YouTubeチャンネル『筋トレ大学 VALX』の仕掛け人が“一位”にこだわり続ける理由

フィットネスブランド『VALX』が、プロテイン通販の領域で急成長している。立ち上げから4年が経つが、その確固たるブランディングの礎となっているのは、創業時から「株式会社レバレッジ」代表を務める只石昌幸の存在がある。

他社などのさまざまなYouTubeチャンネルへの出演を中心にメディア露出をおこない、継続的なファンの獲得に貢献し続けている。打ち出す事業を軒並みトップへと導いていく秘訣について、ニュースクランチがインタビューした。

▲株式会社レバレッジ代表・只石昌幸【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-INTERVIEW】

一位を目指し続けている人だけが見える景色

株式会社レバレッジの代表取締役として、数々の事業をトップに導いてきた只石昌幸。自分が目指すものに関しては、全てで“一位”になることにこだわりがあるという彼に、その理由を聞いてみた。

「一位であることにこだわり続けていると、トップに立つためのあらゆるヒントに出合えるからです。実際に、朝起きてから目を閉じるその瞬間まで、常に一位になるためにできることを考えていたおかげで、言葉にできないような出会いやチャンスに恵まれました」

一位にこだわり続けた結果、どのような経験をしたのかについて聞くと、ひとつのエピソードを教えてくれた。

「起業する前は、『Amebaブログ』のグルメジャンルで、閲覧数一位のブログを運営していました。どうしたら総合トップになれるかを考えながら街を歩いていたとき、車から降りてくる『株式会社サイバーエージェント』の代表取締役である藤田晋さんを見かけたんです」

『Amebaブログ』を運営する会社の代表と偶然にも出会った彼は、どのような行動を取ったのだろうか。

「名刺を渡しにいったら、当時のハンドルネームだった『こだわり社長』の名前を知ってくれていたことがわかりました。“頑張ってね”と言いながら去ろうとする藤田社長に対し、追いかけるように僕が放った言葉は“あなた、間違っていますよ”でした」

相手は大企業の社長。一方で、当時の只石は一般人。なぜそのような発言をしたのか、続けてこう話してくれた。

「僕は続けて、いま『Amebaブログ』で閲覧数一位を取っているのは、芸能人ばかり。僕のような一般人がトップになれば、“自分でもできるかも”と新たな書き手が増えるはずです、と。そして、“だから、僕を公式ブロガーにしてください”とお願いをしたんです」

公式ブロガーになると、『Amebaブログ』から認定された影響力のあるブロガーとなり、認知度が上昇するなどのメリットを得られる。当時の公式ブロガーは、芸能人にのみ与えられていた称号だった。

「藤田社長は“キミ、面白いことを言うね”と笑いながら、その場を去っていきました。怒らせてしまったかと不安になっていたその日の夜、藤田社長から“公式ブロガーにしておいたから”とDMが届いたんです。こうして、僕は一般人初の公式ブロガーになりました」

公式ブロガーとして勢いを増した只石のブログは、約半年の期間を経て、数ある芸能人を抜いて総合トップを獲得した。その経験をもとにブログコンサルを始めたのが、株式会社レバレッジ立ち上げのきっかけだという。

「もし、藤田社長を見かけたとき、“ブログで一位を目指す”という気持ちを持っていなければ、挨拶をしただけで終わっていたと思います。だから僕は、常に一位になるために、何ができるかを考えながら日々を過ごしています」

▲藤田晋社長との偶然の出会いを教えてくれた

他人を信じられるかどうかで人生の豊かさが変わる

只石は現在、フィットネスブランド『VALX』をトップにするべく活動を続けている。とはいえ、一位になるためには、個人だけでなく社員の力が欠かせない。

各所で『VALX』にかかわるメンバーは優秀だと語っている彼に、なぜ株式会社レバレッジには優れた人材が集まるのか、その理由を聞いた。

「大前提として、僕は人類みんな優秀だと思っています。日本人は謙虚だから、無駄に他人と比べてしまい、自分をダメだと思いこんでいるだけなんですよ。優秀な人のなかでも、僕が仲間として積極的に招き入れているのは、素直で熱くて、成功体験をもっている人です」

成功体験と聞くと、大きなことを成し遂げるイメージがあると話すと、只石からすぐに訂正の声が入った。

「成功体験とは、誰でもできるような小さなことでいいんです。そこに熱さがあれば、逆立ちができるようになったことでも、立派な成功体験だと言えます。我々はもっと、自分の今までの成功体験を素直に認めるべきなんですよ。

レバレッジの社員は、成功体験を力にして突き進んでいけるメンバーが揃っているため、僕が気づかぬうちにどんどん開花していっています。仕事を楽しむなかで“ お客さまを熱狂させよう”という気持ちも乗るので、うちの社員はますます優秀に見えるはずです」

続けて、優秀な社員が集まる理由に、社長としてのあり方が関係していることも教えてくれた。

「さらに言うと、僕が社員を信じられているからこそ、誰しもが伸び伸びと成果を出せているんだと思います。“お前はダメだ”とか、社員を信じない発言ばかりする社長のもとでは、良いメンバーは育たない。

社長の顔色ばかり伺っていては、お客さまのことを考えた仕事ができない社員になってしまうでしょう。社長が社員のことを信頼し、自由に考えて工夫をする“余白”を与えてこそ、優秀なメンバーが揃う会社になると断言できます」

人生は誰かのたった一言でひっくり返る

社員の可能性を信じ続ける彼に、「なぜそんなに他人を信じられるのか?」と素直な疑問をぶつけると、現在の只石を形成するきっかけとなった出来事について話してくれた。

「現在の僕があるのは、中学3年の6月、担任からのある一言のおかげです。当時は、厳格な家で育った反動なのか、いわゆる不良少年のような学校生活を送っていました。授業にもろくに出ず、テストの点は最悪で、“お前には行ける高校がどこにもない”と周りから言われてました。

「ある日、友人と組み合って遊んでいたとき、その友人が階段から落ちてケガをしてしまったことがありました。わざとではないことは理解が得られたものの、中途半端な不良だった僕は震えが止まりませんでした」

そんな状況のなか声をかけてくれたのが、只石の人生を変えた教師だったという。

「立ちすくむ私に、突然、当時の担任が“お前は頭が良いのにもったいない”と言ってきたんです。とっさに“なんで?”と聞き返すと、“お前は間違いなく読書をしている。テストの点が悪くても、発言がいつも論理的だからだ”と、予想だにしない言葉をかけてきたんです」

事実、只石の家庭では、テレビを見れる時間がわずかしか与えられなかった。門限も厳格に定められていた彼が娯楽として選んだのは、図書館にある大量の本。毎日のようにページをめくり続け、気づけば学校にある児童書はほぼ全て読んでいたという。

そんな只石の特性に気づいていた担任が続けて話した言葉によって、彼の人生は変化を迎えることになる。

「担任は続けてこう言いました。今のお前がこれから他人に影響を与えるとしても、せいぜい100人程度が限界だろう。でも、お前が“頭”を使えば、世界だって相手にできる。その言葉を聞いたとき、全身に鳥肌が立ったのを今でも忘れられません」

事件を聞き駆けつけた母親の後ろを歩きながら、只石はある決意をする。

「帰り道の途中、母親に“本気で勉強するから、塾に行かせてほしい”とお願いしました。でも、当たり前なんですが、“お前がいまさら勉強をするわけがない”と、すぐに断られてしまいました。このまま諦めるわけにはいかないと、ひたすらに毎日お願いしていたら、母親の知り合いから個人指導を受ける許可を得ることができたんです」

それから、鬼の努力が始まった。只石の変貌ぶりを面白くないと思った不良仲間からのいじめも、自分を鼓舞するためのバネに変えた。眠いときは、シャーペンを手に刺しながら机に向かい続けた。

「中学3年6月から勉強を始めたのにもかかわらず、県内で一番の進学校に受かることができました。ただ、いま思い返しても、合格発表のときに喜んだ記憶すらありません。当時は、勉強すればするほど成績が上がることを楽しんで熱狂していました。その結果、たまたま合格しただけ。

この経験から、私は誰かの一言で他人の人生がこんなに変わることを実感しました。そして同時に、僕の人生を変えた担任のように、他人の可能性を信じられる人間でありたいと思ったんです。代表として誰かの上に立っている今、社員の可能性を心から信じられるのは、僕の能力だと思っています」

▲中学校の先生からの一言で人生が変わって現在の姿がある

夢の第一歩は「他人に憧れる」こと

これからもトップを狙い続けるであろう只石に、今後の目標を聞いた。

「これからも突き進んでいくのであれば、どうせなら世界一を目指すべきだ、と思うようになりました。優秀な仲間たちとともに、世界レベルでの可能性を試していくのが今の目標の一つです。ちなみに、運も実力のうちという言葉がありますが、私はここまでの道のりを、運だけで乗り越えてきたとは思っていません。

それでは、実力とは何かというと、“どこまで努力できるか”ってだけなんです。私はこれからも、運命すらねじ伏せる努力がしたい。仮に、自分の運命が決まっていたとしても、それを自らコントロールできるくらい努力をして、世界一をつかみ取りたいと思っています」

最後に、どうしても行動できない私たちに、夢へ向かうための第一歩は何をしたらいいのかについて聞くと、頼もしいアドバイスが返ってきた。

「まずは、自分がなりたい姿の他人にあこがれてみてください。他人に対して憧れの気持ちがないと、“どうせ、あの人だからできたのだろう”という感情が働き、誰かの成功から何も学べなくなってしまいます。

たとえば、交差点を歩くお婆さんの肩をとってお手伝いしているような、そんな人に憧れることから始めるだけでいいんです。そして、自分もマネしてみればいい。そうして得た感謝の言葉や気持ちを成功体験にして“自分にもできることがある”と思えれば、次の一歩を踏みしめることができるはずです。

最近、悲しいと思うのは、SNSなどで成功している個人や有名人を攻撃する人がいること。他人に憧れられる人間になれば、そんなことをしようと思う気持ちすら起きません。そもそも、他人の足を引っ張っている暇なんて、誰にもないはずなんですよね。僕らの人生って、一回しかないんだから 」

(取材:川上 良樹)


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