「サンライズ」でお馴染み個室寝台「ソロ」 登場時は別物だった!? 安価なりの大変貌とは

寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」に連結されている1人用B個室寝台「ソロ」。その始まりは寝台特急「北斗星」でした。それからリーズナブルな個室寝台として走り続ける「ソロ」の36年を紹介します。

設備は違うが同一料金

 日本で唯一の定期寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」では、B寝台は全て個室寝台ですが、B寝台が初めて個室となったのは、1984(昭和59)年に登場した4人用B個室寝台「カルテット」でした。

「カルテット」は、側廊下式の開放型B寝台車の区画を個室扉で仕切ったもので、座席はソファを折りたたんで寝台にでき、普通のB寝台よりも昼間時の座り心地に優れていました。しかも、4人利用時の寝台料金は普通の二段式B寝台と同額だったので、割安感がありました。

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JR九州が寝台特急「はやぶさ」に連結した24系客車の「ソロ」(2003年10月、安藤昌季撮影)。

 ただし、3人以上でなければ利用できないことからあまり普及しませんでした。1987(昭和62)年、寝台特急「あさかぜ」用に2人用B個室寝台「デュエット」が登場すると、B個室寝台は拡大。ちなみに「カルテット」「デュエット」は4重奏、2重奏を意味する音楽用語です。

 そして1988(昭和63)年に新設された、寝台特急「北斗星」用の1人用B個室として登場したのが「ソロ」です。「ソロ」は2階建て構造の個室寝台でした。

 この最初の「ソロ」は、個室幅1.22~1.26m、奥行1.945mで、寝台幅は68~70cm、個室高さは平屋が2.5m、2階は1.4mでしたが、入口部分は2mあり、どちらも立って着替えができました。

 この時期のA個室寝台「シングルデラックス」は個室幅1.2m、奥行1.945m、寝台幅70cmでしたので、天井が高く洗面台がある以外の優位点はなく、「ソロ」は非常に好評でした。

 このタイプの「ソロ」は翌年、JR九州も寝台特急「はやぶさ」「富士」用として投入しました。こちらは「北斗星」用のように、A個室寝台「ロイヤル」との合造車ではなくオール「ソロ」でしたが、定員はわずか20人でした。開放型A寝台の定員が28人であり、A寝台より定員が少ないB寝台ということです。

全国に広がる「ソロ」

 JR北海道も1991(平成3)年、「北斗星」用としてこのタイプの「ソロ」を増備しましたが、こちらは定員17人と少なさが問題となっていました。

 JR東日本は1989(平成元)年、寝台特急「北陸」用として新型の「ソロ」を登場させます。2階室への階段を2室共用とし、定員を20人へ増加させたタイプ(スハネ14形750番台)でした。しかし、天井高さは1.4mとなり、個室内での直立はできなくなりました。寝台幅は750mmなので、昼間は旧タイプ、寝ると新タイプが快適でした。ちなみに末期の「北斗星」では、JR東日本車とJR北海道車が連結されており、2タイプが併結されていました。

 なお、最も初期形のJR北海道タイプは、宿泊施設「北斗星スクエア」(北海道北斗市)に、JR九州タイプは宿泊施設「ブルートレインたらぎ」(熊本県多良木町)で健在で、どちらも宿泊できます。

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宿泊施設「北斗星スクエア」で保存されている「ソロ」下段(2024年6月、安藤昌季撮影)。

 しかし、増えても定員20人。これは開放型A寝台以下と変わりありません。そうしたことから1991年、JR東日本が寝台特急「あけぼの」用に投入した「ソロ」では、構造が変更されました。中央通路で左右に個室があるタイプで、現在の「サンライズ瀬戸・出雲」に近い構造ですが、より狭いものです。平屋も2階も個室幅1m、奥行1.945mと狭く、2階室は寝台から天井まで1.1m、個室入口でも1.58mに抑えられていました。入口部分は入室後に寝台を広げられました。

 平屋室は入口部分で1.45m、寝台から天井まで1mとより狭く、かなりの圧迫感がありましたが、寝台料金はそれまでの「ソロ」と同じでした。ただ、定員34人の二段式B寝台の寝台料金と「ソロ」は同じですから、それでも安価でした。寝台幅は70~100cmで、寝れば広い寝台でした。こうした工夫で定員は28人に増えています。このタイプの「ソロ」は施設「ブルートレインあけぼの」(秋田県小坂町)で宿泊できます。

電車となった「ソロ」 どう進化した?

 JR西日本も同タイプの「ソロ」を、1992(平成4)年より寝台特急「あかつき」に連結しました。入口部分の工夫で、こちらは一部1.9mの室内高さがありました。JR九州も同年に、「あかつき」に同タイプの「ソロ」を連結しましたが、こちらは個室内の大半が寝台で、寝台幅は100cm。室内高さは入口で1.2mと狭いものの、寝ている時はとても快適でした。なお、背もたれ用のクッションも備わり、もたれながら景色を眺めるのに便利でした。

 そして1998(平成10)年に、「サンライズ瀬戸・出雲」用として、285系寝台電車が新製され、現状で最新・最後の「ソロ」となっています。

 こちらも「あけぼの」用からの流れを組む、中央通路構造の2階建てですが、入口部分では直立可能で、2階室は荷物置場も付いているなど、より進化した構造となっています。個室幅は1.96m、個室幅は98cmです。ただ、寝台幅は上段、下段とも狭い部分で56cm、広い部分で70cmなので、寝台特急「なは」の「ソロ」の乗車経験があった筆者(安藤昌季:乗りものライター)にはやや狭く感じられました。

 ただし新造車両とだけあって、改造車である「あけぼの」「あかつき」「なは」の「ソロ」よりも側窓は大きく、解放感があるとも思いました。木目調の室内も高級でした。

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寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」の「ソロ」上階室(2024年3月、安藤昌季撮影)。

 とはいえ定員に違いがあるので、歴代「ソロ」で最も快適だと思うのは初期タイプの「北斗星」「はやぶさ」「富士」に連結されたタイプですが、「サンライズ瀬戸・出雲」用も、特に2階室は快適で、寝台料金に見合う設備と感じました。

 現状、寝台特急の新型車両が製造される計画は発表されていませんが、今後も新型車両が投入され、リーズナブルな1人用B個室寝台の旅が楽しめることを願ってやみません。

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