「首相側近はだます気だったのか」…維新が〝旧文通費騒動〟巡り党内説明会

日本維新の会は26日、通常国会での政治資金規正法改正を巡る混乱について、執行部が経緯を説明する党内会合をオンラインで開催した。調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)改革に向けた自民党との交渉が頓挫した過程などに関し、地方議員らが相次ぎ説明を求めたことを踏まえた。焦点の一つになったのは、自民側の交渉担当者が「維新をだます気だったのか」という点だった。

自民党内の認識不統一が露見

維新は、旧文通費の使途公開や残金返納の制度化を目指して馬場伸幸代表が岸田文雄首相(自民総裁)と合意文書を交わし、自民提出の規正法改正案の衆院採決で賛成に回った。

5月31日の合意に先立つ交渉過程で作成された文書案には、旧文通費に関する立法措置の結論を得る時期を「今国会中(通常国会中)」とする記述があった。だが、首相側近でもある自民の木原誠二幹事長代理は、自民内で認識は共有されているとして維新の藤田文武幹事長に削除を求め、最終的に記載が見送られた。

その後、実際は自民内で見解が統一されていなかったことが露見し、交渉は事実上決裂。維新は改正案の参院採決で反対に転じた。

26日の会合では、馬場、藤田両氏や遠藤敬国対委員長らが国会内の会場に集まり、党所属の地方議員らの質問に応じた。冒頭の馬場氏のあいさつを除き、報道陣には非公開で行われた。

「最初からだます気」は否定

関係者によると、吉村洋文共同代表(大阪府知事)は、交渉過程を巡って「木原氏は最初からだます気だったのか」と尋ねた。

これに対し、今回の件で木原氏から最初に協議の打診を受けた遠藤氏は「それはないと思う」と答え、旧文通費改革慎重論が根強い自民内を木原氏がまとめ切ることができなかった、との推測を示した。一方で、交渉担当者としての自身の詰めの不十分さを認めて「甘かった」と陳謝した。

他の出席者からは、結果として通常国会中の旧文通費改革が実現しなかったことを問題視する意見などが出たが、党幹部の進退を問う声はなかったという。

馬場氏は冒頭、局面に応じて与野党どちらと組むかを使い分ける国会戦術への理解を求め「野党第二党はこういう手立てを使わないと存在感を発揮できないし、政治の世界に足跡を残すこともできない」と強調した。執行部への批判を念頭に「仲間を後ろから撃つことだけは控えていただきたい」とも述べた。

一方、藤田氏は会合後の記者会見で、10年後の領収書公開で自民と合意した政策活動費に関し、党として支出しない考えを表明した。来年までに運用を改める。複数の会合出席者から「なくしてはどうか」という意見が出たことも明らかにした。(松本学)

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