カスハラ防止へ、全国初の条例が東京都議会で成立 国も法改正を検討

カスタマーハラスメントの防止をめざす条例を可決した東京都議会=2024年10月4日午後2時27分、東京都新宿区、松田果穂撮影

 客から理不尽な要求や暴言などを受けるカスタマーハラスメント(カスハラ)を防止する東京都の条例案が4日、都議会本会議で可決、成立した。大声で責め立てられたり胸ぐらをつかまれたりするなど、接客が必要な業界でカスハラによる被害が深刻化しており、都が有識者らに意見を聞きながら対策を検討していた。

 カスハラ防止に焦点を当てた条例は全国初で、来年4月から施行される。

 カスハラは各地で社会問題化していることから、北海道や埼玉県、三重県も条例化を検討。国も、従業員の保護を企業に義務づける法改正を検討中で、労使の協議を経て、早ければ来年の通常国会への改正案提出をめざしている。

 都の条例ではカスハラを「顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為であって、就業環境を害するもの」と初めて定義。「何人も、あらゆる場において、カスハラを行ってはならない」と定め、対策には「社会全体で対応しなければならない」と明記した。

 民間企業だけでなく、公的機関も対象。顧客、働く人、事業者、都のそれぞれに対して防止に向けた責務も盛り込んだ。

 一方で罰則は盛り込まれず、都は実効性を高めるためにガイドラインや業界共通のマニュアルをつくり、禁止行為の具体例を示すとしている。現場で活用し、条例とともに周知することで、働く人を守る機運を醸成したい考えだ。(松田果穂)

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