「札幌の圏央道」未開通部はどうなってる? 鉄道消えた“田舎暮らしの街”に巨大インパクト

「札幌の圏央道」ともいえる国道337号「道央圏連絡道路」。建設中の未開通部2区間はどうなっているのでしょうか。地域へのインパクトはかなり大きいものとなりそうです。

超スぺック一般道「道央圏連絡道路」最後の2区間とは?

「札幌の圏央道」ともいえる国道337号「道央圏連絡道路」。2区間ある未開通部は現在、どのような状況で、どのような地域なのでしょうか。

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千歳から続く既存開通部は南長沼ランプで終点。その先、江別・石狩方面への未開通部の建設が進む(乗りものニュース編集部撮影)。

「道央圏連絡道路」は、新千歳空港付近の国道36号を起点に、江別市、石狩市、小樽市など札幌近郊の都市を半円形に結ぶ環状道路として計画され、延長は約80km。

 開通済の区間の約半分は、信号のない立体道路で、高速道路と見まがうような規格です。しかも、全線無料です。

 未開通部は南長沼ランプから、道央道に接続する江別東ICまでの21.9km。南から「長沼南幌道路」14.6kmと「中樹林道路」7.3kmに分けられます。長沼町、南幌町、江別市の農業地帯を貫く線形となります。

 この2区間の北側、南幌ランプ-江別東IC間の「中樹林道路」は2024年度の開通予定で、8月現在、現地では一部で舗装や防雪柵の設置も終わっているほど進んでいます。

 南幌ランプは、国道337号現道が南幌の市街地に立ち寄るように折れ曲がる線形となっているところにできますが、バイパスである中樹林道路は江別東ICまでを直線的に結んでいます。

 一方の「長沼南幌道路」も建設が進み、跨線橋や切土などの具体的な構造物も現れてきてはいるものの、開通めどは立っていません。

 軟弱地盤の対応に苦慮しているほか、切土区間の発生土を盛土区間に転用予定だったところ、発生土に追加の土質対策が必要となるなどしています。こうしたこともあり、2023年度の事業評価では、事業費が140億円増の380億円となっています。

廃線跡をまたいでます その路線とは?

 道央圏連絡道路は、混雑する札幌市街地を避けて道東道、道央道など札幌から放射状に延びる道路を相互にショートカットするだけでなく、苫小牧港、新千歳空港、石狩・小樽港を連絡することから物流面でも新たな幹線になると目されています。

 さらに千歳市内では、国産半導体製造の新会社「ラピダス」の工場が2025年の稼働を目指して建設中で、千歳周辺では関連企業の工場や物流施設も建設ラッシュ。北海道の鈴木直道知事も、ラピダス進出の効果を全道へ波及させるうえで不可欠な道路としています。

 未開通部の南幌町や長沼町の北部は、かつて私鉄の夕張鉄道(夕張-野幌)が通っていましたが、1975年に廃止されて以降、両町とも鉄道がありません。中樹林道路は、南幌町でその廃線跡の道路をまたいでいます。

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未開通部の「中樹林道路」は舗装や防雪柵も一部できている(乗りものニュース編集部撮影)。

 その南幌町は、札幌への通勤も可能な“田舎暮らしの街”としてアピールしており、2022年以降は人口も増加に転じています。そこへ道央圏連絡道路が開通することで、新たに千歳方面などへの通勤圏となるかもしれません。

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