衝撃告白!「井上尚弥は別次元のエリートレベルだった」「体がノーと言った」モンスターに腰を破壊されて7回TKO負けを喫したドヘニーがSNSに長文投稿

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(31、大橋)に9月3日に挑戦して7回に試合続行不可能となってTKO負けを喫した元IBF世界同級王者のTJ・ドヘニー(37、アイルランド)が10日(日本時間11日)に自身のインスタグラムを更新してモンスターとの戦いを振り返った。ドヘニーは6回終了間際のボディショットで負傷して「右足に力が入らなくなったこと」や井上の強さが「別次元のエリートレベル」であったことを明かした。37歳のドヘニーは現役続行の意向を伝えている。

 「6回終了間際のボディショットで右足が動かなくなった」

 試合後の記者会見へ出席しなかったドヘニーが沈黙を破った。7回に試合続行不可能となった衝撃的な敗戦から8日後の日本時間11日、自らのインスタに有明アリーナのリングへの入場時の写真と共に長文を投稿した。
「試合を振り返るのに1週間必要だった」と、沈黙を続けた理由から始まった文章は、次に「まずは井上尚弥選手の勝利と、もうひとつ別次元のエリートレベルにあったパフォーマンスを祝福したい。これまでの私のキャリアの中で最も大きな瞬間となるチャンスをくれてありがとう」と、井上の“凄さ”を称え、挑戦者に指名してもらえたことへの“礼”を述べた。
「試合は最高に楽しかっただけに早く終わってしまったことが残念だ。誰にもチャンスを与えられなかったのに世代を超えた才能(※井上)を相手に本当に輝く瞬間がいくつもあった。あのような形で試合から去るのは悔しい。私の性格上(※TKO負けや棄権は)できないことだから(私のキャリアがそれを証明している)」(※は編集部の注釈)
 ドヘニーは、井上戦まで30戦で26勝(20KO)4敗の戦績だったが、KO及びTKO負けは1試合もなかった。それだけに7回に事実上の“棄権”で敗者となったことを悔やんだ。ドヘニーは意外にも井上陣営が警戒していた打撃戦には出ずに逆にサウスポースタイルを生かした後ろ重心で構える超ディフェンシブな戦術でモンスターを戸惑わせ、3、4回は、ジャッジ2人のポイントを獲得していた。
「輝く瞬間がいくつもあった」との自賛はその点なのだろう。
 だが、7回に予期せぬフィナーレが待っていた。
 ロープを背にしたドヘニーはボディショットの3連打を浴びると、右の腰を押さえて横を向き、苦痛に顔をゆがめて右足をひきずってロープ沿いを歩いて膝をついた。なんとか立ち上がったが、戦意を示さずレフェリーがTKO負けを宣告した。
「右足に力が入らなかった。負傷したのは6回終了間際のチャンピオンの強烈なボディショットだった。それでも第7ラウンドに椅子から降りて、もう1度、食らいついてやろうと思ったが、体が“ノー”だと言った。見返してみると、ラウンドの最初に手を出そうとした場面が2回あったが、どうしても手を出せず、手を上げて試合を中止にせざるをえなかった」

 

 

 井上は「丁寧に戦うことを」をテーマにしていて、ボディショットを丹念に打ち分けていた。父で専属トレーナーの真吾氏が「左右のボディストレートをドヘニーの腹部の右、真ん中、左、そして胸や肩に打ち分けた。そのダメージが蓄積したのでは?」と戦術を明かしたが、6ラウンドの終了間際にコーナーに詰めて放った左のボディアッパーがドヘニーの腰あたりの神経を破壊したのだ。
 当日の体重を11キロも増量して耐久性をアップしてはずのマッチョマンもモンスターの「別次元のエリートレベル」にあるパンチには耐えられなかった。 
 37歳。井上戦で過去最高のファイトマネーも手にした。生まれたばかりの娘も含めて、4人の子供もいる。その進退にも注目されていたタフなアイルランド人は現役続行の意向を明かした。
「あのようなハイレベルなパフォーマンスの後で私のロードは終わらない。怪我が治り次第、また好きなことをするつもりだ」
 ドヘニーはインスタ投稿の最後に「私を無事にダンスへ連れて行ってくれた関係者の皆さん、本当にありがとう。私のプロとしてのキャリアに初日から携わってくれた、ほぼすべての人たちが最も壮大な舞台で私と一緒にいてくれるなんて最高の気分だった」と支援者やスポンサーらに感謝に意を伝えた。
 そして「応援してくれたすべての仲間に感謝する。みんなに愛を!」との言葉で結んだ。モンスターに敗れた男たちの“次章”にも注目は集まる。

ジャンルで探す