完成近づく「札幌の圏央道」とは? マジでコレ無料!? “高速並み”だけど高速じゃない!
札幌近郊を環状に結ぶ高規格道路「道央圏連絡道路」が完成しつつあります。いまだ未開通区間を有するものの、非常にハイスペックながら無料であることから、沿線に大きなインパクトを与えそうです。
目立たないけどメチャ高スペック! 「道央圏連絡道路」
北海道の札幌近郊に、関東でいう「圏央道」の北海道版ともいえる道路の建設が進められています。未開通区間があるものの、既存開通部はかなりハイスペック、しかも無料であることから、大きな期待がかかっています。
道路の名は「道央圏連絡道路」といい、圏央道の正式名称「首都圏中央連絡自動車道」とも似ています。石狩平野に拡がる札幌近郊の都市を結ぶ半円形の環状道路として計画され、延長は約80km。国道337号のバイパスとして位置付けられていますが、「道央圏連絡道路」の名は現地では案内されておらず、ちょっと分かりにくいかもしれません。
しかし、かなりハイスペックです。新千歳空港付近の国道36号から分岐した337号「道央圏連絡道路」を走ると、ほとんど高速道路と見まがうような規格であることが分かります。しかも、全線無料です。
ここから開通済の南長沼ランプ(長沼町)までの17.4kmは信号のない立体道路で、道東道の千歳東ICを含む6つのランプで交差道路と接続しています。暫定2車線ですが制限速度は70km/hとなっています。
未開通部は長沼町、南幌町、江別市で建設中の2区間21.9kmです。道央道の江別東ICからは、再び高規格の国道337号が北へ延びています。
もちろん信号のない立体道路で、石狩川を渡る美原大橋は4車線で開通済、その先は暫定2車線になるものの、上下1車線分を「舗装していないだけ」という印象で、すぐにでも4車線化できそうな雰囲気です。
ただ、当別町に入り国道275号のランプを過ぎると、様相が異なってきます。いきなり信号が登場するのです。
2つの時代の道路が同居
国道275号ランプから西側、札樽道の銭函IC(小樽市)までの28.6km区間は、道央圏連絡道路のなかでも昭和の時代に事業化され、平成の中頃にかけて開通した、やや古い区間です。石狩湾新港、小樽港などを連絡する幹線道路として4車線以上が確保されていますが、基本的に平面交差となっています。
このように、道央圏連絡道路は昭和の時代に事業化された区間と、平成以降に事業化された区間の2面性を持っています。無料かつ大部分の区間でハイスペックではあるものの、「高速道路」とは言えない存在です。新千歳空港方面から、当別町でいきなり信号が現れるところは要注意箇所といえます。
別名「ラビタス道路」?
札幌圏では道央道・札樽道の2大高速道路も札幌市街を経由するため、混雑が課題になっています。これに対し、札幌市から延びる放射道路を連絡し、相互にショートカットを可能とすることで、札幌市内へ流入する通過交通を分散させる狙いがあります。
また、北の小樽・石狩港、新千歳空港、さらに南の苫小牧港を直結することから、全線開通すれば物流ルートにも大きな影響を及ぼすと考えられます。
さらに、道央圏連絡道路の起点である千歳市内では、国産半導体製造の新会社「ラピダス」の工場が2025年の稼働を目指して建設中で、千歳周辺では関連企業の工場や物流施設も建設ラッシュ。北海道の鈴木直道知事も、ラピダス進出の効果を全道へ波及させるうえで不可欠な道路として、全線開通に期待を寄せています。
道央圏連絡道路の未開通部にあたる長沼町、南幌町などは、鉄道沿線でいえばJR千歳線と室蘭本線のあいだに位置し、農地や牧場が広がるのどかな地帯ですが、全線開通すれば千歳エリアの便利な通勤圏ともなりそうです。
08/13 08:12
乗りものニュース