高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立

自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる「選択的夫婦別姓制度」の導入について、立候補予定者の意見が割れている。9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。

「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」

高市氏は9日の記者会見で、こう語った。念頭にあるのは6日の会見で「旧姓では不動産登記ができない」と発言した小泉氏だ。高市氏は「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」と指摘した。

高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」と述べた。

小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、「旧姓の併記が認められる制度がある。ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」と述べている。

小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。小泉氏は面会後、記者団に「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊につながるというのは必ずしも違うと思う」と語った。

石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に「実現は早ければ早いに越したことはない」と小泉氏に同調した。河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で「認めた方がいい」と述べている。

一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では「国民の間でもさまざまな意見がある。さらなる検討を進めていきたい」と述べるにとどめた。林芳正官房長官(63)も「個人的にはあってもいいが、いろいろな意見がある」としている。(沢田大典)

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