サンライズ最多の個室寝台「シングル」 実は3種類ある!? 測って比較その違い
寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」で最もポピュラーな個室寝台は1人用B個室寝台「シングル」でしょう。1列車に80室もありますが、実は3種類に分けられます。その違いを見ていきましょう。
3種類ある「シングル」
日本で唯一の定期寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。人気が高く、満席になることも多い列車ですが、1か月前の発売開始のタイミングであれば比較的予約しやすいのが、1人用B個室寝台「シングル」です。
寝台料金7700円は、同じ1人用B個室寝台の「ソロ」よりも高めですが、価格差に見合う居住性を備えた個室でもあります。なお「サンライズ」の285系電車は、台車の上に位置し2階建てにはできない部分に「平屋室」、2階建て部分の2階に「階上室」、1階に「階下室」があり、基本的な設備は同等ですが、細かい箇所が異なります。その違いを“測りながら”解説していきます。
まずは平屋室です。側扉の幅は63.5cm。「ソロ」のような姿鏡はありませんが、個室端の側壁の一部が鏡となっています。個室に入った入口部分にコンセントがあります。入口部分は寝台幅が狭いところですから、寝る時には足を向ける部分です。スマートフォンを充電しつつ、寝ながら使うという場合は、延長コードがないと届かないでしょう。
ほかにも入口にはスリッパとゴミ袋が、個室の側壁には作り付けのテーブルがあります。テーブルは幅が途中で30cmに広くなり、駅弁なども置けるサイズです。ドリンクホルダーや使い捨てコップもあります。テーブルの横幅は95cm。これは個室の横幅と同じです。
平屋室の魅力は天井の高さです。入り口部分で2m以上あります。天井が高いから荷物置き場が広いとか、上段寝台があって二人で使えるとか、そういったギミックはありませんが、解放感があるということは魅力です。
寝台は入口付近がやや狭く60cmですが、広い部分は70cmです。寝台高さは38cm。寝台の横は2cm低くなっただけの荷物置き場なので、転落の心配はありません。寝台横の荷物置き場は幅24cmあり、その上にハンガーが設置されています。
欠点は電動車であること
「ソロ」のように窓縁の一部にミニテーブルはありませんが、窓の縁の幅は7cmほどあり、ペットボトルくらいなら置けるでしょう。側窓のサイズは横幅113cm、縦58.5cmで、どの「シングル」でも同じだと思われます。
台車の上にあるので、騒音や振動は大きめです。スマートフォンのアプリで計測しました(平屋室〈14号車1番〉)。
・平均騒音:57.3dB
・最大振動:震度3.8
・平均振動:震度1.5
なお、5・12号車の平屋室は電動車なのでややうるさいです。数値は以下の通り(12号車11番)。
・平均騒音:60.5dB(日常会話程度)
・最大振動:震度4.1
・平均振動:震度1.9
壁にもたれかかりつつ景色を眺めやすいオススメの平屋室の個室は、高松・出雲市行きなら1・8号車1番、東京行きなら2・6・9・13号車13・14番と、5・12号車11・12番です。
次に階上室を見てみましょう。設備は平屋室と同じですので、異なる部分だけ書きます。
テーブルの横幅は96.5cm。つまり個室内の幅がやや広いということです。寝台横の荷物スペースも、平屋の24cmに対して25.5cmと、より広く取られています。天井高さは184cm、寝台横の荷物置き場から天井までは144cmあります。高さにゆとりがあるので、座りながらの着替えは「ソロ」よりかなり楽。騒音と振動の数値は以下の通りです(階上室〈7号車25番〉)。
・平均騒音:54.6dB
・最大振動:震度3.5
・平均振動:震度1.2
壁にもたれかかりつつ景色を眺めやすいオススメの階上室の個室は、高松・出雲市行が1号車28・29番、2・9号車23・24・25・26・27・28・29番、6・13号車28・29番、7・14番23・24・25・26・27・28・29番。東京行きはそれ以外の20番台で始まる個室です。
酔いやすい人は階下室がオススメ
最後に階下室を紹介します。設備は平屋室、階上室と同じですので、こちらも異なる部分だけ見ていきます。
テーブルの横幅は86cmです。平屋室が95cm、階上室が96.5cmなので、それだけ個室幅が狭いということになります。天井部分の幅は広いので、そこまで圧迫感はありません。
寝台横の荷物置き場も、平屋室の24cm、階上室の25.5cm対して14cm。大きな荷物を持ち込む時、この差はかなり大きくなります。
壁にもたれかかりつつ景色を眺めやすいオススメの階下室の個室は、高松・出雲市行が1号車9・10番、2・9号車4・5・6・7・8・9・10番、6・13号車8・9・10番、7・14号車23・24・25・26・27・28・29番、6・13号車28・29番、7・14号車4・5・6・7・8・9・10番です。東京行きは一桁番号で始まる、上記以外の番号です。騒音と振動は以下の通り(階下室〈14号車9番〉)。
・平均騒音:53.7dB
・最大振動:震度2.9
・平均振動:震度0.9
最後に、それぞれの個室のメリットとデメリットについて触れます。平屋室は天井が高いものの、台車の上か車端部、もしくは電動車に位置するので騒音と振動が大きく、個人的にはオススメできません。
階下室は周期の大きな揺れが少ないので、乗りもの酔いする人にはオススメです。ただ、階上室と比較して個室幅が10.5cm狭いので、圧迫感を避けたい人には不向きです。
階上室は、ややゆったりとした揺れはありますが、眺望性に優れスペースも広いので、個人的にはイチ押しします。以上、「サンライズ」乗車時の参考になれば幸いです。
06/30 15:42
乗りものニュース