統的なスポーツカーメーカーとして知られるロータスのエレクトリック・ハイパーGT「エメヤ(Emeya)」が、2024年8月22日に日本初公開されました。

 このモデルは、2023年9月7日に米国にて発表されたロータス発のBEV(電気自動車)ロードカーの第1弾となったSUV「エレトレ(Eletre)」に続くモデルです。

ロータスのエレクトリック・ハイパーGT新型「エメヤ」

ロータスのエレクトリック・ハイパーGT新型「エメヤ」

 ロータスは、ピュアエンジンのミッドシップスポーツカーである「エミーラ」の製造販売をおこなっているものの、同車が新規開発される最後のエンジン車となることを発表済み。さらに、操業80周年を迎える2028年には、BEVメーカーへの転身を遂げる計画を打ち立てており、それに向けて着実な歩みを進めています。

 その象徴となるのが、2019年7月に発表されたBEVハイパーカーの「エヴァイヤ(EVIJA)」。英国車初のBEVハイパーカーで、最高出力2011hp(1500kW)、最大トルク1704Nmという途方もない性能が与えられています。

 そのすべてがユーザーの意向に沿ってつくられる超高性能な限定車で、価格も約4億円と飛び抜けたものになっています。

 もちろん、主力となる次世代主力モデルの開発も同時に進めてきており、2022年3月にはBEVロードカーの第1弾であるハイパーSUV「エレトレ」を発表。将来を占うモデルが流行りの高級SUVであることには賛否の声が聞かれましたが、ロータスらしいドライバーズカーを目指して開発されました。

 それを物語るように、最上位グレードである「R」はSUVでありながら最高出力905hp(675kW)、最大トルク985Nmを発生。その結果、最高速は265km/h、0-100km/h加速は2.95秒と、スーパースポーツカーに迫る性能が与えられました。

 そんな「エレトレ」と基本コンポーネンツを共有するのが、今回フォーカスする「エメヤ」。そのため「エメヤ」と「エレトレ」には、多くの共通点があります。

「エメヤ」のエクステリアデザインは、4ドアクーペのボディスタイルが最大の特徴ですが、フロントマスクではL字デイライトがデュアルタイプとなるなど、細部でもキャラクター分けが図られています。

「エメヤ」のボディサイズは、全長5139mm、全幅2005mm、全高1467mm(22インチホイール仕様)と立派な体格で、「エレトレ」と比較すると全長がプラス36mm、全幅がプラス3mm、全高はマイナス168mmとなり、ほぼ同等の長さと幅であることが分かります。

 ちなみに、ホイールベースは3069mmと「エレトレ」比でプラス50mmとなっており、この差が走りや使い勝手にどのような差を与えるのか気になるところです。

「エメヤ」のインテリアは、「エレトレ」と共通する世界観でまとめられたもので、標準の5人乗り仕様に加え、リアシートが左右独立した4人乗りの「エクスクルーシブパック」装着車も用意されています。4座仕様の場合、前後ともセミバケットタイプとなるので、ロータスらしいスポーツ性が高まります。

 コックピット回りも「エレトレ」との共通点が多い部分。ドライバーズシートの正面に位置するコンパクトなメーターパネルと、55インチ相当の大画面ヘッドアップディスプレイが目を惹きます。さらに、エンタメや車両設定のシステムにアクセスできる15インチのセンターインフォメーションタッチスクリーンも装備されています。

●高性能が自慢の「エメヤ」は3タイプのグレードを設定

「エメヤ」は全グレードに、2モーター式の4WDシステムと102kWhの駆動用電池を搭載しています。

 最上位グレードの「R」は最高出力675kW、最大トルク985Nmを発生し、最高速度は256km/h、0-100km/h加速は2.78秒とアナウンスされています。他グレードとは異なり、2速のトランスミッションが備わっています。

 ベースグレードと「S」グレードの違いは、装備の差。パワーユニットは共通で、最高出力は450kW、最大トルクは710Nmを発生し、最高速度は250km/h、0-100km/h加速は4.15秒をマークします。

 ちなみに、「エメヤ」と「エレトレ」の「R」グレードどうしを比べると、最高速は「エレトレ」が、加速性能では「エメヤ」がそれぞれ勝っている点も興味深いところです。

 気になる航続距離は、大容量バッテリーを搭載していることもあり、「R」グレードが435~485km(WLTP)、ベースグレードと「S」グレードが500~610km(WLTP)とされています。

 また充電機能は、最大400kWの出力にも対応。現在、日本の規格であるCHAdeMO(チャデモ)方式は150kWが上限なので宝の持ち腐れですが、急速充電は日進月歩で進化していく分野ですから、そのアドバンテージは小さくありません。

 なお「エメヤ」は、OTA(Over The Air)にも対応。日本でも年数回の更新が予定されているといいます。それにより、機能の進化や電費の改善などが期待できます。

 また、最新のハードウェアを使った先進の安全運転支援機能を搭載。安全な移動をサポートしてくれるのも「エメヤ」の見どころです。

 4つのLiDER(ライダー)、18のレーザーレーダー、7つの8MPカメラ、ふたつの2MPカメラなど多くのセンサーを搭載することで、車両の周囲360度をカバーします。

 制御の処理をおこなうシステムには、NVIDEA DRIVE Orinシステムオンチップを2基搭載。将来的な自動運転を見据えたアップグレードにも対応できる高性能システムとなっています。

 自動運転は法規も絡むため、機能に地域差が生じるのは否めませんが、高性能なシステムを搭載することで実装済みの機能もOTAによる良い効果が生まれることでしょう。

 ロータスジャパンによると、日本での「エメヤ」の販売目標は非公表とのこと。ただし、先行したSUVの「エレトレ」については、高級輸入BEVのオーナーや熱烈なロータスファンから高い注目を集めているといいます。

 そのほか、時代の最先端を行く先進性とスタイリングに関心を持つ、これまでロータスと縁のなかった新規ユーザー層の獲得も意気込んでいるようです。

「エレトレ」は、いよいよ初期オーダーしたユーザーへの納車が始まるタイミングですが、まだ実車に触れたことのある人は限られるため、多くの顧客がロータスのBEVに興味を示すようになるのは、これからといえるでしょう。

 ライトウエイトスポーツカーのブランドとして名を馳せたロータスだけに、BEVとなってはロータスらしさが失われるのでは? と危惧するファンも多いことでしょう。

 しかしロータスには、他社の車両開発をサポートするエンジニアリング企業としての一面もあり、公になっているところではテスラ初のロードカーである「テスラロードスター」の開発製造に協力した実績もあります。

 ロータスジャパンは、「ロータスらしい走りにはこだわっている」と太鼓判を押しており、ロータス製BEVの走り、そして、「エレトレ」と「エメヤ」の差別化がどのように図られているのか注目です。

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