プロボクシングの4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)がまた1階級上の世界王者から挑戦状を叩きつけられた。WBAフェザー級王者のニック・ボール(27、英国)が、英メディア「セコンドアウト」のYouTubeチャンネルに出演して、7回TKO勝利した9月3日の元IBF世界同級王者のTJ・ドヘニー(37、アイルランド)の感想を交えて「井上には穴がある。本物のモンスターを見せてやる」と豪語した。井上は2026年からフェザー級に転級する意向を示している。

 プロボクシングの4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)がまた1階級上の世界王者から挑戦状を叩きつけられた。WBAフェザー級王者のニック・ボール(27、英国)が、英メディア「セコンドアウト」のYouTubeチャンネルに出演して、7回TKO勝利した9月3日の元IBF世界同級王者のTJ・ドヘニー(37、アイルランド)の感想を交えて「井上には穴がある。本物のモンスターを見せてやる」と豪語した。井上は2026年からフェザー級に転級する意向を示している。

「ドヘニーにはボディショットが効いた」

 モンスターとの“対戦順番待ち”の一番先頭に並ぶつもりなのだろうか。世界の強豪から次から次へと、時には対戦ラブコール、時には挑発の届く井上にまた1階級上のWBAフェザー級王者のボールからの“挑戦状”が届いた。
 英メディア「セコンドアウト」のYouTubeのインタビュー取材に答えたもので、「もし井上と戦えば?」の質問に「私が勝つだろう。本物のモンスターを見せてやる!」と息巻いた。
 ポールは6月にサウジアラビアで行われた英国2大大手プロモーション「マッチルーム」と「クイーンズベリー」の所属ボクサーによる「5対5対抗戦」に「クイーンズベリー」代表として出場し、無敗の王者だったレイモンド・フォード(英国)に挑戦して2-1判定勝利して新王者となった。20戦19勝(11KO)1分けと無敗を誇り、1m57とフェザー級にしては小さい体でガンガンぶつかってくる“突貫ファイター”。フォード戦では、序盤から攻め続けて圧倒。終盤に挽回され、最終回には右フックのカウンターやアッパーをもらって危ない場面もあったが、最後まで手を出し続けて悲願の世界のベルトを腰に巻いた。
 ボールは、井上が7回に歩行困難に追い込んでTKO勝利したドヘニー戦についてこう感想を述べた。
「ハイライトを少ししか見てないが、ボディショットが効いていた。腰が痛いとか訴えていた。明らかに腰が痛かったのかもしれないが、何であれ、あのまま続けていてもストップすることになったと思う」
 井上は、この試合でボデイストレートでドヘニーを痛めつけ、6回の終盤にコーナーにつめて放った左のボディショットで腰の神経を破壊されたようだが、ボールもそのボディショットを見逃していなかった。
 6月にもボール陣営のトレーナーが「この先に我々が本当に戦いたいのは井上だ。ニックは井上を動揺させるチャンスを持っている」とコメントしていたが、すでに井上の研究を始めている。
「彼には以前から穴がある。ダウンもしたこともある」
 5月6日の東京ドームでのルイス・ネリ(メキシコ)との試合で井上は1回に不用意な左のカウンターをもらいプロアマを通じて初ダウンを喫したが、ボールも、そこにモンスター攻略の糸口があるとみているのか。
 ただ、パウンド・フォー・パウンド1位に輝いたことのある井上を決して軽く見ているわけではない。
「彼が頑強なファイターではないとは言えない。彼は、見る者をエキサイトさせるファイターだ。常にノックアウトを狙い、試合のセットアップも素晴らしい。グレートファイターだ」
 リスペクトの言葉を贈ることも忘れていなかった。

 

 

 井上は、ドヘニー戦の一夜明け会見で「(今後)何ができるか。フェザー級に上げるしかない」と5階級目となるフェザー級への挑戦を見据えていることをハッキリと明言した。
 今回は当日体重を過去最重量となる約7キロプラスの62.7キロまで増やした。これもフェザー級を見据えてのテストだった。2025年はスーパーバンタム級に留まり、フェザー級転級は2026年になる計画だが「1年半後、2年後の体は、その時になってみないとわからない。減量がしんどいなら(フェザー級転級を)前倒しするし、2年たってもスーパーバンタム級でできるならそのまま続けるしね」とも言う。
 現在のフェザー級王者は、WBCがレイ・バルガス(メキシコ)で暫定王者が人気ナンバーワンのブライトン・フィゲロア(米国)。IBFが長身のラファエル・エスピノザ(メキシコ)で、WBOは8月に井上を挑発し続けてきたルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)が左フック一発で沈められ、アンジェロ・レオ(米国)が新王者となったばかり。
 誰を選ぶかは、挑戦者ながらマーケットの中心にいる井上側にあるが、ボールは、その可能性についても自信たっぷりにこう言及している。
「実現するかもしれないと感じているよ。みんなが、それについて話していて、彼の名前が出ると、必ず私の名前があがり、私の名前が出ると彼の名前があげられる。だから、その試合が実現しない理由は見当たらない。彼がもし私の階級に上がってくれば、対戦しない理由はないよ」
 ボールは10月7日に英国リバプールで同級12位・ロニー・リオス(米国)との初防衛戦に臨む。リオスは、2022年6月に当時のWBAスーパー&IBF世界スーパーバンタム級王者で、現在WBAの井上の指名挑戦者であるムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に挑戦して12回TKO負けしたファイター。井上がフェザー級に上がってくるまでベルトを保持していなければ、単なる“口だけ番長”で終わるのだが…。

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