「ショット」と「アプローチ」の境界線はあるのか!? プロと生徒で「ゴルフ用語」の共通認識を持つことの重要性とは?

スイングの呼び方は、グリーンに近づくと「ショット」から「アプローチ」へと変わります。その定義や境界線はどこにあるのでしょうか。ティーチングプロの横山健司さんとインドアゴルフレンジKz亀戸店・筒康博ヘッドコーチに聞きました。

打ち方や距離でアプローチを2つに分けてイメージを明確化する

 FMさがみで10年続く長寿番組「横山健司のちょいとゴルフをしませんか」は、ティーチングプロの横山氏がゴルフを取り巻くいろいろな話を取り上げる番組。そのマンスリーコーナーとして昨年から始まった「筒康博のちょいと意味わかんないですけど」では、ティーチングプロの筒氏がゴルフ用語や言葉をテーマとして毎回解説しています。その2人が「どこからがアプローチなのか」というテーマで、話をしていましたので要点をまとめて紹介します。

グリーンから遠い場合は「アプローチ」とは呼ばない。「ショット」が「アプローチ」になるのはどこからなの?

グリーンから遠い場合は「アプローチ」とは呼ばない。「ショット」が「アプローチ」になるのはどこからなの?

横山健司プロ(以下横山) 言葉としての「定義」というかしこまったことではないですが、私はアマチュアの方には「2つのアプローチ」を使い分けるように提案しています。フルショットしないウェッジでのコントロールショットを「アプローチショット」、グリーン周りの短いアプローチを「ショートアプローチ」と呼んでいます。

「アプローチショット」は、トップやフィニッシュの振り幅をフルスイングよりも小さく調節するものだと伝えています。うまく調整できるかが距離感に大きく影響します。

 もう一つの「ショートアプローチ」は、パターのように腕と肩のストロークを主体にして打つもの。ピンまでの状況に応じて、番手を替えたりボール位置を調整して寄せていくことが求められるショットです。でも海外では、違う意味や呼び方になっているはずですね?

ゴルフをテーマとしたラジオ番組内で、難解な用語や言葉についてお互いの意見をぶつけ合う二人のティーチングプロ(左:横山健司氏、右:筒康博氏)

ゴルフをテーマとしたラジオ番組内で、難解な用語や言葉についてお互いの意見をぶつけ合う二人のティーチングプロ(左:横山健司氏、右:筒康博氏)

筒康博ヘッドコーチ(以下筒) 海外では、ピンを狙える距離からのショットをすべて「アプローチショット」と呼んでいますね。アプローチは「近づく」とか「接近」という意味なので、7番アイアンで150ヤードを打つ場合でもピンに近づけるショットなので「アプローチショット」というわけです。

 グリーン周りの寄せでは「チップショット」と呼んでいるようです。言葉としてはこれでいいのでしょうけれど、日本人の感覚としては和製英語ではあっても「アプローチショット」と「ショートアプローチ」みたいな方が、イメージが湧いて使いやすい気がします。

 ちなみに私がアマチュアのプレーをチェックする際は、30ヤード以内を「アプローチ」として記録しておいてはいかがですか、と提案しています。いわゆる「寄せワン」が取れたのか、「寄らず入らず」だったのかを後で確認するための使い方です。

プロと生徒で「アプローチ」という言葉のイメージを共有することが大切

筒 アマチュアにとっては英語の意味よりも「アプローチショット」を打つのか、「ショートアプローチ」を打つのかというイメージや心の準備をできることの方が重要かもしれません。横山プロの2つのアプローチ用語は和製英語かもしれません。でもアマチュアにとっては「チップショット」といった英語よりも、こちらの方がショットイメージが湧きますし、迷いがなくなると思います。

レッスンの現場では、ゴルファーがイメージや心構えをしやすい言葉を使うべき

レッスンの現場では、ゴルファーがイメージや心構えをしやすい言葉を使うべき

横山 2人で話をしても最終結論や明確な定義ができるものではないですが、「ここからは転がすショートアプローチで」と伝えれば、状況が頭の中に浮かぶのではないでしょうか。我々は、アマチュアのラウンドに常に同行しているわけではありません。それでも、アプローチのショットの呼び方を共有できていれば、ラウンドの報告を聞いたときに適切な練習テーマを提案したりレッスンがしやすくなります。逆に教える側と教わる側で「アプローチ」の言葉の意味合いが異なっていたら、間違った指導をしてしまう恐れもゼロではありません。

筒 そのとおりですね。ラウンドで「アプローチショットの距離感が合わなかった」と聞けば、例えば振り幅をしっかり決めてスイングする練習方法をアドバイスできますね。それだけでなく、スコアメイクにはグリーン周りの「ショートアプローチ」の練習も重要。アマチュアが屋外練習場で一人で練習するとなると、「ショートアプローチ」は長続きしないので、そこは教える側としては工夫のしどころです。

横山 上達にはドライバーショットを安定させることも大事ですが、地味な練習も不可欠です。我々ティーチングプロにとっては、その練習をいかにして楽しく続けてもらえるようにするのかが仕事ですものね。屋外練習場でも距離や番手を替えながら飽きないようにアプローチの練習をするほど、寄せワンが取れるようになると思いますよ。練習は「何となく」取り組むよりも、しっかりと自分なりに各ショットをカテゴリー分けして、打ってみるのがいいと思います。

横山 健司(よこやま・けんじ)

日本大学櫻丘高校では野球部に所属し、日本大学経済学部時代には高校野球部で指導。24歳でゴルフを始め、2010年にヨコヤマ・ゴルフスクールを開校。現在200名以上のスクール生を指導する傍ら、FMさがみラジオ「横山健司のちょいとゴルフをしませんか」パーソナリティーやインドアゴルフレンジKz亀戸店ヘッドティーチャーも務める。

筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数出演するほか「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン&コミュニティー「FITTING」編集長やFMラジオ番組内で自らコーナーも担当している。

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